雨用のラバーソールといえばダイナイトソール(DAINITE SOLE)です。
むしろ本格的な革靴のラバーソール=ダイナイトソールといっても過言ではありません。
靴底にある程度の厚さとラバーのスパイクがついているダイナイトソール付きの革靴を選べば、どんな悪天候でもレザーソールのように路面状況を気にせずに外に歩き出すことができますから、そんな意味でもダイナイトソールをあえて選ぶ方は少なくないと思います。
でもそんなDAINITE SOLEにも1つ心配事がありますよね。
頼りにしてるその「ダイナイトソールが削れた時はどうしたらいいのか?」という点です。
一般的なレザーソールであればハーフラバーを貼れば、半永久的に貼り換え続けることができますが、ダイナイトソールの場合はそうもいかず、「オールソールしかないのか…。」と思う方も多いのではないでしょうか。
実は「ダイナイトソールもハーフラバーで靴底を交換可能」なんです。
本ブログ記事では、ダイナイトソールに冬用のハーフラバーとなるVIBRAM Multi Control Techを貼りつける様子とその仕上がり、効果についてご紹介したいと思います。
ダイナイトソールでのハーフラバー交換とは?
ラバーのスパイクが無数についたダイナイトソール。
グッドイヤーウェルト製法ですから、アッパーに縫い付けられているウェルトに出し縫いされ、ダイナイトソール自体がしっかりと接着されています。
こちらは私の愛用する雨靴「チャーチのシャノン」です。
クロケットジョーンズのチルターン。こちらも同様にダイナイトソールが使用されています。
このようにいわゆる雨でも履けるといわれるほとんどの革靴の底はダイナイトソールになっています。
一般的なハーフラバー(レザーソール)
こちらは一般的なハーフラバーの例です。
靴底全面に広がるレザーソールの前方部分にユニオンワークス特製のハーフラバーが貼り付けられています。このハーフラバーは摩耗すれば再度新しいものを貼りつけることができるので半永久的に革靴を長持ちさせることできます。
余談ですが、このユニオンハーフラバーは大変に歩きやすく、耐久性もかなりGOODな優れモノでオススメです。(笑)
削れたダイナイトソール
さて、ダイナイトソールに戻ります。
買った直後から雨や雪の日でも履けてしまうダイナイトソールですが、もちろんそういった日ばかり履く訳ではありませんから、徐々に徐々に靴底が減っていきます。
ラバーのスパイクが削れきり、レザーソールより滑ってしまうという本末転倒な日も出てきたりします。
そんなときに「あぁ、レザーソールにしておけばハーフラバーを貼り変えることができたのになぁ…」と思ってしまいがちです。
ラバーソールにはハーフラバー貼れないだろうしなぁ。
ミッドソールだけ残してハーフラバー貼れたらいいんだけどな。
などなど人によっては思うことが違うとは思いますが、とにかく共通するのは「ダイナイトソールにハーフラバーは付けれない」ということ。
で
す
が
!
実はダイナイトソールにもハーフラバーを付けることができるんです!(私も知りませんでした)
ダイナイトソール×ハーフラバーの仕上がり
ということでこちらがダイナイトソールにハーフラバーを貼った革靴です。
レザーソールにハーフラバーを貼ったかのごとく、ラバーソールにハーフラバーが取り付けられています。
ダイナイトソールにはハーフラバーを貼れるんです。
ハーフラバーはレザーだけではなく、削ったラバーソールにも貼り付け可能。
もちろん、その耐久性はレザー×ハーフラバーに劣るものではなく、専門業者による強力な接着剤を使用しているものですから、さらに強固といっても良いほどです。
メーカーロゴも残したままハーフラバー取り付け可能!
今回この施工をお願いしたASHIDO HOKKAIDOさんでは「ブランドロゴをいかにカッコ良く、バランス良く残すか」という点についてもかなりのこだわりを持って対応してくれます。
「やっぱりチャーチ好きならこのチャーチのロゴは絶対残しておきたいところですよね!」
「ちょうど良いバランスになるようにやりますので安心してください!」
もうまさに完璧な仕上がりですよね。笑
シートウィール(踵車)も施してくれる!
ちなみにASHIDO HOKKAIDOさんは本当に靴・ブーツ好きな職人さんが修理を担当されているため、靴好き・ブーツ好きくらいしかわからない細かいポイントも押さえてくれるのが嬉しいポイントだったりします。
この写真、踵の積み上げヒール最上部をよーくみると縦線の模様が入っているのがわかりますよね。
これは「シートウィール(踵車)という模様」でいわゆる靴のただデザイン的な要素なんです。
このシートウィール(踵車)の一手間があることで、わかる人にはよりクオリティの高い靴に見えたりする訳なんですが、こんなマニアックなところも何もいわずともやってくれるのがASHIDO HOKKAIDOさんなんですねぇ。
DAINITE SOLEにHalf Rubberが貼れない・交換できないケース
ちなみに、ダイナイトソールでハーフラバー交換ができないこともあるそうです。
それがこちらのケース。
よくよくみるとダイナイトソールとウェルトの出し縫いがかなり広範囲に渡って切れていることが確認できます。
ハーフラバーを取り付ける際、レザーソールでもラバーソールでも貼り付け面を削る必要があることから、このレベルまで削れているとたとえハーフラバーを貼り付けれたとしても、さらに広範囲の出し縫いを切ることになってしまい、のちのち剥がれてしまうことがあるんだとか。
ダイナイトソールが削れてきてるみなさん、今一度出し縫いの状態をチェックしてみてください…。
VIBRAM MULTICONTROL TECH(ビブラム マルチコントロールテクノロジー)について
さて、ダイナイトソールにハーフラバーが貼れることがよくわかったところで、いよいよ「ビブラム マルチコントロールテクノロジー(VIBRAM MULTICONTORL TECH)」の実力を試していきたいと思います。
ビブラム マルチコントロールテクノロジー(VIBRAM MULTICONTORL TECH)とは?
ビブラム マルチコントロールテックとは、ビブラム社が開発した凍結した道路や濡れた歩道での転倒を防ぐための冬用ラバーソールです。
その特徴はユニークな構造にあり、なんと防滑効果のある布(ファブリック)がラバーソールの中に入れ込んであるんです!断面図をみてわかる通り、布が残る限りグリップが残る仕組みになっているので本当に長い間使えそう。
この特別なファブリック(布)が濡れた路面や滑りやすい路面でのグリップを発揮してくれるそうで、トレッキング、ハイキング、ハンティング、旅行、作業現場などでの使用を推奨するほどタフなソールです。
また、ラバー部分は-20℃までゴムが固くならないビブラム アイストレックが採用されていることもあり、巷ではビブラム アークティックグリップ、ビブラム2341 ラプターソールに続く「第三の冬用ハーフラバー」として注目されているんだとか!?
ビブラム マルチコントロールは雪道で滑らない?
それでは一面銀世界の北の大地で実施試験です!
やや硬くなった雪道、道民だとすぐにわかると思いますが一番靴が滑る路面状態です。笑
さぁどうだ!?
…なるほど、確かに滑らない。
感覚としては、もちろんまったく滑らないなんて事はありませんが、グリップが必要なところで適度にグリップしてくれるイメージです。突っかかるほど強力なグリップではないですね。
またお店などには入ってもセラミックが含まれたソールでよくありがちな「キュッキュッ」とした音が鳴らなかったのが個人的には高ポイントなところ。
うーん、ビブラム マルチコントロールテック。いいじゃない!
スニーカーやカジュアルシューズ・ブーツ用は別パターン。
ちなみにスニーカーやカジュアルシューズ・ブーツ用にはこれでもか!というほどに大量に防滑ファブリック(布)が埋め込まれたバージョンもあります。
こちらはホワイトカラーもあるそうなので、お気に入りのスニーカーをどうしても冬に履きたい!という方にもピッタリはまります。
まとめ:ダイナイトソールにハーフラバー交換は可能!
ということで本ブログ記事ではダイナイトソールにハーフラバー(ビブラム マルチコントロールテクノロジー)を交換貼り付けした様子をご紹介しました。
昔は「ダイナイトソールって雨雪に強いけど、削れたあとの対処大変そうだなあ」などと漠然とした不安を感じていたものですが、完全なる杞憂に終わりました。笑
ダイナイトソールが削れて滑りやすくなって困っている方は、ぜひ靴修理店に相談にいってみてはいかが?またいつかの相棒を履くことができますよ♪
冬用ラバーソール大好き人間のミウラ(@miura_na_hibi)でした。
ブログ内を検索する!