紳士靴の中でも意外とケアが難しいスエードシューズ。
毛羽立ってしまったスエードに頭を悩ませる方は少なくないと思います。
今回は巷で話題だけども実践しずらいマニアックなスエードケアを行ってみます。
「ライター炙り」と「紙やすり」を使ったスエードのお手入れです。
スエードの毛羽立ち
さて、実際にスエードの毛羽立ちと言われてもわからない方が多いと思います。
私自身も実際にスエードシューズを手に入れるまであまりイメージが付いていませんでした。
想像しやすいイメージを使うとダッフルコートなどに使用されているメルトン素材と似ています。
繊維が絡みあい固まっている状態が新品だとしたら、繊維の絡みが綻んできているのが毛羽立っている状態ですね。
毛羽立っていないスエード
こちらはとても状態の良いスエードのクロケットジョーンズのチルターン(スナッフスエード)
先日手に入れたばかりで雨の中、雪の中と大活躍の頼れるブーツです。
ラスト224自体も私の足に結構フィットしており、ここ最近のお気に入りの一つです。
毛羽立ったスエード
さて、こちらは同じくクロケットジョーンズのチルターンにクレーブブラシを試した際、クレーブブラシが硬化していたため、ブラッシングをした途端に毛羽立ってしまったものです。(悲)
上から覗く角度だとわかりやすいかもしれません。
ああぁ、見るたびに後悔が・・・。(泣)
スエードを火で炙る
そんな残念なあなたに朗報。では決してないのですがシューケア界隈ではいくつかのシューケアグッズに頼らないスエードケアの手法があります。
その一つが”スエードを火で炙る”です。
スエードの毛羽立った面をライターやチャッカマンの火で炙り消し去ってしまうというなかなかワイルドな手法で決して安くはない本格靴に火を自ら当てるなんて・・・とオーナーになかなか度胸を要求するケア方法です。
シューケア用品を使ってさえ失敗することがあるのに、それすら使わないケアなんて。これまでずっとそう思ってならなかった私ですが今回ばかりそうもいきません。
片足だけ毛羽立ってしまった私のチルターンはもうやるしかないのです。
さあ、いよいよ荒れたスエード面をライターで炙っていきます。
わざわざコンビニまで走って買ってきました。とっても普通な100円ライターです。
ライターの火は決して止めず、動かし続けるのがコツだそう。
※プロの職人さんはより使いやすいチャッカマンが多いようで。
炙りスタート!
実際にやる前は「うおーー!こえーー!」と思っていたのですがやってみると意外とそうでもありません。
全然火が付く気配もないですし、嬉しい誤算として思ったより目に見えて効果が出て始めたのです。
徐々に効果が・・・
クロケットジョーンズのチルターンにライターの炎を何往復かさせるとこの通り。
毛羽立っていた面がほとんどなくなってきました。
これはすごい!がほんのりと焦げの匂いも漂ってきたような・・・。
仕上げは紙やすり
スエード靴を火で炙った後、忘れてはいけないのがやすり掛けです。
先ほどの匂いでご想像の通り、やはり火を使うので若干焦げで黒ずんでしまうところを擦り落とすのが目的です。
スエードの作り方を復習
スエードは銀面(いわゆるアッパー)の裏を均一にバフィング(やすり掛け)した皮革素材です。
なのでスエード面を紙やすりで整えることは決して不自然なことではありません。
やすり掛けのコツ
徐々にやすりの番手を上げていくとさらに自然に仕上がります。
私は240番→800番→2000番の順序でやすり掛けをしました。
2000番まで行くとほとんど新品に近い状態まで持っていくことができましたよ。
しかし、ここまでくると必ず気が付くことがあります。
「色が少し抜けている」
これは残念ながらよっぽど上手くやらない限り避けることができません。
でもそこまで大きな問題ではありません、スエードには補色スプレーが充実しています!
まとめ
今回は毛羽立ってしまったスエード靴を火炙りとやすり掛けで元に近い状態まで仕上げることができました。
通常、スエード靴は両足均等に使用感が出始めて毛羽立ち始めるのであまり気にすることはないでしょうが、何かしらの理由で片足だけやらざるえない場合はこういったテクニックを試してみるのも手段の1つかもしれませんね。(もちろんリスクを承知の上で)
私自身はもう一度はちょっとごめんですが(笑)同じ境遇になってしまった方は試してみる価値があるのかもしません。ただ、これは本当に難しい作業になるので後悔が予想できる場合は避けた方がよいと思います。
ということで次回はスエードスプレー編です。(まだ続く)
ブログ内を検索する!