カントリースタイルの革靴に良く用いられるシボ革グレインレザー。
良質で肉厚なカーフに型押しすることでつくられるこの皮革素材は頑丈で防水性にも優れ、そしてなにより豊かな表情が革好きの心を掴んで離しません。
私自身も雨や雪の日用の革靴として愛用しております。
型押しレザーのバリエーション
型押しグレインレザーはシボの形状により色々なバリエーションがあるのも特徴です。
英語圏ではPrinted Grainと呼ばれています。
もっともスタンダードで一般的なタイプは今回取り上げているハイランドグレイン(Highland Grain)でしょう。大きめの粒が特徴で英国製のカントリーシューズによく使用されています。
粒が小さいものはキャビアグレイン(Caviar Grain)、粒がピン上のものはピングレイン(Pin Grain)、さらにはあのエルメスでも使われるチェルケス(Tcherkess)などなど、本当に多種多様なグレインレザーが世の中で活躍しています。
様々な型押しグレインレザー
グレインレザーのエイジング
さて、このグレインレザーですが、一般的なスムースレザーとはちょっと異なるエイジングをすることは靴好きの中でも有名な話。
シボの凸部分は磨けば磨くほどにアンティーク家具のようなツヤ感が強まりますし、
一方で凹部分は使っているクリームが入り込むことによって大きくその表情を変えます。
もちろん長年使って徐々に出てくるエイジングは素晴らしいものですが、本記事ではちょっとしたテクニックを使うことで、てっとり早くビンテージ感を出す手法をご紹介します。
シボ革のビンテージ加工は濃い色のクリームを使う
てっとり早くシボ革グレインレザーにビンテージな雰囲気を出すテクニック。
…それはあえて濃い色の靴クリームを使うこと。
本来であれば経年による油分(や汚れ)などでシボ革の凹部分が筋張って見えてくることでエイジングな雰囲気が出てきますが、あえて濃い色の靴クリームを塗りこむ事によってそれを待つことなく、目立たせることができます。
この手法を用いることで一気に革に表情を出すことを狙う訳です。
1.適切な色味を選ぶ
「なーんだ簡単じゃない!」と思う方も多いと思いますが、いざやろうと思うと2つの選択肢で悩むことと思います。
シボの凹部分を目立たせるために、アッパーより濃い色の靴クリームを選ぶべきか、それとも黒の靴クリームを選ぶべきか。という点です。(事実、私が悩みました)
手持ちのクリームをいくつか試した結果、私のオススメはウェルトと同じ色を選ぶことです。
ウェルトがブラックなら黒の靴クリーム、ウェルトがダークブラウンなどであれば似たような色合いを。
これは色の見え方の基本として重い色が下にあるほうが安定して見えること、そして一つの製品(今回であればシボ革の靴)の中で、色を使いすぎないよう色数を抑えることの2つのポイントを意識しています。
2.靴クリームを多めに塗りこむ。
今回はコバがダークブラウンだったので、私が愛用する最高の靴クリームのひとつ、サフィールノワールのクレム1925ダークブラウンを使っていきたいと思います。
塗り方にも少しだけコツがあります。それは「いつもより多くクリームを塗りこむこと」です。
といっても表面積が広いシボ革グレインレザーの革靴をケアする場合、そもそも普通にシューケアであってもクリームの消費量が多めにならざる得ない点がありますが、それを超えるくらいに多めに塗りこんでいきます。
理由はもちろんシボの溝にカラーをしっかり入れたいから。
靴クリームは確かに補色効果がありますが、純粋な染料ではないためその効果は微々たるもの、それを量でカバーしようという作戦です。
クレム1925をたっぷり塗りこんだのがこちらです。
バンプ部分のパーツとウィング部分のパーツで色味がかなり変わっているのが確認できると思います。アッパーはもとよりシボの溝もダークブラウンに染まってきました。
3.ブラッシング
クリームを塗りこみ終わったら5分以上放置してブラッシングスタートです。(クレム1925がクリーム塗りこみ後に5分置くことを推奨しているため)
ここでの注意点はあまり力を入れすぎたり、掻き出すようなブラッシングは避けること。
あくまで凹の溝に暗いクリームを残すイメージをしながらブラッシングを進めていきます。
4.バフィング
最後はバフィング。私が超愛用しているぺダックのレザーグローブだったり、着古したTシャツ、ネル生地などを使ったグレインレザーの表面に残ったクリームを落としていきます。
レザーグローブでバフィングすることで凸部分に残ったクリームがならされていき、光沢感が増してきます。それと同時に凹部分に残ったクリームが良い表情を魅せ始めてきます。
グレインレザーのてっとり早いエイジング加工まとめ
こちらがシボ革グレインレザーの革靴をお手軽にビンテージ加工した靴です。
シボ部分の溝部分がバイピングやコバのダークブラウンカラーに近くなっていてかなり良い感じ!
この手法は間違いなく使い込んだ感が早い段階で出てくる一方で、やりすぎるとアッパー自体の色も徐々に染まってくる諸刃の剣。
通常のケアに混ぜて実施することを強くオススメします!
しっかし、これはまたまたかっこ良く仕上がったな~。笑
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