ロンドン中心部ピカデリーサーカスから西へ数分、83 ジャーミンストリートに工房兼お店を構える英国紳士靴界の伝説的なシューメーカー。
それがFOSTER&SON(フォスターアンドサン)です。
ラストマスターと呼ばれたテリー・ムーア氏によるビスポークシューズで名を馳せた同社ですが、その後継者はなんと日本人、しかも初の女性となる松田笑子さんに引き継がれていました。
その後、双日GMCが共同出資した初の自社工場によって、当時最高品質の既成靴ラインがスタート。
順調万端に思えた船出でしたが、今も続く新型コロナによる消費の急激な落ち込みにより、最終的には工場がストップする状況となってしまいました。
私とフォスターの出会いはこちらの記事にて!
フォスター&サンのローファーは3スタイル
そんなFOSTER&SON(フォスターアンドサン)ですが、
自社工場製のローファーには、3つのスタイルがありました。
- Burford(ペニーローファー)
- Aston(フルストラップローファー)
- Gosford(タッセルローファー)
Burford(ペニーローファー)
まずは私が今回購入したもっともクラシックなスタイルとなるBurford(バーフォード)です。
拝みモカが多い本格靴のローファーのなかでは少し珍しいつまみモカタイプ。
- ラストはローファー専用の18番。
- スタンダードラインとなるジャーミンコレクション。
- 展開カラーはブラック、アンティークブラウン、オックブラッドの3色。
Aston(フルストラップローファー)
こちらはアストンと呼ばれるフルストラップローファー。
一見するとバーフォードとの違いがわかりませんが、甲を抑えるストラップ部分が、土踏まずからボールジョイント踵側まで伸びており、サポート力は抜群そうです。
- ラストは同じくローファー専用の18番。
- 上級ラインとなるフォスターコレクション。(専用のフィドルバック付きのレザーソール等)
- ブラックとアンティークブラウンの2カラー展開。
Gosford(タッセルローファー)
最後はタッセルローファーとなるゴスフォードです。
バーフォート同様の摘まみモカに加え、タッセル、そしてアウトサイドカウンターが追加となっています。
- ローファー専用の18ラスト。
- 上級ラインのFoster Collection(フィドルバック付きのレザーなど)
- ブラック、ヘーゼルブラウン、オックブラッドの3色展開。
私とバーフォードの出会い
私がこのBurford(バーフォード)を手に入れるまで本当に紆余曲折がありました。
初めの出会いはロンドンのジャーミンストリート。
次は、青山のバルカナイズロンドン。
そしてフォスター&サンの公式サイト(のセール)です。
ロンドン Jermyn Streetでの出会い
忘れもしないロンドンパリ旅行。
その後半戦で訪れたのがロンドンの紳士用品通り「ジャーミンストリート」にあるフォスターアンドサン本店です。
ちょうど自社工場製のフォスターアンドサンのRTWが出回り始めた直後で、私たちはちょうど最初期のロットにお目にかかることができました。
確かあったのはサンドリンガムとハイクレア、それにバーフォードのブラックだけだったはずです。
何人ものジャパニーズカスタマーがお世話になったであろうアンディ氏に直接フィッティングしていただきました。(エドワードグリーン、アンソニークレバリー、そしてフォスターアンドサンと渡り歩いたカリスマ店員さんです)
私がUK8.0EとUK8.5Eで悩んでいると…
「ちょっと立ってみてくれるかい?」
(足のバンプ部分、小指、甲部分を触る)
「Okay、UK8.0Eだと歩くときに小指が曲がって当たるように見えるね。」
「間違いなく君にフィットするのは8.5Eだ。」
「だけど、たぶん自分はUK8.0Eっていう考えに頭が染まっていると思うから…」
「また別の日にもう一度フィッティングして決めればいいよ。」
「ウィスキー飲む?」(そして酔う)
このときはなぜかUK8.5Eが緩めに感じたんですよね。
古き良き足長計測器で測ってもらった私のサイズはUK8.5でした。
結局、翌日時間が取れず、購入せずに帰国することに。
このとき購入していれば、国内あるいは世界最速でブログ紹介していたかもしれません笑
バルカナイズロンドン(青山)での試着
友人の結婚式のついでに訪れたバルカナイズロンドン青山店。
すでに日本への供給がスタートしており、写真の通りハイクレア、サンドリンガム、バーフォードがブラック以外のカラーも揃った状態となっていました。
今回もUK8.0EとUK8.5Eで悩みます。
やはりUK8.0Eの方がフィット感が強い!ですが、指先周りを中心に少しでも浮腫んだらアウトな雰囲気もあります。
そんなこともあろうかと、私的ベストサイズのローファーとなるJ.M.WESTONの180ローファーと履き比べました。
UK8.0Eは明らかにタイトで、UK8.5Eは同じくらいのタイト感です。
J.M.Westonと比べるとやはりUK8.5Eが私の足にフィットしている気がします。
ですが、UK8.0EでもMY180よりノーズが長く、UK8.5Eだと紐靴並みに伸びているように見えます。(終わらない)
ちょうど180ローファーで大苦戦した後だったので余計に慎重になっていましたね泣
UKブランノックデバイスで測ったところ、私の足はUK8.5でウィズはEとFの中間程度。
やっぱり、UK8.5Eかなぁ?結局決め切れず、時間切れに。
最後はフォスターアンドサン公式サイトから。
黒いローファーへの想いは募るばかりの日々。
他のシューメーカーでも探し始めていたところ、なんと公式サイトで生産停止によるディスコンセールがスタート!
もう悩む理由はない。(本当は靴仲間に少しだけ相談させてもらいました笑)
数年の時を経て、最高のブラックローファーがようやく我が家にやってきたのでした。
Burford(バーフォード)ラスト18
メーカー | Foster&son(フォスターアンドサン) |
製品名 | Burford(バーフォード) |
スタイル | ペニーローファー |
アッパー | ビスポーク仕様のブラックボックスカーフ |
ソール | オークバークソール |
製法 | グッドイヤーウェルト |
ラスト | Last18(ローファー専用ラスト) |
製造 | フォスターアンドサン自社工場 |
- ペニーローファーとも呼ばれる洗練されたショートサドルのカジュアルシューズ。
- スマートラウンドのトゥが特徴のローファー専用ラスト18を採用。
- ビスポークでも仕様される品質のブラックボックスカーフをハンドカット。
クラシックスタイルのペニーローファー
バーフォード(Burford)はどんなシーンでも使いやすいクラシックスタイルのローファーです。
日本のマナー講座では、ローファーはオンではちょっと…という話をよく聞きますが、
少なくともロンドン中心部の道行くオフィスワーカーが黒いローファーを履いているのを何度も見てきましたので、本場ではアリなんじゃあないかなあと思う今日この頃です。笑
アメリカで甲を抑えるサドル部分の半円にペニーコインを挟むことが流行したことで、今では”ペニーローファー”と呼ばれることが多いこのスタイルですが、
元祖革靴の国イギリスで”ショートサドル”と呼ばれているのは、なるほどの一言でした。
つまみモカ
ほとんどのメーカーのペニーローファーは合わせモカという手法でつま先まわりのデザインをつくっています。パーツ数としては縫い合わせの関係上、2~3枚が多いでしょう。
しかし、フォスターアンドサンのバーフォードはつまみモカという手法を取っています。
これはつま先周りの半円のデザインを1枚のアッパーレザーから作り出す非常に手間のかかるもので、フォスターアンドサンのプライドが感じられる意匠となっています。
合わせモカ特有のモカ割れが起きづらいのもグッドポイント!
ハウススタイルのシンプルなオークバークソール
12か月間もじっくりと鞣されたオークバークソールは、一般的なフィニッシュより暖色薄めに仕上げられています。
この初期型ロットはシンプルですが、新しいロットでは型押しロゴが積み上げヒール手前に入ります。
画像ではわかりづらいですが、踵側のベージュに近い色味がレザーソール全体に広がっていてなんとも言えない良い雰囲気です。
踵の腰裏はスエード仕様
私がおおーっと思ったのは踵の腰裏部分です。
ローファーは踵が浮きやすいため、銀面とは反対側のレザーを配置するのはよくみるのですが、その形状に一手間加わっており、摩擦を高めたいところだけに当たるようデザインされているんです(!)
ビスポーク仕様の履き心地とブラックボックスカーフ
気になる履き心地ですが、
国内正規取扱店のリファーレさん曰く「一般的な革靴と違い、芯材が土踏まずまで伸びているビスポーク仕様のため、履き心地が非常に良い」んだとか。
また、ブラックボックスカーフですが、ビスポークで使われるくらいの超高品質なものを使っているようです。
じっくりと他の靴達と比べてみると…、やや厚みがありながらもより目が詰まっていて、耐久性にも期待できそうな気がします。
バーフォードのサイズ感や履き心地は?
ということで実際にFoster&SonのBurfordを履いてみました。
足を入れるとシュポッと靴から空気が抜ける音。
履き口周りはすべて足にピッタリとフィットしており、笑う部分はありません。
足全体がややキツめの圧迫感を感じますが、痛みを感じるほどではありません。
踵を軽く上げると、無理なくヒールカップがついてきます。
いまのところ、完璧に私の足に合っています。笑
UK8.5Eは26.5cm相当
サイズはUK8.5E。
私は足の実寸が26.5cm強くらいで、UKサイズは8.5EF程度です。
私と同じ実寸で幅が細目の方もUK8.0Eはきつかったそうなので、フォスターアンドサンのつくりはやや小さめなのかもしれません。
J.M.Weston180ローファーとの比較
せっかくなので、さんざん悩んだウエストンのローファーと改めて比較してみました。
ウェストンは7/D、フォスターはUK8.5Eです。
ボールジョイント部はほぼ同程度ですが、指先まわりはウエストンのほうが広いです。
ノーズについては、あきらかにバーフォードが長く、これのせいでサイズ選びを決断できなかったのかなと。
今ではノーズの長さに惑わされない自信があります!(どうかな)
ヴァンプ部分の高さはほぼ同じですが、甲の立ち上がりに差があります。
明らかにバーフォードのほうが低めに抑えられており、より快適なフィット感が得られそうです。
またノーズ問題ですが、横から見ると明らかにデザインとして伸びているだけであり、捨て寸を確保しているスペースはほとんど同じでした。(!)
ヒールカップは強めのカーブを描いており、踵によりフィットする形となっています。
まとめ
ということで本記事ではFoster&sonのBurfordローファーをご紹介しました。
長年探し続け、追い求めていたローファーをようやく入手でき、喜びもひとしおと言ったところ。
あとはこのローファーを履き下ろせる雪解けを待つばかりです。
次回もフォスターの予定です(!)
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