2023年9月30日、北海道では第2回目となる靴磨き大会が大丸札幌店で開催されました。
1人の靴好き、靴磨き好きとして注目せざる得ないこのイベント。
今年はブロガー仲間の首藤さんと待ち合わせて観戦してきました。
共通の知人の娘さんも出場されるということで、集合時間は予選開始の10時半。
ゆっくりと出発の準備をしていると、突然幼稚園児の娘が「靴磨き大会見に行きたーい!」と。
以前は家族の目の届くところに革靴達を置いていたので、一緒に靴磨きをしていた記憶が戻ったのか突然のオファー。
このくらいの年の子供を持つ親あるあるだと思うのですが、やっぱりいろんなことを経験させてあげたい。とつい思いがちですよね。我が家も同じ決断となりました。
突然の予定追加にあまり乗り気になれない妻と0歳の息子も車に突っ込んで会場に向かいます。
大丸札幌は6階がメンズフロアですからどうせイベント会場も6Fだろうと考え、向かったのですがまさかの5階イベントスペースで少し時間をロス。笑
(すでに予選1グループ目がスタート)
第2回北海道靴磨き選手権大会とは?
ところで突然全人類が靴磨き大会を知っているかのように書き出してしまったことに気が付いたので、ここで改めて第2回北海道靴磨き大会についてご紹介したいなと思います。
北海道靴磨き選手権大会は「 靴磨きの文化を広げる」ことを目的とし、去年からスタートした靴磨き大会です。
磨かれる靴はいわゆる革靴、ドレスシューズと呼ばれるものです。これを制限時間内でどれだけ美しい状態に仕上げることができるかを競います。
仕掛け人は北海道札幌代表靴磨き店と超有名シューケアメーカー
この北海道札靴磨き大会は札幌の靴好きなら誰もが知る2023年の靴磨き世界チャンピオン林田さんが代表を務めるBrift H SAPPOROと、m.mowbrayブランドのシューケアグッズで有名な株式会社アールアンドデーにより開催されています。
とくにアールアンドデーは北海道では精力的にPR活動をされているので、市内で開催される色々な靴関連イベントで見かけることが多い今日この頃。
(使えるシューケア用品はアールアンドデー社のもの)
そんな訳で大丸札幌×Brift h SAPPORO×アールアンドデーの最強トリオにより運営されているナイスなイベントな訳です!
予選の様子
予選に戻ります。
前回の予選はBrift H SAPPORO店内で開催されており、一般来場者は見る事ができませんでしたが今年はその予選から見る事ができました。
先日大阪で開催された全日本版の靴磨き大会の様子を見ても思ったのですが、やはり予選から見れると各選手のストーリーを感じることができるので、観戦側としても勝手ながら「推し」が出てくるので良いですね。笑
(都度都度入る飯野さんのビギナーからマニアまで惹き込む解説が楽しいこと!)
課題靴はジェルミナルの大丸札幌別注アークティックグリップ仕様
今回の予選では、大丸札幌が今冬に向けて別注したジェルミナルのアークティックグリップ仕様が使用されていました。
私はこのブランドを知らなかったのですが、企画から製造まで日本国内生産にこだわり、さらには木型開発まで行っているシューメーカーのようです。
アークティックグリップのハーフラバーは今や軽く1万円を超える相場ですから、それが国内生産の本格革靴に初めから使われているのはだいぶお得感がありますね。
さらに北海道の雨雪にも強い革を使用しているんだとか!
ん・・・?
予選の課題靴が超難関!
この違和感に気づく人はもう確実に革靴マニアか靴磨きマニアなのですが、一般的にいわゆる「磨きやすい」というのは艶が出しやすいといってもほぼ間違っていません。
ではどんな要素が磨きにくいのか?と言われるとまさに「雨や雪に強い仕上げの革」なんです。
これらは艶が出る状態とは反対にある油分やワックス分が多いことから、艶々な雰囲気は結構出しづらい。
だけども雨や雪の日でもガンガン履ける強靭さを持っている。そんな塩梅となります。
考え方を変えると「どんな靴でもしっかりと時間内に艶を出せる技術」そこを予選から強く問われる大会だったのかなと思います。
ちなみに靴磨き選手権大会の大阪予選を独走優勝した小川さんが「これが大阪予選大会の課題靴だったら順位も相当変わっていたかもしれない」というほど。(みなさまお疲れ様です)
(予選から高難易度の課題靴に苦しむ出場者の皆さま)
国内最年少の靴磨き大会出場者!?
小学生の靴磨き選手がここに爆誕…!
大の大人たちが本気出して練習してきている中、小さいながらにもしっかりと準備してきたことがわかる段取りと丁寧さに驚いた方も多いのでは?
あの場に立つ勇気を持ったこと自体、すごいこと!お疲れさまでした!
(ちなみに我が娘はというと、ちょっと想像と違ったらしく1試合見て退散していました…苦笑)
たのしいぜ!靴磨きトークショー
名著「紳士靴を嗜む」の有名な服飾研究家の飯野高広氏、靴磨き選手権大会大阪予選トップ優勝の小川氏、我らがBrift h SAPPORO代表林田氏によるトークセッション。
林田さんが優勝したWorld Championships of Shoe Shining 2023の話や、小川さんが優勝された靴磨き選手権大会大阪予選のことなど、靴好きにはたまらない30分でした。
とくに小川さんの靴磨きのトレーニングに関わる話は本当に強烈で。
ずっと予選落ちが続き、コロナ禍で靴磨き選手権大会が開催されなくなってからは、あらゆるシューケア用品を研究し、さらには古今東西あらゆる靴を片足9分(本番は10分)で磨く練習を3年間も続けてきたと聞いたとき、「あぁ、ここまでのことをしないと勝てない世界なんだ・・・」と深く驚嘆しました。
決勝戦
予選が終わり、いよいよ決勝戦。
予選を通過した全4名が決勝でアツい磨き対決を魅せてくれます。
1位通過はまだまだ記憶に新しい初代優勝者、いきなり2連覇できるのか?!
2位通過はSNSでも相互フォローの方で、ずっと練習している様子をアップされていました。今回の推しです笑
3位通過は道北出身で、かなり研究熱心な方で首藤さんのお知り合い。
4位通過の方は磨き方が独特に感じたのですが、予選では靴全体のツヤが目立っていた方でした。
決勝の課題靴は?
決勝戦での課題靴は、三陽山長 友之介!
あの三陽商会が仕掛けるMADE IN JAPANの革靴トップブランドの名靴が出てきました。
これには出場者の方たちも予選とはあまりに違うタイプに驚きの表情。
ですが、まさにこのタイプこそが一般的な「シューシャイン、靴磨き」で磨かれるドレスシューズというものですから、胸が躍ったことと思います。
両足25分という時間制限のなかで厳しい戦いを強いられる各出場者ですが、やはり観戦側としてはその想いや、いまの気持ちなどは聞きたいところ。
前回予選に参加された縁(!)で今回、司会進行を務められたフリーアナウンサー新谷明美さんと飯野さんによる軽快なインタビューは見ているこちらとしても非常に楽しめました!
(前回優勝者は初めて磨くスクエアトゥの仕上げに悩むマニアックさ)
(素敵なご家族の応援団といわゆる所作にこだわりを感じたjkd113さん)
(特徴的な眼鏡を多数お持ちだった道北の方は、水研ぎならぬ汗研ぎを披露!?)
(どちらかという靴全体が光る手法の方は、靴磨き歴はまだ約1年なんだとか!すごい。)
優勝は・・・!
栄えある第二会北海道靴磨き大会優勝者は、ブロガー仲間の首藤さんのお知り合いでもある道北から参加された方でした!
優勝インタビューでは、予選終了後はかなり艶があったにも関わらず「最初からやり直したい」とおっしゃっていただけあって、とんでもない練習量をこなして参加されてたことがわかり、改めてこの靴磨きの難しさや奥深さを感じましたね。
本当におめでとうございます!!
(審査時間も長引くほどの僅差に納得)
エキシビジョン対決!
実は私がもっとも楽しみにしていたのが最後のコンテンツとなるエキシビジョンです。
何といっても現世界チャンピオンと日本大会大阪予選優勝者が戦う訳ですから、東京にいかずともトップシューシャイナーのバトルが見れる。こんな機会はなかなかありません。
さらにはサプライズで今大会の優勝者も参加となりました。(どうやら大会前にご本人がアイディア出ししていたそうで笑)
ルールは日本大会予選と合わせた片足10分。
チャンプ二人は乳化性クリームも塗られていない状態からスタートです。
そして課題靴は・・・予選と同じあの難易度の高い革靴です。
(ドレスとは対極にあるタフなレザーをどう料理するのか)
その様子は……。
やはり現場にいた人だけの思い出にしましょう。笑
私も格闘技を見るように真剣に魅入ってしまった素晴らしい10分間でした。
(わずか10分でどうやったらここまで磨けるんですか?)
第二回でも熱気あふれる北海道靴磨き大会
ということで今回は、北海道靴磨き大会の第2回目の様子をご紹介しました。
予選から見れたこと、そして会場が見やすいレイアウトになったこと。
さらにはそもそも非常にハイレベルだったこと。(情熱のある方が多い!)
昨年に比べて様々な部分がパワーアップしており、大変見応えのあるイベントでした。
さらには個人的にも嬉しい出会いもあり、本当に良い週末となりました。
関係者の皆さん、素晴らしい時間と空間をありがとうございました。お疲れ様でした。
(「我々コードバンなのにカーフの艶にめっちゃ負けてますね」の図)
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