フランスが世界に誇る紳士靴ブランド、J.M.Weston。
万力締めと呼ばれるタイトフィッティングや、一時はタンナーを傘下に置くほどの品質管理、そして180シグニチャーローファー、641ゴルフオックスフォード、677ハントダービーや、さらにはクリースが入ったサイドゴアにジョッパーブーツなどなど、数多くの名作シューズを世に送り出し続けている素晴らしいシューメーカーです。
ウェストンフィニッシュとは?
ウェストンフィニッシュとは何か?
初めに断っておきますが、これは正式名称ではなく、ミウラが勝手に呼んでいる「JMウェストン店内に展示されている靴の仕上げ方法」のことを指します。
私も革靴にハマって早数年、色々なブランドの路面店に足を運びましたが、JMウェストンだけは明らかに展示靴の仕上げが異なりました。何かこう・・・ヌメッとしたような鈍い輝きを帯びていると前から感じていました。(笑)
いざ購入すると勿論そういった仕上がりはされておらず、所謂普通の良い革靴の状態なのですが、どうしてもこの仕上げが気になってしょうがない!ということで本場パリのビクトル・ユーゴー店で純正クリームとワックスを購入する際にそのやり方を習ってきましたのでご紹介したいと思います。
ウェストンフィニッシュの手順
1.道具を準備します。
使う道具を並べていきます。
少量の水も忘れずに!
今回使用するのはこの道具たち
- 馬毛ブラシ
- JMW靴クリーム(or 油性クリーム)
- JMWシューポリッシュ(or 手持ちのワックス)
- 柔らかい布(Tシャツあるいはネル生地)
- 磨くもの(ストッキング or ポリッシュグローブ)
- 少量の水
2.馬毛ブラシでブラッシング
まずは靴についたホコリや汚れ、古いクリームなどを取り除くためブラッシングします。
アッパーとコバの間も念入りに。
毛は馬毛です。JMWでは皮革に優しい馬毛ブラシをオススメしているそうです。
※純正ブラシも馬毛ブラシしかありません。
3.靴クリームを塗布する
ブラッシングが終わったら靴クリームをやわらかい布に取ります。油性で出来た靴クリームは革靴に栄養と柔軟性を与えます。
付ける量はほんの少し。と言っても日本でよく言われる米粒大ほど少なくはありませんね。
靴クリームを塗るコツについて
軽いタッチで円を描くように塗り込むのがコツだそう。
やってはいけないのは直線的に塗りこむこと。
塗りムラが起こりやすいうえに、力が入り過ぎてしまいがちになるためだそうです。
確かに時間が無いときは直線的にガーッと靴クリームを塗っていた記憶があります…。
塗り終わったら4-5分待ちます
靴クリームを2-3回程度塗りこみ終わったら、クリームが浸透するまで4-5分待ちます。
4.シューポリッシュを塗布する
靴クリームを靴に浸透させ終わったらいよいよポリッシングです。
こちらも柔らかい布に少しだけ取ります。
といってもやはり靴クリームと同様に日本で一般的な少しだけとは訳が違います。
事前に用意しておいた水にワンタッチしたら…。
全体的に円を描くように力を入れずワックスを塗りこみ磨いていきます。布からワックスが無くなったら再度取ります。
水に布を浸すのは最初の1回のみです。それ以降は水分が足りない(ワックスの伸びが足りない)と感じたら指を使って2-3滴垂らしてさらに磨いていきます。
全体的にワックスを塗り終わったら靴クリームとは逆に直線を意識して磨いていきます。
磨き跡がほぼ残らなくなったらこのステップは終了です。このまま4-5分待ちます。
5.再度ブラッシングをします。
ここが一番ビックリしたポイントでした。日本の一般的な靴磨きではここではワックスの被膜を壊さないようにさらに柔らかい布などで磨きこんでいくのですが、ウェストンフィニッシュの場合はあえてここで馬毛ブラシでブラッシングをするそうです。適度に被膜を崩すことで歩行時の柔軟性を確保しているのかもしれませんね。
6.仕上げのバフィングをする
ついに最後のステップとなりました。バフィングです。
この工程では色々な道具を紹介してもらいました。
大定番のポリッシュグローブ
まず1つ目はシューケアグッズの大定番。ポリッシュグローブです。ここではJMW公式のポリッシュグローブを使用していましたが、もちろんポリッシュグローブなら何でもOKとのことでした。我が家では羊毛をふんだんに使用したペダック社のレザーグローブを愛用しています。
隠れた名品ストッキング
靴磨きにこだわりのある方なら一度は使ったことがあるであろう婦人用ストッキングもオススメとのこと。奥さんか彼女に頼めばすぐに手に入れることができるのも手軽さも嬉しいところ。ちなみに私も彼も妻から調達している仲間でした。(笑)
まさかのシューバッグ
ちなみにシューケアグッズをほとんど持っていないようならJMWのシューバッグが便利だよ!と最後にビックリ仰天なご紹介。靴クリームを塗るにもワックスを塗るにもブラッシングやポリッシング、何でも使えるよ!と教えてくれました。ちょっと生地が固すぎるような気もしないでもないですが、とにかくご紹介でした。
シューケアの頻度について
ポリッシュは2週に1度
ヨーロッパのシューケアはやはりワックス重視のようです。
サントノーレ店で一般的なシューケアを教えてもらった時もワックスがメインでした。
靴クリームは4週に1度
反対に油性の靴クリームは1か月(4週)に1度程度が目安。なのでワックス+靴クリーム→ワックスだけ→ワックス+靴クリーム・・・と繰り返すルーティンになるようです。靴クリームの塗り過ぎは型崩れに繋がるそうです。
履きこんだシューズでは?
7年前後履いたシューズはワックスを使用せず、靴クリームだけのケアに移行することをオススメしたいとのことでした。やはりクラックの原因になってしまうそうです。というかサラッと7年という単位が出てきたことに、強烈なまでに高品質な靴を創り続けているJMWが想定している革靴の寿命を改めて感じました。7年は通過点に過ぎない訳です。
まとめ
ということで今回はJ.M.Westonの店頭で飾られているシューズの仕上げ方法をご紹介しました。もしかしたら店舗ごとに若干やり方が異なるかもしれませんが、私と同じようにあの鈍い輝きがお好みの方は是非試してみてはいかがでしょうか?
ちなみに油性クリームとポリッシュであれば純正でなくても問題ないとのことだったので、最高品質の油性クリームとなるサフィールノワールのクレム1925があればすぐに再現できると思いますよ!
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