革靴好きにとっての最終目標といえばやはり「ビスポークシューズ」ではないでしょうか。
古今東西の紳士靴を試した歴戦の勇者たち。
彼らが求めるニーズはそれはもう大変なものです。
- やはり自分の足は既成の木型では合わない…!
- あのブランドの廃盤になったあのデザインが…!
- このソールとこのアッパーで最強の1足を…!
- イギリスで修行したあのビスポーク職人で至高の革靴を…!
と、まあビスポークに行きつく靴好きは、世間一般的にはちょっとヘ〇タイ気味なこと請け合い。
もちろん、わたくしもその一人なのはご認識の通り。
しかし、北の大地北海道となるとお願いできる職人さんはよりどりみどりとはいきません。
上手い下手ではなく、やはりビスポークするならば色々な職人さんの中から選ぶところから楽しみたい。
だけどもはや本州に何回もいけるような状況ではなくなってしまった…、はてさてどうしようか?と、ただ時は過ぎるばかり…。
そんなときにご縁をいただいたのが、今回からご紹介するムードアンドフィーリング社が手掛けるフルオーダーシューズブランド「StairUp(ステアアップ)」なのでした。
StairUp(ステアアップ)とは?
StairUp Shoes
【買えば買うほどお求めやすく】
ビジネスマンに贈る本当のフルオーダー靴・革靴
StairUp(ステアアップ)は、Mood&Feeling,Incが手掛けるビスポーク業界では珍しい「3Dスキャンをによるオーダーシューズを製造する」新進気鋭のシューメーカーです。
元々は同社のMooV Shoes【問題解決型フルオーダーパンプス】という女性向けのオーダー靴ブランドで人気を博していた仕組みを活用したものとなります。
女性向けフルオーダーシューズから生まれたサービス
これまた開発経緯がなかなかユニークなんです!
足に悩みを抱えた奥様たちがデパートなどでMooV Shoesのオーダー靴をご注文。
旦那さん達は計測時から付き添い始め、デザインを考えている様子や、出来上がりを楽しみにしている奥さんを見ているうちに「足に合う靴ってそんなに良いのか?」とウズウズし始める。
そして、いざフルオーダーパンプスが納品されたときの奥様の感動の声を聞いてしまうと、「俺もほしい!」となってしまうんだとか。笑
そんな声がたくさん集まったことにより紳士靴版のサービスとなるStairUpが生まれたそうで、まさに現場のニーズから誕生した令和ならではのシューメーカーだと言えますよね。
フルオーダーシューズの実績は十二分!
ちなみに実績としては、これまで数千ものフルオーダーシューズを作成されており、リピーターも多いそうです。
先述の通り、すべて3Dスキャンによる製造となるため、履き心地の良い靴の製造にかかわる各種データ、ノウハウの蓄積は相当量あるんだとか。
オーダーの流れ
スマホ計測のフルオーダー紳士靴StairUpの制作の流れは下記となります。
「スマホ計測」だったり、「3Dプリンター」という単語が入っているのが時代の流れを感じますよね。
- 足をスマホ計測 ※本州などに在住していれば職人計測も可
- 計測データおよびデザイン等の希望を提出
- 3Dモデルを作成
- 3Dプリンターで仮靴木型を作成
- オススメ修正の提案
- 仮靴を作成しトライアル
- 仮靴で気になるポイントを提出
- 最終的なデザインを確定
- 3Dモデルを修正
- 3Dプリンターで本番木型を作成
- 本番靴を作成、納品
あくまで主役はお客さん
一般的なビスポークメーカーに革靴を依頼する際、「ハウススタイル」と呼ばれる軸となるポイントがあります。
それは例えばトゥの形であったり、全体的なテイストやバランス、あるいは履き心地であったりと、そのビスポークメーカーの各々の特色があり、一般的にはその「ハウススタイル+自分の足型」というような仕上がりになります。
しかし、StairUpにはハウススタイルがありません。
あるのは事実としての計測結果、そしてお客さんの好みのみ。
StairUpではオススメの修正内容の提案はするものの、原則として、製作者側の想いが一切入らないような仕組みとし、お客さんが主役であることを徹底しているそう。
なので、本当の意味で自分だけの一足をつくることができるんですね。
筆者がいつかビスポークしたい思っていたジャーミンストリートのビスポークメーカー「Foster&Son(閉店済)」
変更はギリギリまでOK!
ちなみに最終的な仕様やデザインについては、書面でお互いに確認をします。
その後、本番靴の作成に取り掛かります。
なので仮靴時点などの書面で合意するまでの期間であればデザインやアッパーなどの仕様を変更することが可能です。
私みたいな優柔不断には助かりますね。笑
スマホ計測の様子
さて、それでは実際にStairUpのスマホ計測の様子をご紹介していきたいと思います。
※本州在住の方はStairUp専属職人による計測を受けることも可能です。
計測用紙をダウンロードし、印刷する
まずは専用サイトから左右の計測用紙をダウンロード。
A4用紙2枚に印刷します。
印刷寸法が合っているか確認する
ちょっとパソコンに詳しい人なら「そんな適当に印刷したら正確に計測できないのでは?」と思うことでしょう。
その懸念は織り込み済みです。
印刷した用紙の左下には硬貨のシルエットが用意されており、ここに10円玉や100円玉を置いて確認することで正しい寸法で印刷されていることが確認できる仕組みになっています。(頭良い!)
(ピッタリとハマった10円と100円)
足を置き、足型をなぞります
次に思い描いている靴を履くときの靴下を履きます。
ドレスシューズなら薄手のソックス、ワーク系ブーツなら厚手のソックスという具合ですね。
踵をしっかりと合わせたら、いよいよ足型をつくります。
私は自分でやると上手くできなかったので、妻にやってもらいました。笑
これで足型が完成!
・・・相変わらずボールジョイントがドカンと広がっているなあ。笑
ちなみにカカトが合わせづらいので壁や固い本などを上手く使って合わせると便利ですよ。
足囲を測ります
最後は足囲を3か所測ります。
- ボールガース:足の一番広いところ(小指と親指の付け根)
- インステップガース:足の一番細いところ(土踏まず前方)
- ウエストガース:甲が一番高いところ(土踏まず後方)
印刷した測定用紙にペーパーメジャーがついているのが便利!
布製メジャーって裁縫する人じゃないとなかなか持ってませんからね。
測定データを送ります
左右の足の測定結果をスマホで撮影し、送信すれば測定は完了です!
※手で隠れてしまっていますが、各用紙の右下に先ほど計測した足囲を記入する欄があります。
(いやはや凄い時代になったものです。)
デザインを考える
最後はいよいよデザインを考えます。
どんなデザインにするか、フルオーダーシューズの醍醐味ですよね!
事前にある程度自由とは聞いていましたが、実際に内容を聞いて、その自由さに本当にビックリしました。
1.デザインは本当にすべて自由!
まず初めにデザインが自由です。
どんなデザインでもOK!
参考にしたいものがあれば写真、あるいはスケッチでも問題ありません。
これは紳士靴の範疇に限らないため、例えば捨て寸が数十センチの靴の納品実績もあるんだとか。笑
もちろんとにかく履き心地が良ければ良くてデザインを考えるのは面倒くさい!という場合は、オススメを提案していただけるそう!
(以前MTOした際のスケッチ)
2.もちろん各種仕様も自由!
2つ目として、もちろん仕様も自由です。
例えばソール。トリプルソールにしても良いですし、スペードソールももちろんOK。
アッパー素材も基本的にはオーダーに対しては可能な限り対応するそうです。
(エキゾチックレザーも対応していることにはビックリしました。)
驚くことに、この仕様には「履き心地」も含まれています。
例えば、土踏まずをキュッと狭めたい。とか、踵をピッタリフィットさせたい。などの履き心地に関わるところも自由なんです。
(例えばフルソックとか…)
3.ロゴは無し、必要であればオリジナルロゴ対応可能。
一般的にどんなシューメーカーでも「私達がつくったんだ」という証明のために、ロゴをインソールに施します。
そのロゴが入っていることに多少の価値を感じてしまうのも靴好きの特徴だと私は勝手に思っているのですが、なんとStairUpのフルオーダーシューズには「ロゴがない」んです。
というのもStairUpのスタンスとして、あくまで「靴をつくるまで」がStairUpで、「その先はお客さんが主役。」だからロゴって邪魔だよねという考えがあるんだとか。
そのため、何も指定しない場合、どこの誰が作った靴か全くわからないそうです。笑
※ちなみにお客さんがロゴや何かメッセージを入れたい場合はもちろん対応可能とのこと!
(既成靴でもっとも好きなEGのエンボスロゴ)
最終的に仕上がったのは黒靴デザイン!
ということで、最終的に仕上がったデザインはこんな雰囲気になりました。
モザイクがかかっていますが、見ての通り「黒い紳士靴」です。
靴好きが居酒屋で妄想するような仕様をもれなく詰め込みまくってみました。笑
かなりマニアックかつ、一般的には難易度の高いと言われる仕様もいくつか入れたので、どれだけ通るかがちょっと楽しみかつドキドキするところです。
次回は確認結果から仮靴到着までをご紹介したいと思います。
乞うご期待!
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