革靴を履きおろす際は、プレメンテナンスが重要というのが徐々に靴好きの間でも浸透している気がする今日この頃。
当ブログでもコロニル1909シュプリームクリームデラックスを使ったプレメンテナンスについて以前ご紹介していました。
今回は、一般的な革靴に使われるカーフ素材ではなく、オールデンやハインリッヒディンケラッカーでよく使われるコードバンを用いた革靴のプレメンテナンスについて実演と共にご紹介します。
革靴のプレメンテナンスが必要な理由
ここで改めて、「なぜ革靴の履き下ろす前のプレメンテナンスが必要なのか?」という点に触れたいと思います。
革靴は工場で製造される中で、フィニッシング(仕上げ)という工程でクリームやワックスを用いて、まさに美しい状態で出荷されます。
そのため、出荷直後は各シューメーカーが考える理想的な状態になっているともいえます。
革靴は何ヶ月も在庫されることもある。
問題はこの後です。
出荷直後の製品を購入できれば良いのですが、実際には店頭に並ぶまでにも数週間かかる場合もありますし、なにより店頭に並んだとしてもすぐに購入されるとは限りません。
ご存知の通り、革靴は日用品のように回転率が良い製品ではないため、店頭で何ヶ月も在庫として残り続けることも珍しくありません。
購入直後の革靴は理想のコンディションではない。
そうなると革靴のコンディションは店頭でドンドン悪化していきます。(在庫している靴すべてをメンテナンスするのは難しいでしょう)
生きている生物であれば細胞がターンオーバーすることで皮膚の細胞が生まれ変わり続けますが、革靴の甲革に使用されているのはなめし革。
決して自動的にコンディションが良くなることはあり得ません。
だからこそ、購入直後の革靴にはプレメンテナンスとして、靴クリームで補油・補水をしてあげる必要があるんですね。
コードバンのプレメンテナンスは2段階ある
さて、そういった背景の中で今回はコードバンのプレメンテナンスを行いますが、
個人的にはCordovanのプレメンテでは2段階必要かな?と思っています。
まずはいわゆる「シワ入れ用のプレメンテ」となるSTEP1。
そしてSTEP2「仕上げのプレメンテ」の2段階です。
コードバンこそプレメンテは重要!
私はコードバンのプレメンテナンスは本当に重要だと考えています。
というのもコードバンはカーフとは反対に厚みがあるほうが高品質とされています。
油分がたっぷり入っている分厚いコードバンはいわゆる波打つシワが形成されますし、皮革素材としても大変丈夫だからです。
ですが、油分が入っていない状態で履く、あるいは油分が不足しがちなやや薄めのコードバンの場合は折れたようなシワが入ってしまうことが多いんですね。
なのでこれらのリスクを最小限にするためにもコードバンのプレメンテは必須かなあと思っています。
実際にオールデンをプレメンテナンスする
今回は先日手に入れたこちらのオールデンのブーツにプレメンテナンスを施していきたいと思います。
素材はいわゆるレアカラーとなるシガーコードバン。
グリーンをほんのり感じるダークブラウンカラーが大変美しいブーツです。
STEP1「シワ入れ用プレメンテ」
ということで、まずはSTEP1「シワ入れ用プレメンテナンス」を施していきたいと思います。
内容としては、履きシワが入り込むバンプ部分だけに集中的にクリームなどを入れることで極限まで柔らかくするというものです。
クリームを塗りこむ
まずは靴クリームをバンプ部分に何度も塗りこみます。
油分と水分過多にし、さらにラノリンも馴染ませることで最大限に柔らかい状態に整えます。
オススメなのは「テクスチャーが弛め」で、可能であれば「ラノリンが配合されている」製品で、具体的には下記です。
上記条件をオススメする理由としては、皮革への影響を最小限に抑えながらも、履きシワが入るバンプ部分だけをピンポイントに柔らかい状態にしやすいという点です。
※液状の製品だと一部に集中してシミになる可能性がありますし、反対に粘度が高い製品は少々浸透しずらいと考えています。
バンプ部分を揉みまくる
靴クリームをバンプ部分に何度も塗りこんだら、そのままマッサージのごとく揉みほぐします。
シェルコードバンはその名の通り、かなり固いので思った以上に指も疲れてきますが、揉めば揉むほど柔らかくなってきますので頑張りましょう!(シワが入らないよう加減をしながら)
シワ入れする
履きジワが入るバンプ部分が柔らかくなったらシワ入れを行います。
ペンを使ってもいいですし、そのまましゃがんでも良いでしょう。
そのあたりはオーナーのスタイルによると思います。
ちなみに私はペンを使う派です。笑
今回はペンを当てる場所がわかりやすいようにシールを貼って臨みました。
(私の履きシワの特徴ですが、ボールジョイントの角度的に斜めに入るのが自然な様で、真横にシワを入れると余計なシワが増えていく傾向があったりします。)
結果的に左右同じようなシワが入り、さらに折れた線のようなシワも発生しませんでした。
完全に大成功です!当時の気持ちを思わずツイートしたのが下記です。笑
シワ入れ大成功( ´_ゝ`)
こんなにテンション上がったの久しぶり笑— ミウラな日々 (@miura_na_hibi) March 20, 2020
これでSTEP1としてのプレメンテナンスはひと段落です。
STEP2「仕上げ用プレメンテ」
次にSTEP2として、「仕上げ用のプレメンテナンス」を施していきます。
内容としては、STEP1の余分な靴クリームの除去、それに加えコードバン用クリームやワックス等によるコーティングを行うものです。
シューツリーを入れる
まずはシューツリーを入れましょう。
クリーム塗布やブラッシングが格段にやりやすくなりますし、靴の型崩れを防ぎ、ある程度の脱臭もしてくれる便利なやつです。何より靴を長く履きたいならば必須ですね。
ちなみにシューツリーに関してはオールデン純正がもっともテンションが上がるアイテムなのは疑問の余地がありませんが、機能面だけならばコロニルのアロマティックシダーシューツリーでも十分です。
浸透力高めの靴クリームを塗りこむ
保湿力が高めの靴クリームをコードバン全体に塗りこんでいきます。
私はブートブラックのリッチモイスチャーをチョイス!
履きシワのところでは何度も塗り込むことをオススメしますが、こちらは1回で十分でしょう。
ブラッシング+乾拭きする
塗りこみ終わったら数分置き、STEP1で塗りこんだ靴クリーム共々ブラッシングと乾拭きで靴全体に馴染ませていきます。
コードバンクリームを塗りこむ
靴全体の基礎保革が終わったので、次はコードバン用に開発されたコードバンクリームをアッパー全体に塗りこんでいきます。
コードバンクリームはロウ分が多めだったり、製品によっては毛羽立ちを抑えるための樹脂が配合されていたりと、まさにコードバンのために作られた靴クリームです。
ブラッシング・バフィングする。
馬毛ブラシを使ってブラッシングし、付けすぎてしまったクリームを除去しながらアッパー全体に馴染ませます。
その後は柔らかい布や、ポリッシンググローブでバフィングすることで見る見るうちにツヤ感が増してきます。
ワックスでポリッシングする
コードバンシューズのユニークな点として、アッパー全体にワックスを使ってポリッシュすることでさらに強いツヤ感を追求することも可能です。
極めれば全体に飴細工のような光沢を与えることができますよ!
レザーソールオイルも忘れずに!
靴底がレザーソールの場合はソールオイルの塗布も忘れずに!
今回私はタピールのレーダーソールオイルを使用してみました。
お酢が入ってて雑菌の繁殖を抑えてくれそうな気がするんですよね。笑
レザーディフェンダーでフィニッシュ!
最後はオールデンのコードバンラバー必須アイテムとなる「ALDEN レザーディフェンダー」で全体を拭き上げて完成です!
オールデン社がHorween製シェルコードバンの防水のためだけに作ったスーパーアイテムです。
ビフォーアフター
購入直後のオールデンのシガーコードバンブーツがこちら。
STEP1で行ったシワ入れ用プレメンテナンスを施し、シワ入れを行った直後です。
そして、全体的にコードバンクリームなどを塗りこんで仕上げたのがこちらです。
柔らかい履きシワが入り、全体的なツヤ感もかなり増していますね。
ALDEN レザーディフェンダーによって防水効果も付いてますからいつでも履ける状態です。
早く履いて外に繰り出したい!!
さっそく外でオールデンを履き下ろす!
太陽光に当たると出てくる透けるような透明感。
これこそがオールデンのコードバンが美しいと呼ばれる理由でしょう。
自画自賛で大変申し訳ないのですが、サイズも完璧なジャストサイズ。
ただただ快適でカッコいい。
多くを語る必要はありませんね。(十分語った気もしないでもない)
ちょっと調子に乗ったポージングなんかも自然に出ちゃいますね。笑
これからのエイジングが楽しみです!
鳩目のチェックは必ずしよう!
さて、ここでひとつ注意喚起です。
オールデンの鳩目が使用されたモデルを購入した場合は、プレメンテナンス前に鳩目チェックを行うことを強くオススメします!
私はしっかり被害に合いました…。
シワ入れが終わったブーツにSTEP2のプレメンテナンスを施そうと思ったら、あれ!?
聞くところによると2-3か所程度ならよくある話だとか。
まぁ、オールデンだししょうがないですね。自己防衛が大事ということで笑
(い、一応10万を超える革靴なんですが…!!)
オールデン(ALDEN)のプレメンテナンスのまとめ
ということで今回は、オールデンのシェルコードバンを使った革靴(ブーツ)のプレメンテナンスをご紹介しました。
コードバンでもカーフでもプレメンテを施すことによって、革靴やブーツはより長くあなたの足元を支えてくれる相棒になると思います。
また新しく革靴を購入したときはぜひプレメンテナンスにトライしてみてくださいね!
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