サフィールノワール クレム1925と言えば靴磨き業界では非常に評価の高いクリームとして有名ですが、一方でカラーレス(無色)の使い方がよくわからない!という話をよく聞きます。
なぜならサフィールノワールは同じような無色のカラーレスクリームを3つも出しており、その違いがなかなかわかりづらいことによりますが、整理すると下記になります。
- クレム1925 ニュートラル → 無色の油性靴クリーム
- リノベイタークリーム → 無色のミンクオイル入り乳化性靴クリーム
- スペシャルナッパ → 保革成分が潤沢なデリケートクリーム
以上のことから、通常の靴クリームとしてはやはりCreme1925のニュートラルを選んでおけば間違いはありません。
今回はこのSaphir noir creme1925(無色)の色々な使い方や海外での評判などをご紹介したいと思います。
クレム1925ニュートラルの特性と成分
サフィールシリーズ最高峰となるサフィールノワールシリーズの靴クリームがクレム1925です。
一般的な靴クリームは水分がベースとなる乳化性クリームですが、このクレム1925は油性クリームという大きな特性の違いがあります。油性クリームですが、油で水分を包んでいる構成となっているのユニークな特徴となります。
クレム1925ニュートラルは蜜蝋、カルナバロウ、シアバターを含む合計7種類の天然素材で製造されており、シリコンや樹脂が一切入っていない貴重な靴用クリームで、ほとんどの紳士靴をカバーする豊富なカラーバリエーションもあります。
加えて、革靴以外にもブーツやスニーカー、レザーバッグにも使用でき、ツヤ出しに加えて皮革保護効果や防水効果もあるまさにパーフェクトなレザークリームといっても過言ではありません。
さっそくパッケージとなる瓶から見ていきたいと思います。
先日ご紹介したサフィールノワール レノベイタークリームと同様に赤茶で瓶に印字されており、非常に見やすく仕上がっています。
白いクリームの場合は定番のゴールドではなく赤茶にすることで視認性を高めているのかもしれませんね。
クリームは白いですがこの通りニュートラルです。実際の色味はもう少しだけ透明がかっていますがまあ白いです。笑
BLANKやINLOCOREという単語でも表現されているのがワールドワイドで愛されている製品らしいですよね!
使用手順の流れ
サフィールノワール製品は使用方法がマンガで印字されているのが特徴で、もはや英語がわからなくとも使い方が直感でわかってしまう親切設計となっているのが嬉しいポイントです。
- 革靴をブラッシングしホコリや汚れを取り除きます。
- クリームを塗りこみます。
- 5分間待ちます。
- 再度ブラッシングするとピカピカに!
これを見ればどんな人でも靴磨き職人に!・・・とはなりませんが、自宅でのケアにはこのくらいの簡単さが必要ですよね。
クレム1925の固さ
蓋を開けるといつも通りのクレム1925の香りが現れました。ケミカル的な要素はなく、ほんのりと甘いサフィールらしい香りです。
この香りは他のサフィール製品でも共通した香りなので、何かしらの共通した成分が使用されているのだと思います。
サフィールノワールクレム1925無色を手に取るとフワリと溶けるような感触。ちょっとムースのような仕上がりがこの油性クリームの特徴です。
実際の室温にも依りますが、デリケートクリームよりも柔らかい印象で初めて触ると驚きの触感かと思います。
お気に入りの靴を長持ちさせるクレム1925ニュートラルの使用技
今回のブログ記事では瓶に記載してある使用方法とはちょっとだけ別のやり方で進めたいと思います。
なかなか興味深い結果が待ってますよ♪
お気に入りの靴に最適なクレム1925ニュートラルの塗り方
靴磨きのクリームの塗り方は3パターンあります。
ブラシで塗る派 と 布で塗る派 と 指で塗りこむ派の3つです。
指で塗りこむの!?と思う方もいらっしゃると思いますが、実は靴磨きの上級製品になると肌にも優しい素材が使用されていることが多く、タピールというブランドや、靴磨き世界一のBrift hの公式靴クリームなんかは指で塗りこむことを推奨しています。
これは指の触感で革靴にどれだけ靴クリームが浸透してきたかわかりやすいというのが一因で、そんな馬鹿なと思いつつやってみると意外と納得感のある触り心地の変化を感じることができます。笑
手順2 柔らかい布でクリームを伸ばし…
指で全体にクリームを塗りこんだら、布を使ってクリームを伸ばしていきます。
ここで面白いことが1つあるんです。
実はこれがクレム1925ニュートラル(無色)だけの機能です。
前回の油性クリームを結構落とすことができるんです。
有機溶剤などが入っていないのになぜ?と思いますが原理は単純で油汚れを油で溶かしているんだけなんですね。
なので指でクリームを塗った後、半乾きの状態で布で拭くとドンドン前のクリームが取れてきます。基本的にはクリームが入れ替わっているイメージなのでステインリムーバーなどとは異なり、保革や革へのダメージについてはあまり気にする必要もありません。
ポリッシュしたトゥの部分も。
あまりクリームを付けない履き口付近も同様に無色のクレム1925を使って前のクリームを入れ替えながら伸ばしていきます。
拭き上げ終わったのがこちら。
ステインリムーバーよりは取れていませんが、一足分拭き上げるとここまでクリームを落とすというか交換することができます。中々面白くないですか?(笑)
手順3 ブラッシング
さて、クリームの塗布が終わったらいよいよ仕上げに向かっていきます。
まずは定番のブラッシング。これは馬毛ブラシ。
手順4 仕上げはストッキング
エドワードグリーンパリで習ったレディースソックスこと「ストッキング」を使って磨き上げていきます。表面に残ったクリームをアッパーレザーに落ち着かせ、ロウをコラーゲン繊維に固着させてツヤを生み出すという作業。
この工程は誰もが最も楽しいところで、やればやるほどツヤに深みが増してきます。
道具は本当にお好みですが、私の場合はいつもであればペダックのレザーグローブを使用することが多いです。こちらも非常に使いやすいシューケアアイテムで黒用、茶用、バーガンディ用の3つを揃えています。笑
無色とバーガンディの仕上がりを比較してみる
まずは同系色のクレム1925 バーガンディで仕上げたものがこちらです。
深みのあるバーガンディに仕上がっており、グレースーツなどにも合いそうなずっしりとした雰囲気を感じませんか?こんな仕上がりであれば、ちょっとおかためな職場でも使えそうな気がします。
クレム1925無色のデメリットは?
そしてこちらがニュートラル(無色)のクレム1925で仕上げたもの。
ご覧の通り、元の革の色が強く出ておりバーガンディ(紫茶)で仕上げたものよりも赤味とむら感が増した仕上がりとなっています。このムラ感をデメリットとするか、味わいとするかでクレム1925の評価は変わってくるのかなと思います。
ムラ染めの革靴を持っているのであれば同系色で育てるか、無色で育てるか、かなり悩ましい選択肢になること間違いなしですね!(笑)
クレム1925無性のもう1つの使い方「鏡面剥がし」
さて、油性靴クリームの最高峰となるSaphir noir creme1925ですがもう1つの使い方があります。
それが鏡面(ハイシャイン)剥がしです。
なんと鏡面磨きをしてツルツルになったあの層を剥がす。というより溶かすことができるんです。
よくある革靴用の水性クリーナーだとなかなか落ちづらいあの鏡面が驚くほどの勢いで消えていく様子は圧巻です。
鏡面磨き(ハイシャイン)についてはこちら
ちなみに同じサフィールノワールシリーズのポリッシュを使った鏡面磨きことハイシャインについて解説した記事は下記からどうぞ!
実際に鏡面を溶かしてみる。
クレム1925の無色をいつもより多めに乗せてくるくると指先で回します。
するとあっという間に体温でクレム1925ニュートラルとハイシャイン面が溶けあい、鏡面部分が融解していきます。
溶けて柔らかくなった鏡面をいつものブラシでブラッシングしてさらに鏡面を剥がしにかかります。
これを何度か繰り返して柔らかい布で拭き上げると・・・。
真ん中にある左足のつま先にご注目ください。
見事に光沢が無くなり反射もほとんどしていないのが確認できますね。
接写で取ると鏡面の剥がれ具合がよりわかります。革そのものの肌感がわかるほどです。
クレム1925ニュートラルで鏡面を溶かすことの利点は、「とにかく革へのダメージがほぼない」ことでしょうか。あまり使い過ぎると油分過多になってしまう程度しかないのが良い点ですね。
もちろん専用のクリーナー、例えばMモウブレイのハイシャイン落としリムーバーのほうがより簡単により早く落とせるのですが、ちょっとでも使い過ぎると元の革の色まで抜けてしまったりとなかなか難しかったりします。
海外から見るクレム1925ニュートラルとその評価
ちなみに海外ではサフィールノワール クレム1925は、Saphir medaille d’or(メダイルドール)という名前で販売されており、日本以外ではこのMedaille D’orが正式名称となっています。
1925年のパリ万博で金メダル、すなわちMedaille D’orを獲得したことがそのまま製品名となっているのですが、まあ日本人にはちょっと読みにくいですよね笑
海外ユーザーのレビューとその分析
海外ユーザーのレビューや声をAmazon.comなどで確認してみました。
まず第一に日本同様に非常に評判が良いです。そして意外だったのはブーツへ使用の報告が多いこと。そして明るいカラーの靴への使用レビューが多かったことですね。
- 不思議なほどに私のブーツが新品のようになりました(メキシコ)
- 素敵な靴やブーツに沢山のお金を使った人はケア用品も素晴らしいものを使うべきだ(カナダ)
- 明るい色の靴にこそこの靴クリームが必要です。クリームポリッシュは革に栄養を与え、美しい光沢を生まれます。さらにツヤがほしいときはニュートラルのワックスもオススメ(アメリカ合衆国)
国内外でのクレム1925ニュートラルの利用法の違い
日本ではすべての色の革靴向け、そして鏡面磨きの除去用に使用されることが多いクレム1925ですが、海外ではMedalli D’orとして日本同様にすべての色味の革靴向けはもちろん、明るい色の革靴、そして何よりその油分を生かしてブーツへの利用が多くみられました。
海外のレビューを見ていると、おもしろい意見がひとつあったので最後にご紹介したいと思います。
- ビンテージシューズにはクレム1925は相応しくないかもしれない。なぜなら新品同様の輝きが生まれてしまうから。そのため、古い革靴にはもっとツヤが控えめの乳化性クリームをお勧めしたい。(アメリカ合衆国)
クレム1925ニュートラルのまとめ
ということで今回はサフィールノワール クレム1925ニュートラル(無色)の使い方のご紹介でした。
色々な色合いの革靴に使える万能選手な靴クリームで、鏡面磨き落としなどとという面白い使用方法については初めて知ったときにはなかなか驚きました。
まさにとりあえずひとつもって置いて損をしない靴クリーム代表選手といったところでしょうか。
少しでも靴好きの皆さんの役に立てば嬉しいです。
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