ドレスな腕時計のベルト、ストラップには大まかに2種類あります。
メタルストラップか、レザーストラップか。
メタルストラップはやや重量がありますが、どんな装いにも無駄なく合うのがポイントのひとつ。
一方で、レザーストラップ、いわゆる革ベルトは軽く、馴染んだときの腕のフィット感はメタルブレスレットとは一線を画すものです。
使えば使うほど馴染み、味が出てカッコ良くなる。
一方で私が大好きな革靴業界には「プレメンテナンス」という工程があります。
皮革製品は鞣された瞬間から新陳代謝から外れ、時間と共に崩壊していきます。
すなわち油分や水分が抜けていくわけですが、この進行を遅らせるために革にとっての栄養、すなわち油分や水分を靴クリームで補充することでメンテナンスを行っています。
レザー製品は製造されてからカスタマーの手に渡るまで、一般的にメンテナンスされることはありません。
そのため、おそらくはメーカーが意図している最適な状態で販売されていない可能性が高いものです。
プレメンテナンスは揮発・蒸発してしまった水分・油分を補充し、メーカーが意図していた最高の状態に戻すテクニックな訳です。
先日、いわゆるアガリの腕時計となる「ジャガールクルト マスターコントロールデイト」を手に入れたミウラ。
デフォルトで付属しているレザーストラップに革靴流のプレメンテナンスを施してみることにしました。
Novo Nappa Calf ノボナッパカーフについて
ジャガールクルト マスターコントロールシリーズに使われているカーフレザーは、フランスのタンナーHAAS社のNovo Nappa Calf ノボナッパカーフです。
一般的なレザーに比べて滑らかで加えてレザーの雰囲気が残った気持ちの良い風合いなレザーです。
自然由来の素材を使ったタンニン鞣しと薬品を使ったクローム鞣しを合わせた混合鞣しで製造されていることから、しなやかさはもちろんのこと、内部にはたっぷりオイルが入っており、長い期間の使用にも耐えられるような皮革素材といえます。
以前とあるサイトでダークブラウンに近いくらいまでエイジングした写真を見たことがあり、これからのエイジングも非常に楽しみなところ。
J.M.Weston 641 Golfにも以前使われていた!
このノヴォカーフ、靴好きの人ならおや?と思った方もいるかもしれません。
実はJ.M.WESTONの名作シューズ、641ゴルフのダークブラウンに使われていたレザーなんですね。
現在は供給等の都合により、ダークブラウンソフトカーフという名称の別レザーに切り替わってしまったそうですが、このあたりも今回のストラップは靴好きとしてはグッとくるポイントです。笑
プレメンテに使うのはコロニル1909シュプリームクリームデラックス
話をプレメンテナンスに戻します。
今回使うのはコロニル1909シュプリームクリームデラックスです。
本ブログでも数々のレザーアイテムを紹介するシューケアマニアとしては、どのレザークリームにするかは本当に悩んだのですが、やはりもっとも信頼のおけるかつ、その性能が腕時計ベルトに合っていると判断できるのはコロニル1909シュプリームクリームデラックスでした。
- 無色である
- 浸透性に優れ、ベタベタしない
- フッ化炭素樹脂が含まれており、防汚効果が期待できる
1.無色である
まず譲れない条件としては無色であることでした。
ドレスウォッチということで、原則として仕事中に着用することとなります。
その際に有色のレザークリームでケアをしていたならば・・・ご想像の通り、シャツの袖口に着色してしまうのは明白です。
ということでシャツへの着色を防ぐために無色を選びました。
2.浸透性に優れ、ベタベタしない
次の条件として、仕上がりがベタベタしないこととしました。
地面の汚れや雨に晒される革靴とは異なり、腕時計のストラップはほぼそういったダメージリスクに晒されることはありません。
そのため、仕上がりがオイリーな状態になるようなクリームは過剰といえます。
さらに腕という肌に直接つけるという点でも、仕上がりがベタベタしていることは好ましくありませんしね。
そんな訳で肌触りが良い仕上がりを好ましいと考えました。
3.フッ化炭素樹脂が含まれており、防水・防汚効果が期待できる
最後にやはり防水・防汚効果についてです。
いくら革靴と違って雨風に晒されるリスクが少ないとはいえ、このレザーストラップはライトブラウンです。
もう革靴好きならこのライトブラウンというレザーを見たときや聞いたときに「おっと手入れやケアが大変そうだ…」というのはおわかりいただけるかと思います。
それを解決してくれるのがコロニル1909シュプリームクリームデラックス。
クリームに含まれているフッ化炭素樹脂が軽い雨水などを跳ね返してくれます。
さらに肌に触れる部分においてもある程度の防汚効果も期待できますしね!
腕時計のレザーストラップをプレメンテする手順
それではさっそく腕時計のレザーストラップをプレメンテしていきたいと思います!
概略としては、クリームを塗って、馴染ませて、ブラッシングして終わりです。
指にほんの少量のクリームを取る
まずはレザークリームを指に取ります。
普段、革靴をケアしている人はここ気を付けてください。
いつもの半分以下で。
思った以上に腕時計のレザーストラップは面積が狭いので量が多すぎる状態になってしまいます。
ゆっくり丁寧にクリームをレザーストラップに塗り込む
指に本当に少量だけ取ったクリームをレザーストラップに塗りこんでいきます。
ひとつひとつ丁寧にしっかり塗り込んでいきましょう!
ただし……。
あっ!染みた!
ライトカラーのレザーはこのようにシミができることが多いと思います。
ですがここでやめるのはNG。必ずレザー全体に均等に塗り進めて馴染ませることをオススメします。
なぜなら、皮革への加脂により見た目の色の濃さが変化しているはずなので、中途半端に一部のレザーに加脂された状態で仕上げてしまうほうが可逆性なく仕上がってしまう可能性が高いためです。
一度塗ったら最後まで突っ走りましょう!!笑
馬毛ブラシでブラッシングしましょう
クリームを全体に馴染ませた後は、馬毛ブラシでブラッシングして仕上げをしましょう。
腕時計に使われるレザーはレザーバッグなどにも使われる繊細なレザーが使われることもあるので、豚毛ブラシや硬めの毛先を持つタイプは避けたほうが良いかと思います。
美しく、機能的に仕上がる。
ブラッシングを終えて、少しだけネル生地で磨いたのがこちら。
全体的にツヤが増し、さらに適度な柔軟性も加わりました。
ただ、ちょっと気になったのはコロニル1909独自の香りです。革靴のときはほぼ気になりませんでしたが、顔に近いところに使うといつもより香る気がしますね。この辺は好みかなと思います。
腕時計の革ベルトでの防水効果を検証
はてさて、コロニル1909シュプリームクリームデラックスを選んだのはその機能性にあることを忘れてはいけません。
さっそく水を垂らしてみましたので、その結果をご覧ください!
(このクリーム塗る前にトイレの手洗いで水が跳ねて吸い込まれていたのがウソのよう…)
まとめ
ということで今回は、ジャガールクルト マスターコントロールシリーズに付属するノボナッパカーフの腕時計レザーストラップのプレメンテナンスの様子をご紹介しました。
そもそも腕時計の革ベルトにプレメンテがいるのか?という議論もあるかとは思いますが、やはりやっておくと安心できる面もあるかと思います。
気になった方、あるいは以前から悩んでいた方の参考になれば幸いです!
- 無色である
- 浸透性に優れ、ベタベタしない
- フッ化炭素樹脂が含まれており、防汚効果が期待できる
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