シューケアアイテムを眺めていると一度は疑問に思うアイテムがあると思うのですが、いかがでしょうか。
アニリンカーフクリーム・・・どうでしょう?(笑)
私は自分でシューケア、そして靴磨きを始めたときにこのアニリンカーフクリームとデリケートクリームの違いについて、何が違うの全然わかりませんでした。
両方とも無色のデリケートな皮革素材用のクリーム。
その使い分けは一体・・・?
このブログ記事では、その謎を解き明かしていきたいと思います。
デリケートクリームとは?
デリケートクリームは限りなく皮革への影響を抑えながら最低限の補油、補水が出来るクリームです。少量ながらワックス(ロウ分)が含まれているので光沢も期待できます。
M.モゥブレィのデリケートクリームなら保水効果のあるラノリンが含まれていますからさらに良い効果が見込めます。
アニリンカーフクリームとは?
アニリンカーフクリームは、質の高い皮革を生かした風合いが特徴のアニリンカーフをケアするために開発された商品です。
水性染料で仕上げられた綺麗な質感の故、油汚れがつきやすかったり色落ちがしやすかったりするアニリンカーフを優しく保護してくれるのが特徴です。
クリームの質感の違い
前述のようにデリケートクリームとアニリンカーフクリームは同じようにデリケートな皮革を対象とした商品ではあるものの、その効果や目指す結果が異なることがわかりました。
実際のクリームの質感でもその点は如実に現れています。
デリケートクリームはぷるるんとした薄い半透明のデンプンノリのような質感。心地よい匂いで手に取るとサラサラとした感触となります。
反対にアニリンカーフクリームは塗り薬のようなクリーム状。ややクリームがかった不透明の色合いで匂いもややキツメです。
デリクリとアニリンクリームを実際に比較してみる
私が所有している靴で一番デリケートな皮革となるチャーチのネバダカーフです。
薄めのカーフに手作業で施された落ち着いたムラ感が美しく、まさにデリケートレザーです。
私が靴パラノイアとなったきっかけの一足でもあります。笑
1.アニリンカーフクリームで左足を靴磨き
事前にタピールのレーダーオイルでロウ分(ワックス)などを全て落としておきました。
画像の通り、つややかな光沢は一切ありません。
アニリンカーフクリームを塗り込む
この左足にはアニリンカーフクリームを塗りこんでいきます。
説明文章にもあるように薄いベールを作るようなイメージで膜を意識しながら全体に塗り広げていきます。
ネル生地で拭き上げる
全体に塗り広げるとこのように光沢がさらに無くなります。
ネル生地で優しく拭き上げていくと徐々に指への引っかかりがなくなり、最終的にはサラサラと布が動くように。
アニリンカーフクリームの仕上がり
完成!
アニリンカーフクリームで仕上げたチャーチのチェットウィンド(バーガンディネバダカーフ)です。
靴の側面部分を見ると、まさに薄いベールのような光沢感を確認することができますね。
2.デリケートクリームで右足を靴磨き
右足はデリケートクリームです。
私は通常デリケートクリームを雨に濡れたときや雪にあたり過ぎたときの補油や、靴を履く前のプレメンテなどに使うことが多いので、デリケートクリームだけで仕上げるのは久しぶりです。
デリケートクリームを塗り込む
デリケートクリームを靴全体に塗りこんでいきます。
アニリンカーフクリームとは異なりどこに引っかかることもなく、一気に全体に塗り広がり、そして浸透したと思ったらサラサラの感触となりました。
ネル生地で拭き上げる
ネル生地で拭き上げていきます。
明らかにサラサラとした触感になるのはデリケートクリームのほうが速いです。
さて、気になる結果は?
デリケートクリームの仕上がり
こちらがデリケートクリームだけで仕上げたチャーチのチェットウィンド(バーガンディネバダカーフ)です。
デリケートクリームだとロウ分(ワックス)が少な目とはいえ控えめな光沢を放っていますね。
比較画像
こちらがデリケートクリーム仕上げとアニリンカーフクリーム仕上げを並べたものです。
パッと見はどっちがどっちか本当にわかりません。(笑)
しかし実際にはアニリンカーフクリームのほうが明らかに皮革面に光沢が生まれています。
一方でデリケートクリームで仕上げた方は表面の質感を残しつつおだやかなツヤとなっています。
反対側からも。
アッパーに目を近づけるとアニリンカーフクリームのほうがワックスを塗りこんだトゥキャップのようにアッパーの毛穴が若干埋まっている感じがあります。
逆にデリケートクリームは毛穴の風合いもそのまま。
デリケートクリームより多く含まれているであろうロウ分(ワックス)もそうですが、やはりパレードグロスプレステージなどにも含まれているシリコンの効果が出ているのでしょう。
デリケートクリームとアニリンカーフクリームの違いまとめ
ということでデリケートクリームとアニリンカーフクリームは似て非なるものということが明らかになりました。
デリケートクリームは靴雑誌などでは”例えるならば化粧水”と表現されることが多いですがまさにその通りといったところ。アッパーを綺麗にし補油補水してくれますが保護はしてくれません。
デリケートな皮革を1つのシューケア用品で手入れする。という意味ではアニリンカーフクリームは圧倒的優位にありますね。
痛みやすいアニリンカーフを保護するために配合されたロウ分(ワックス)とシリコンによる薄いベールは安心感も与えてくれますしね。
ということで、アニリンクリームとデリケートクリームは似ているようでまったく異なる方向性の靴クリームということが明らかになりました。
用途に合わせた方を手に入れて、さらに快適なシューライフを目指しましょう!
- パッケージは似ているが2つのクリームの方向性は全く異なる
- デリケートクリームはすべてのレザーを優しく保革
- アニリンカーフクリームは繊細なレザーを保革+保護
ブログ内を検索する!