コバブラシという靴ブラシをご存知でしょうか。
コバというのは革靴のアッパー(甲革)とソール(靴底)を繋ぐ、革のハチマキのようなパーツ「ウェルト」のことを指します。別名エッジや、エッヂとも呼ばれます。
このコバ部分はなかなかお手入れが難しく、専用のブラシ「コバブラシ」が発売されるほど。
本記事ではその「コバブラシ」について比較検討をしていきます。
指塗りの限界
靴磨きを趣味とする人であれば、靴クリームを指で塗る派の方も多いと思います。
指塗りの利点はアッパーの状態をダイレクトに感じれること。
乾燥だったりクリームの入れ過ぎだったり、経験を重ねることで指先の感覚は研ぎ澄まされていき、やればやるほど靴磨きがレベルアップしていきます。
しかし、指塗りには限界もあります。
そう、大変便利な指先でもアッパーとコバの間には、靴クリームを塗ることができないのです。
(これは盲点!)
指塗りできない範囲
靴クリームを指塗りできない範囲にラインを引いてみました。
その下にあるウェルトの外側部分であれば指でも十分に塗布できますが、この隙間は女性の指でも難しいでしょう。
コバブラシを比較する
ということで、今回はそんなアッパーとコバの隙間に限らず、コバ全体に効率良く靴クリームを塗布できるコバブラシについて比較検討していきたいと思います。
用意したのは4メーカーのコバブラシ
左からコロンブスのエッヂブラシ、ダスコのコバブラシ、サフィールのコバブラシ、ノーブランドのコバブラシです。
他にもいくつかコバ用ブラシがあったのですが、どれも大きめだったのでもっともコンパクトの見えた4つを選びました。
サフィールノワール レザーバームローション
コバ周りのシューケアには色々な手法があると思いますが、私は季節の境目くらいを目途にコバケアを行っています。
オススメはレザーローション。
伸びがよく、油分も含まれており、適度な汚れ落としの効果もあります。ちなみに私が使用しているのはサフィールノワールのレザーバームローションです。
エッヂブラシ/コロンブス(Columbus)
まずは一番初めは日本を代表するシューケア用品メーカー、コロンブス社のエッヂブラシです。
エッヂブラシはやや太めかつ適度に沿った柄が特徴で、ブラシ部分は縦長となっており、狙った位置にピタリと収まるほどよい大きさとなっています。
ブラシの大きさ的にコバだけではなくアッパーにも当たるため、コバだけにローションを塗り広げるにはちょっと大きいかもしれません。
- ブラシ素材:豚毛
- ブラシ長さ:約17cm
- ブラシ毛先:12mm×55mm
アプリケーターブラシ/DASCO(ダスコ)
次に試すのは一番大型のタイプとなるイギリスDASCO社製のコバブラシです。
全長約15cmで太目のブラシは持ちやすいですし、何よりクリームが乗せやすい!
アッパーへの靴クリーム塗布も想定されているため、コバ面への塗り心地はやや大味ですが、クリーム塗布という意味では満遍なく塗れそうです。
- ブラシ素材:豚毛
- ブラシ長さ:約15cm
- ブラシ毛先:15mm×45mm
ミニブラシ/Saphir noir(サフィールノワール)
次に試すのはサフィールノワールのコバブラシです。
全長約11cmともっともコンパクトなこのブラシは、小さいながら毛の密度も多くコバの奥までしっかり塗りこめそう。また、唯一木材の色合いがオレンジっぽく高級感があります。
ブラシの毛先自体はコロンブスのエッヂブラシとほぼ同じ横幅ですが、長さと高さが短くなっていることから、より細かい範囲をブラッシングできます。
- ブラシ素材:豚毛
- ブラシ長さ:約11cm
- ブラシ毛先:12mm×30mm
竹製コバブラシ/コロンブス(Columbus)
コロンバスの竹製コバブラシです。別名「竹ようじ」ともいうみたいで。
もっとも安いだけあって手にとった感じも安っぽく、軽く、そして毛も少な目です。
ですが、うーん?コバを塗るってことだけを考えたら…なかなかいいぞ?
- ブラシ素材:豚毛
- ブラシ長さ:約15cm
- ブラシ毛先:8mm×30mm
土踏まず部分でも比較
コバ部分が指で塗りこみにくいのは誰もが気が付く点ですが、実は土踏まず部分もクリームを塗れているようで濡れていないことが多い部分だったりします。(内側にえぐれているから仕方がありませんね)
コバブラシならばこういったえぐれた箇所も快適にブラッシングできねばなりません。
さっそくこちらも比較していきたいと思います。
コロンブスのエッジブラシ
順番は先ほどと同様で一番手はコロンブスのエッヂブラシです。
これはかなり良いですね、手前側に反った造りとなるブラシの柄が何一つ邪魔をすることなく、土踏まずをブラッシングできます。これはもう決まりか?
ダスコのアプリケーターブラシ
この4型では比較的大型となるダスコのアプリケーターブラシ。
土踏まず部分はちょっとやりづらさを感じますが、あまりえぐれていないタイプの靴なら問題ないように思いますね。(オールデンのモディファイドラストは厳しいかな)
サフィールノワールのコバブラシ
もっとも小型のブラシとなるサフィールノワールのコバブラシはこの通り、奥まで簡単にクリームを塗りこむことができます。
コバ部分と違って面積が少ないこともあり、ブラシの小ささはあまりデメリットに感じません。
コロンブスの竹製コバブラシ
最後はコロンブスの竹ようじことコバブラシ。
ブラシ自体が細長い上にブラシヘッドも小型のため、土踏まず部分はかなりお手軽にクリームを塗りこむことができます。あれぇ、竹製コバブラシやっぱりいいんじゃないの?笑
1点気になることといえば、処理がやや甘めのブラシヘッドがアッパーにぶつかったときが心配なことくらいでしょうか。
コバブラシの比較結果
ブラシ名 | エッヂブラシ | アプリケーターブラシ | ミニブラシ | 竹ようじ |
メーカー | コロンブス | ダスコ | サフィール | コロンブス |
ブラシ素材 | 豚毛 | 豚毛 | 豚毛 | 豚毛 |
ブラシ全長 | 17cm | 15cm | 11cm | 15cm |
ブラシ毛先 | 12mm×55mm | 15mm×45mm | 12mm×30mm | 8mm×30mm |
価格 | 約550円 | 約750円 | 約900円 | 約100円 |
さて、こちらの表が4つのコバブラシのスペックを並べたものとなります。
大きさに沿って価格が上がっていくこともなく、値付け感覚はてんでバラバラですね。
そうなるとも自分にとっての使い勝手で選ぶ他ありません。
最終候補はこの2つ
そんな訳でミウラが選んだコバブラシの最終候補がこちらの2本。
自分でも想像していなかったのですが、ブラシ別に使用用途を分けることにしたのでした。
コバ部分のホコリ取り用/エッヂブラシ(コロンブス)
まずは今までアッパー用の大きな馬毛ブラシを併用して対応していたコバ部分のホコリ落とし。
毛先がしっかりとウェルトとアッパーの隙間に入っているか心配でしたが、このエッヂブラシを使うことでホコリやチリなどを逃すことなく掻き出すことができそうです。
適度に大きめかつ沿り付きのブラシ、そしてやや大きめの長方形型の毛先はまさにピッタリです。
コバ部分へのローション塗布用/竹ようじ(コロンブス)
当初の予定だった「コバ部分へのローション塗布」に関しては同じくコロンブスの竹ようじコバブラシをチョイス。
実はローションには汚れ落としの効果があるため、元々アッパーに塗ってあったクリームの色を拾ってしまいます。なので、例えばブラックの革靴にローションを塗布した後、ライトブラウンの革靴に同じコバブラシを使ってしまうと色がガッチリ移ってしまいます。
そんなことから、できればカラー別に揃えたい気持ちがあったミウラとしては1本あたり100円前後というとんでもないコスパの良さは大変助かるものでした。
(結局4本追加で買い足しました。笑)
コバブラシのまとめ
ということで今回は革靴のちょっとお手入れが大変なコバ部分専用ブラシについて、比較検討してみました。
結果としてはコロンブス社の2本を選びましたが、このあたりの評価は人によると思います。
(例えば手の大きさだったり、足の大きさによる靴自体の大きさだったり)
いずれにしても革靴を長く履くには「革を劣化させてしまうホコリの除去」と「革に栄養を与える油分水分の補給」は必ず必要になるものですから、ぜひぜひお気に入りのコバブラシを探してみてくださいね。