革の宝石とも呼ばれる「コードバン」素材。
とくにアメリカを代表するシューメーカー、オールデン社(ALDEN)で作られるコードバンシューズはアメカジ好きから革靴好きまで幅広い層に大変人気がある靴としても有名です。
コードバンは奥から光るような独特の光沢感はもちろん、磨けば磨くほど輝く素晴らしい艶感であったり、革靴であれば大きくうねるような履きシワが楽しめるのが特徴で、毎年毎年幾多の人々がいわゆる「オールデン沼」にドップリとハマっていきます。
履きこまれたALDENのコードバンブーツ
https://www.e-begin.jp/article/38185/
一方で、コードバン素材は一般的な銀付き皮革素材と比べ、取り扱いに少々癖があることでも有名だったりします。
本記事ではそんなコードバン素材を用いたオールデン(ALDEN)の革靴を、アビーホーンの「スリーキングボーン(Sleeking Bone)」という珍しいアイテムを使ってケアする様子をご紹介したいと思います。
コードバン素材の特徴
さて、ここでコードバン素材の特徴についてもう少し軽く触れていきたいと思います。
その美しい艶感が有名なコードバン、実はスウェードのように起毛している皮革素材です。
Horween社でのグレージングの様子
https://vcleat.com/horween-leather-co/
それをグレージングと呼ばれる工程で特殊な機械を使って押し潰して馴らした結果、あの光沢感が生まれているんですね。
こういった背景があることから、コードバンは使っていく中で徐々に毛羽立ちが発生してくる特徴があります。(さすがにスエードのようにはなりませんが)
アビーホーン(ABBEYHORN)
今回使用するアビィスリーキングボーン(Sleeking Bone)を製造しているアビィホーン社についても簡単に。
Abbeyhornはイギリスにある水牛の角の高品質な加工品をメインとしている会社です。
靴ベラや靴ブラシ、アクセサリーにパイプなど、数多くの素晴らしいアイテムを多く発売していますが、革靴好きにとってもっとも有名なのは「アビィレザースティック」でしょう。
アビィレザースティックが有名
コードバンケアアイテムとして日本でもっとも有名なのがこちらのアビィレザースティック。
シューケアに興味が無い人がみたら、一体全体何に使うのは検討もつかない物体でしょう。笑
アビィレザースティックとはまさにハンドグレージングのためのアイテム。
色々な理由で表面が乱れてしまったコードバンを押し潰すためであったり、荒れてしまった革底(レザーソール)を均すときにも使うことができます。
スリーキングボーン(Sleeking Bone)の紹介と使用レポート
さて、それではようやくアビィホーンのスリーキングボーン(Sleeking Bone)とその使い方についてご紹介したいと思います。
商品名はBONE…となっていますが、もちろん骨そのもので作られたシューケアアイテムではありません。
いわゆるボーンチャイナ、牛骨粉と粘土を混ぜて成型し焼き上げて作られています。
平べったく、そして独特なねじれが特徴的なスティック。
実際に手に持ってみるとその見た目から想像できないほど意外な重量感を感じます。
この独特の形状によってアビィレザースティックではケアしずらい土踏まずなどの狭い部分をカバーできるということだそう。
確かに先端はレザースティックでは明らかに入らないようなところもグリグリできそうな薄さになっています。
(ちなみにもはや懐かしいハンドスピナーのように回すこともできます)
1.靴紐を取る
前置きはそこそこに、実際に使っていきたいと思います。(待ちきれない)
まずは靴紐を取ります。
靴紐が付いたままだと羽根部分の紐とかぶっている部分を擦ることができません。
(といってもデイリーケアではわざわざ外さなくてもいいかなと思ったり)
2.馬毛ブラシでブラッシング
馬毛ブラシでブラッシングし、アッパーやウェルトの隙間にあるチリやホコリを取り除きます。
コードバンは傷がつきやすい素材なので少し長めにブラッシングするのがオススメ!
3.コードバンクリームを塗りこむ
サフィールノワールのコードバンクリームを塗りこんでいきます。
皮革への栄養補給(油分・水分)という意味ではデリケートクリームなどでも代用できます。
しかし…
コードバンクリームには毛羽立ちを押さえる効果等も追加されていますので、もしお持ちでないならひとつあっても良いと思います。
4.スリーキングボーン(Sleeking Bone)で擦りこむ
いよいよコードバンのレアケアアイテム「アビィスリーキングボーン」の登場です。
毛羽立ってしまったコードバンの表面を押し潰すように馴らしていきます。
潰したところは跡が残るのでわかりやすい!
手に持ったときは果たしてこれは使いやすいのか?と思ったのですが、人口工学に基づいて設計されたかのような不思議なフィット感がありますね。
力を入れすぎて滑って逆にコードバンに傷がついてしまう!ということは起き難いように思います。
狭いところにも入り込む!
さて、Abbey Sleekingboneにもっとも期待するところでもある「狭い部分」のハンドグレージングはどうでしょうか?
アッパーとコバの間はアビィレザースティックだとちょっと難しい・・・
そこにきてスリーキングボーン(Sleeking Bone)ならば・・・!
うーん、いいじゃない!
土踏まずのクビレが凄いことでも有名なALDENのモディファイドラストでも簡単にこすることができます!(画像は土踏まず側ではありません)
問題無くハンドグレージングができました
ほとんどの面をスリーキングボーン(Sleeking Bone)で擦り上げました。
やはり大きな面はアビィレザースティックに一日の長がありますが、スリーキングボーン1本でもまったく問題ありませんね。
ちなみに片足で15分前後かかりました。多少は力を入れて擦る必要があるのでササっとやるのはちょっと難しいと思います。
ここからツヤ感が戻るのか?と不安になってしまうほど擦りました。
(トゥ側のマシンステッチ部分が怪しいですね!)
5.ブラッシング
スリーキングボーン(Sleeking Bone)で毛羽立っていた箇所を全部押し潰し終わったら、ブラッシングをして表面を均してやります。
ここでも馬毛ブラシが推奨です。
硬すぎる毛のブラシだとやはりコードバンに傷がついてしまうケースがありますから。(そういえば、ハワイのLeather Soulで強く言われたなぁ)
6.バフィング
最後はバフィングです。
やわらかい素材で磨き上げましょう。
ネル生地、レザーグローブ、ストッキングなんでもOK!
磨けば磨くほど艶が出てくる楽しい瞬間ですね。
Sleeking Boneのビフォーアフター
スリーキングボーンを使ったハンドグレージングは果たして本当にコードバンの毛羽立ちを直すことができたのか?
ビフォーアフターを見ていきましょう。
開始時
まずはちょっと手入れをさぼっていたオールデンのコードバンシューズ5610。
バンプ部分がかなり毛羽立っているのがよくわかります。
ハンドグレージング後
次にアビースリーキングボーンでグリグリとハンドグレージングした直後のコードバン。
全体的にマットな質感になっていますが、この段階で毛羽立ちがかなり目立たなくなってきています。
ブラッシング&バフィング後
そして最後にブラッシング&バフィング後。
「想像以上に毛羽立ちが綺麗になったなぁ~!」というのが第一印象。
写真では立体感が掴みづらいのでなかなかわかりづらいところもありますが、実物はかなり差が出ました。
次の画像だともう少しわかりやすいかもしれません。
上:ビフォー 下:アフター
上の画像がまだスリーキングボーンを使っていないオールデンのコードバン。
下の画像が本記事のなかで擦って毛羽立ちを潰したオールデンのコードバン。
こう並べてみると明らかに差が出ていますね!すごいぞスリーキングボーン!
ABBEYHORN Sleeking Boneのまとめ
コードバンケア専用の超マニアックアイテムとなるボーンスリーク。
実際に使ってみた感想としては、必須アイテムではないもののコードバン好きなら持ってて損はしないかなと感じました。
土踏まず部分やウェルトの際など、細かい部分もしっかりとケアしたい!珍しいシューケアアイテムには目が無い!そんな人にはピッタリなアイテムです。
- コードバンのためだけに作られたレアなシューケアアイテム
- アビィレザースティックではやりづらい箇所を補完できる!
- 持っている人はほとんどいない!笑
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