女性向けのスケルトンタイプの手巻き腕時計。
このスーパーニッチなオーダーにも電子の海から探し出してしまうのがインターネット黎明期世代のこのわたし、古のネットユーザーことミウラです。orz…
そんなわけで彷徨いにさまよい続け、ついに手に入れた至高のスケルトンウォッチ!
(ババーン!!)
・・・ですが、あまりに長いショパールの歴史のなかでも特にマニアックな製品だったのか、まとまった情報がなかったんです。
私が色々と調べたところ、なかなかにおもしろいことになったのでちょっとブログ記事にまとめることにしました。
Chopard Skeleton Watch
まずこのスケルトン腕時計の特徴は下記。
- Chopard製
- 直径30mm
- ボディはホワイトゴールド
- 全面がスケルトン仕様
- ムーブメントに彫金が施されている
- 機械式手巻き時計
- スモールセコンド付き
- リファレンス№161092-1001
もう見るからに素敵なことはわかりますが、私が購入する以前からこの腕時計の名前や品番などはさっぱりわかりませんでした。(商品ページにも特段の記載なし)
ショパール(Chopard)といえば、メンズ用ではラグスポウォッチとして確固たる地位を築いたアルパインイーグル。レディース用では時計のなかでダイアモンドが動くギミックが特徴的なハッピーダイヤモンドウォッチなどが有名ですが、その歴史は他のウォッチメーカー同様に大変長く、1860年まで遡るほど。(ざっくり160年)
歴史が長ければ長いほど当然いわゆる名作といわれるプロダクトの数も増えていきます。それと同時に愛好家も…。
世界のどこかで何か情報を発信している人がいるに違いない!こんなに素晴らしい時計ですから何か情報があるはず!私はさらに電子の深淵と深く深く潜っていきました。
Sothebys オークション
まず見つけたのが2023年6月頃にあの超有名オークション、サザビーズで出品されていたのがこのイエローゴールドの個体。
リファレンス№は 161092-0001。
イエローゴールドのスケルトライズドリストウォッチ。1985年頃製造。
どうやら下四桁が1001がホワイトゴールド、0001がイエローゴールドなことが判明しました。
内部の彫金デザインも私が入手した個体とまったく同じで、ケースの縁側の彫りは最低限でムーブメント内部もできる限り、華奢に軽量になるよう構成されているように見えます。
なぜここで彫金デザインに触れるのか?
それは・・・
別バージョン彫金デザインがある
画像検索を進めるうちに驚く一枚を発見してしまったのです。
なんと、ほとんど同じデザインでありながら内部の彫金デザインがかなり違う個体があったのです。
私が所有している個体、そしてサザビーズで出品されている個体とは異なり、ケース縁には華やかなな模様が彫り込まれ、全体的にスケルトンならではの華奢感が薄まり、より装飾品的な要素が強調されたデザインとなっていました。
(フランスの宮殿にありそうな方向性の彫金デザイン)
ホワイトゴールドでも別バージョンを確認
もう少し探してみると、ホワイトゴールドでも同様の彫金デザインがありました。(フランス宮殿タイプと呼称しま・・・せん)
やはり私が入手した個体よりも少々華やかである種ゴツめの雰囲気に仕上がっています。
一方でひとつ発見したのは、リューズの宝石についてはゴールドはブラック、シルバーはブルーという仕様は固定的で変わらないようです。
ショパールに聞いてみよう!
ここまでの情報だと、私の所有している個体はなんだか華奢だし、偽物では??という気もしてくるのですが、実はすでに一度ショパールで純正オーバーホールが行われているため、偽物という可能性は排除されています。
とはいうものの、もう片方の華美な彫金デザインタイプが偽物だとは考えづらい…。
そんな状況となったこともあって、ここで満を持して公式に問い合わせを行ってみました。
私の行った問い合わせ内容としては、なぜデザインが複数あるのか、ムーブメントの仕様は?(パワーリザーブ時間が知りたかった)の2点です。
ショパール・ジャパンの回答
1980年代初頭に発売された手巻きモデルで、はっきりとした品名は不明です。
自社ムーブメント開発前であり、非常に古い個体となるためムーブメント仕様も不明となります。
1980年代とは言えばもはや40年以上も前。
デジタル化すらされていない時代で、当時の資料はすべて紙媒体でしょうからこの回答には納得です。フロッピーですらないでしょうから。
ムーブメントの仕様は、最近評判の良いショパールの自社ムーブメントでないことが明らかになりました。
ということは他社からムーブメントを仕入れてあのような加工を…?一般的にはステンレスで製造されていますが、わざわざホワイトゴールドでオーダーをかけて彫金したのでしょうか。全然わかりませんが、とにかく革靴もそうですが、昔の人って本当に素晴らしいというか凄まじい技術を持っているよなあと改めて思った次第。
Chopard SWISS本社の回答
あなたの指摘のとおり、この時計には異なるデザインが存在しているようです。
そしてどちらも同じ製品番号を持っています。おそらくはそれぞれがユニークだったと思われます。
おそらくは1983年頃のモデルと思われます。
次にマルチポスト()で聞いておいたショパール本丸からの回答。
こちらはもう少し踏み入った内容でした。
同じ製造番号だけれども、それぞれがユニーク(独自のデザイン)だった・・・!
私ももしや?と思っていた点でした。
実はサザビーズで出品された個体と私の個体、一見すると同じデザインの色違いなのですが、ゼンマイ部分のCのデザインがサザビーズ側にはなかったんですよね。
パッと見わからないデザイン上の「遊び」があったのだと確信を持った瞬間でした。
今の時代は絶対に考えられませんが、例えばレトロゲームだとプログラマーが勝手な裏技とか入れたまま発売してしまった例も沢山ある事を考えるとなんら不思議ではありませんし、何なら納得感が強まったくらいです。笑
ダイヤ入りバージョンもある
ちなみに超豪華バージョンとして、ベゼルがダイヤで敷き詰められたバージョンもありました。
彫金デザインは私のものと同じで、華奢なタイプ。ショパールのC文字もゼンマイ部分に施されています。
いやあ、しかし華やかだなぁ!もし機会があればどんな方が愛用されていたか知りたいところ。笑
アンティーク腕時計は同じ製品番号で複数のデザインがあることがある!
ということで今回は、ショパールのスケルトンタイプビンテージ腕時計の調査結果についてご紹介しました。
資料が少ない点、憶測が混ざっている点多数ありますが、現状手に入る情報はまとめられたかな?といったところ。本音を言えば「このスケルトン腕時計はどんな背景でつくられたのか?」とかまで知りたかったですが、40年以上前、かつちょっとニッチなデザインですから難しいんだろうなあと思っています。
アンティークにしろ、ビンテージにしろ、心惹かれたアイテムならばその歴史や背景ってやっぱり知りたくなってしまうのが人の性。(男の性かもしれない)
もし、より詳細な情報をお持ちの方は問い合わせフォームかSNSでぜひ教えてください!笑
(現物の輝きはウェブ等の掲載写真よりもずっと煌びやか)
(裏側もぬかりなくしっかりと彫金が施されています。ここまでくるともはやミニ四駆のような…)
(純正クラスプは軽かったので、ホワイトゴールドじゃないかも)
(直径14cmの腕にすっきりと収まる30mm)
ちなみにパワーリザーブはおそらく24時間+α程度。巻き止まりのある手巻き時計ですが、スケルトン仕様によりゼンマイ部分が丸見えなので、ゼンマイを引きちぎることはなさそうです。笑
またスモールセコンドは実際には非常に見づらく「手巻き時計が動いている感」を認識する用と化している点にも触れておきます。(・・・だがそれが良い。)
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