最強ローファーの決定版となるJ.M.WESTON Signature Loafer 180について、3パターンの靴サイズからあらゆる角度でサイズによる違いやサイズの選び方を検証してみました。
実際に3つのサイズ・ウィズ違いを購入して失敗して辿り着いた答えとは・・・?
J.M.WESTONシグネチャーローファー180とは?
それはローファーを愛するものの頂点・・・。1940年代に誕生したグッドイヤーウェルト製法で出来たローファーです。
超良質なボックスカーフで作られたこの靴は履けば履くほど持ち主の足に馴染むということで世界的にも熱狂的なファンが多いことでも有名です。
またサイズに関しても標準ウィズと幅広ウィズのほぼ2択な一般的なメーカーとは異なり、レングスは4mmピッチ、ウィズに関しても6種類もの広さから選ぶことができ、まさに規制靴のビスポークと言っても過言ではないくらいフィッティングについて突き詰めることができます。
しかし、このローファーは非常に長い時間をかけて足に馴染むのが特徴で、履き始めはいわゆる”修行”だとか”万力締め”などと表現されるほどの苦痛を伴う時期があるのが唯一の悪い点でしょうか。(笑)
今回は、色々な経緯があり3パターンのサイズが手元を通った(笑)ので、サイズによる違いなどを色々な角度から見ていきたいと思います。
試したサイズ
- 7/D 7.5D UK8.5E
- 7E 7.0E UK8.0F
- 7/E 7.5E UK8.5F
1.各部分の寸法を測る
ソールの縦寸(縦の長さ)
7E UK80E
ソールの縦寸は約28.3cm
7/D(7.5D) UK85D
ソールの縦寸は約28.8cm
7/E(7.5E) UK85E
ソールの縦寸は約28.8cm
ソールの横寸(横の長さ)
7E UK80E
ソールの横寸は約10.4cm
7/D(7.5D) UK85D
ソールの横寸は約10.4cm
7/E(7.5E) UK85E
ソールの横寸は約10.6cm
ボールジョイント部の大きさ
7E UK80E
ボールジョイント部の大きさは約16.5cm
7/D(7.5D) UK85D
ボールジョイント部の大きさは約16.5cm
7/E(7.5E) UK85E
ボールジョイント部の大きさは約16.8cm
第一関節部の大きさ
7E UK80E
第一関節部の大きさは約14cm
7/D(7.5D) UK85D
第一関節部の大きさは約13cm
7/E(7.5E) UK85E
第一関節部の大きさは約14.4cm
踵までの長さ
7E UK80E
踵までの長さは約6cm
7/D(7.5D) UK85D
踵までの長さは約6cm
7/E(7.5E) UK85E
踵までの長さは約6.2cm
2.他の靴との比較
vs J.M.WESTON 641Golf 7/E(7.5E)
私がパリで同時に購入した641ゴルフとシグネチャーローファー180の比較画像になります。
実はゴルフのウィズは狭めに、レングスは長めに設定されており、ウェストンのシューズボックスでの表記もウィズは-1サイズ、レングスは+0.5サイズとなっています。7Eであれば7.5Dと表記されています。
シグネチャーローファー180はレングスが-1.0サイズ下がるものの、ウィズは変わりません。
7E vs 641Golf 7/E(7.5E)
180シグニチャーローファーがUK8E、641ゴルフがUK8Dとなるこの組み合わせ。実際のレングスは180シグニチャーローファーの方がやや短めです。
7/D(7.5D) vs 641Golf 7/E(7.5E)
次に641ゴルフがUK8D、180シグニチャーローファーがUK8.5Dとなる組み合わせです。このパターンだとゴルフと180シグニチャーローファーはほぼ同じレングスになりますが、紐靴とスリッポンなので同じレングスだと悲劇が起きてしまいます。
7/E(7.5E) vs 641Golf 7/E(7.5E)
最後が180シグニチャーローファーがUK8.5E、641ゴルフがUK8Dとなる組み合わせ。明らかに180シグニチャーローファーのウィズが641ゴルフより大きくなっているのがわかります。事実履き心地としても641ゴルフのほうがタイトでした。
3.同じ靴との比較
vs J.M.WESTON 180シグニチャーローファー
さて、最後に同じ180シグニチャーローファーの別サイズとの比較画像です。
レングス違いとウィズ違いがあります。
7/E(7.5E) vs 7E
パリサントノーレ店での1枚。
いま思えばこの7Eがベストサイズだったわけです。ウィズがそのままなので単純に一回り小さくなっています。
7/D(7.5D) vs 7/E(7.5E)
同じくパリサントノーレ店にて。こちらのショットは記事中にもありますが、DとEだとここまで差があるのがよくわかる1枚。Eウィズのほうがグラマラスという表現がピタリとあうフォルムだと思います。
7E vs 2D(Ladies)
これはオチです。(笑)
たぶん私の靴に妻の靴がスッポリと入ります。
4.レビュー
改めて記事にすると自分にドン引きしてしまう素材が揃ってしまっており戦慄を覚えましたが仕方ありません。これが事実です。(涙)
自分の場合、足に合わない靴は必ず履かなくなります。そう思うと無駄な投資でなかったと信じています。そう言い聞かせています。(笑)
とまあ冗談はさておき、さっそく各寸法を表にしてみました。
J.M.WESTON 180シグニチャーローファーのサイズ別寸法
サイズ別寸法表
7E | 7/D | 7/E | |
縦寸 | 28.1 | 29.0 | 29.0 |
横寸 | 10.4 | 10.4 | 10.6 |
ボールジョイント | 16.5 | 16.5 | 16.8 |
第一関節 | 14.0 | 13.0 | 14.4 |
踵まで | 6.0 | 6.0 | 6.2 |
この表からわかるのは下記ポイントです。
- 1サイズごとにソールの長さが約0.9cm変化する。
- 1ウィズごとにソールの幅が約0.2cm変化する。
- 1ウィズごとにボールジョイントの大きさが約0.3cm変化する。
- サイズを上下させると、ウィズも連動して上下する。が、
- XサイズYウィズとX+1サイズY-1サイズの横幅はほとんど同じとなる。
(7Eと7/Dの横幅はほぼ同じ)
ミウラのローファーのフィット感
私がパリのサントノーレ店で実際に試着した画像とフィット感がこちらになります。
7E UK80E
カカトは浮かず、全体的に圧迫感を感じるものの、一点のみが痛い箇所はありません。
(結論としては、このフィット感がベストです)
7/D(7.5D) UK85D
こちらもカカトは浮かず、全体的に圧迫感を感じますが側面側の圧迫感はさらに強いです。
7/E(7.5E) UK85E
カカトは歩き方によって若干浮きますが、サドル部分に適度な圧迫感を感じつつも紐靴を選ぶ際と同じフィット感です。今まで小さめを選んで失敗してきた私はこれで判断を誤りました。(笑)
参考情報(普段のサイジング)
- チャーチ173ラスト 80G
- チャーチ103ラスト 85F
- ジョンロブ7000ラスト 80EE
- パラブーツ 85
- ALDEN モディファイドラスト 8.5E
- ALDEN バリーラスト 9D
- J.M.WESTON 641ゴルフ 7.5E
参考画像
履き下ろし直前の画像です。
妻と私の足をお互いのローファーの横に置いてみました。足と靴のカカト部分を合わせて撮影しています。(中心部から離れるにつれて歪んでみえるので注意)
26.5cm幅広の足と7E
扇形でエジプト型の幅広足なので、ボールジョイント部はまだまだ横寸が足りていませんが、足首あたりは初めからジャスト気味でした。
22cmの足と2D
妻の足は現代人の足に近く、ローファーと同様に楕円型なのでしっかりとフィットしていました。ちなみにJMウェストンのゲージだと1.8程度だったこともあり、ローファーにしてはやや捨て寸があります。
5.J.M.WESTON 180シグニチャーローファーのサイズの選び方について
このローファーは非常にサイズ選びが難しい一足となります。それには大きく2つの理由があると思っています。
理由1 ヒールカップが垂直
まずそもそものローファー自体の形が曲者です。通常、本格靴のヒールカップは歩いたときに踵に付いてくるように立体的な形に成形されています。深めだったり浅めだったりと多少の違いはありますがこのヒールカップの形状が非常に優れているからこそ、素晴らしいフィット感を楽しむことができるわけです。
しかし、ローファーの場合は同じようにはいきません。一般的なローファーのヒールカップは垂直に近い形となっているため、いつもと同じようなフィット感で選んでしまうとヒールカップが踵に食いつかず、歩くたびに踵がスポスポと抜けてしまうようなサイズとなってしまうのです。
理由2 靴ひもが無い
見た目の通り靴ひもが無いため、甲周りのフィッティングについてはサドル部分に依存します。そして前述の通りヒールカップが垂直であるがゆえに捨て寸を考慮してサイズを選ぶのではなく靴自体が足全体にフィットするサイズを選ぶ必要があります。
しかも、その足全体にフィットするサイズは革の伸びを考慮しなければなりません。こればっかりは革ごとに例えばカーフとキップ、あるいはスエードとコードバンというように素材毎にどれくらい伸びるかは変わってきてしまうという有様です。
理由1、2を踏まえた180ローファーのサイズの選び方
以上のことからシグニチャーローファーのサイズを選ぶ際は下記ポイントが重要になります。
①ローファーを履くときの靴下を履いているか。
極論ですが冬に履くウールの靴下を履いてJ.M.WESTONシグネチャーローファー180を試着すると100%サイズを間違えます。
だって冬にローファー履かないですよね。(笑)
なのでローファーを履くときに使おうと考えている靴下で試着してください。履いていっていいですし、私のようにカバンに入れて持っていっても良いと思います。
②レングスはいつもよりハーフサイズ小さめか。
新品の場合、レングスが長くともウィズが狭いためにカカトが浮かないパターンがあります。これは履きなれていくと途端にカカトが浮き始めてしまいます。
③足全体に強めにフィットしているか。
足の一部に負担がかかっている(痛みがある)のはラスト自体あるいはレングスとウィズの組み合わせが足に合っていない可能性があります。
④最後は店員さんの意見もしっかりと聞く。
幸いにもJ.M.WESTONは中古品以外はインターネット上で購入することがほぼできません。だからこそサイズ的に履けそうな中古品を購入するのではなく、お店に足を運びフィッティングのプロである店員さんのアドバイスにしっかり耳を傾けましょう!何百というフィッティングを彼らは経験しているのですから!
6.着用画像
実寸26.5cm幅広足がサイズ7Eを着用した場合の見た目です。
7.履き心地と総評
J.M.WESTON 180シグニチャーローファーは極めて良質なボックスカーフで作られた素晴らしいローファーに間違いありません。そのフォルムは完成されており、万人に長い時間愛されている事実からもいわゆるマスタピースであることに異を唱える人はいないと言えます。
その一方でローファーであるがゆえにフィッティングの難易度は本格靴の中でも非常に難しい位置にあると言え、いわゆる”修業期間”を終えなければ最終的なフィッティングが終わらないという点ではマイサイズを見つけるまで極めて困難な道を歩むことになります。
しかし、一度マイサイズを見つけてしまえば、まさに一生モノとしてあるいは第二の皮膚として機能してくれるのはこのJ.M.WESTON 180シグニチャーローファーを愛する先人たちの経験談からも明らかです。
革靴好きならばぜひ挑戦?してみてはいかがでしょうか!
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