人それぞれのやり方がある靴磨き
革靴を磨く。ただこれだけですがある人には安らぎを。ある人はお金を産み、またある人では奥さんとのコミュニケーションとして…と様々な楽しみが出来ることの1つだと思います。
僕自身も色々な磨き方を試しては成功したり失敗したりしていますが、やはり一番勉強になるのは他の方の磨き方です。
人となりが見える。とまでは言いませんが靴磨きが好きな人ほど、個性溢れるその人らしい磨き方をされているなあと動画などを見るたびに思っています。もちろん靴磨きにおけるステップも異なりますが、一番気になるのは各アイテムの使い方や立ち位置。身近にあるアイテムが思ってもみない武器になっていたりするものだということに気がつくにはそう時間はかかりませんでした。
ということでいつまで続くかわかりませんが、色々な人の磨きを見たときの僕なり備忘録を残していければなあと思った次第です。早速ですが一人目の方のを見ていきましょう。
靴磨き職人Mさんの場合
まずはコバの汚れ落としからスタートします。紙やすりでコバの半分くらいが白くなるまでこすり続けます。これは靴磨き界のレジェンドBrift.Hの長谷川氏と同じやり方ですね。僕自身はまだコバにやすり掛けをしたことがないので、興味津々です。
次にはアッパーの汚れ落としを行います。ブリフトアッシュのザクリーナーのソフトです。布にダップリ付けてそのまま片足を全体的にサッと拭います。またダップリつけてもう1足。絶対に強めに擦ってはいけないそう。革を痛めてしまうとのこと。
アッパーの汚れをが落ちたら、靴クリームを塗布していきます。この方はアーティストパレットを愛用されていました。明るめの茶色の靴にレッドとライトブラウンのクリームを混ぜて使っていたのがとても衝撃的。通常アンティークっぽく見せる際は濃い色を合わせるのですが、まさかのレッド。今回一番勉強になったポイントでした。塗布する量は思ったより多め。多少多めに塗ってでもしっかりと浸透させるのがコツなのかもしれません。
クリームの塗りこみが終わったら豚毛ブラシでブラッシング。クリームが良いのかブラッシングが良いのかびっくりするくらい艶が出始めていました。ブラッシング後の乾拭きで光るならまだしもブラッシングの段階でここまで光ってしまうとは本当に驚きの一言です。記憶に残っているのが「靴磨きの音っていいですよね」「ブラッシングの音だけでも心地よい」とのセリフ。画面の前で何回も頷いてしまいました。
ブラッシング後はワックスを塗りこんでいきます。ワックスの銘柄は失念。ただとても驚いたのがワックスの塗りこみ量。一つの面につき5回くらい塗りこまれていました。靴のノーズ付近でトータル20回くらいでしょうか。僕自身はそこまで付けたことがないので想像もつかないくらいの層になっていたと思います。
次はポリッシング。磨きですね。通常鏡面磨きを行う際は水とワックスを交互に付けながら磨いていきますが今回は水だけで磨かれてました。靴磨き大好きっこ達が愛用しているハンドラップを使いながら水だけで綺麗に磨いていきます。コツは「油膜を綺麗に伸ばすこと」厚塗り気味のワックスを水で丁寧に伸ばしていくイメージだと僕は理解しました。一番大事な工程のため非常に時間をかけて磨いていたのが印象的でした。20分くらいは磨いていたと思います。
磨き終わったら山羊毛ブラシで仕上げ。軽く水をつけて全体的にさらに磨き上げていきます。この時点でトゥはすでに鏡に限りなく近い状態になっていました。(笑)
最後にレザーソールのケア。ブートブラックのソールコンディショナーを普通に使って終了。
1足あたり大体1時間ちょっとでした。ちなみにレッドのクリームは主にトゥ部分で新しいニュアンスを出していました。アンティーク調の逆パターンといいますか、、、とにかく良い方向のニュアンスになっており非常に勉強になりました。こういった方法もあるのかと目から鱗が落ちる思いとはまさに此の事ですね。
今回のラーニングポイント
- 靴を鏡のように光らせたかったらワックスは何層も塗り込む
- そして油膜を伸ばすことを意識しながら丁寧に磨く
- ときには靴の色以外の靴クリームを使ってみるのもアリ
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