本格靴のハンドソーンU-TIPシューズとしてもっとも有名と表現しても過言ではないのが英エドワードグリーンのDOVERでしょう。
カジュアルさとドレッシーさを併せ持った靴として長きにわたり世界中の紳士達の羨望の的となっていた靴のひとつです。
そんなドーバーをブーツにしたらどうなるんだろう?
おそらくは雪国に暮らすであろう欲張り紳士が抱いた夢を実現したのがこのハリファクス。
紳士界の永遠の定番がアンクルブーツに生まれ変わりました。
DOVERとHALIFAXを比較する
ということで今回はこのドーバーとハリファクスについて、全く同じ木型(202E)でサイズ(UK8.5)の2足が揃ってしまったのでどのような面に違いがあるのでひとつずつ眺めていきたいと思います。
202から生まれたシルエット
まずは上からみたときのシルエットです。
2足とも同じラスト同じサイズですから基本的には同じですね。笑
ボールジョイントの位置などもまったく同じです。
ライトアングルモカステッチ
ライトアングルモカステッチに変わりはほぼありません。
若干ですが右側のHalifaxのほうがスキンステッチのノーズが長めに見えますが、Instagramの他の方のHalifaxを確認する限りハンドメイドならではの誤差の範囲だと思います。
外羽根(アイレット)部分
アイレットとも呼ばれる羽根部分の大きさと構成についてはかなりの違いがあります。
羽根の感覚は明らかにハリファクスの方が広いです。
そして甲のフィットに関しては、右側のドーバーは紐で止める構成ですがハリファクスはアッパー自体で止めるスタイルになっています。なので新品のときは甲に結構な圧迫感を感じる人もいると思います。
履き口の大きさ
履き口の大きさは明らかにドーバーのほうが広めです。
実際に足入れする際もハリファクスは紐をほぼ全開にしないと足入れすることが難しいレベルです。(ややリラックスフィットで履いていますが、それでも一番上のレースステイから紐が外れるほど開くときもあります)
踵部分(バックステイ)
カカト側のバックステイの意匠はほぼ同じです。
ドーバーのデザインを縦に伸ばしたものがハリファクスのデザインですね。
ステイ部分に幅の広さなどの多少の違いがありますが、これは釣り込みの際に発生した誤差と考えて良さそうです。
ウェルトの長さ
ドーバーとハリファクスの最大の違いはウェルトの長さでしょう。
ドーバーはウェルトを靴全体に巻きつけるダブルウェルト(または360°ウェルテッド)で、ハリファクスはヒール手前までウェルトを巻きつけるシングルウェルト(または270°ウェルテッド)です。
製法にもよりますが、ダブルウェルトの場合はカカトまで練りコルクが入っており、さらに足馴染みが良いとされる説もあります。
ヒールの形状
これによりヒールチップの大きさが大きく変わることになります。
ダイナイトヒールの表記もハリファクスは3 1/8、ドーバーは3 /1/4となっています。
並べてみるとハリファクスのカカトはやや華奢に見えますね。
この大きさの違いは歩行感に意外と影響するもので、明らかにブーツではないドーバーのほうが安定した歩行感となるんです。靴っておもしろいですねえ。
横から比べるとヒール部分のドレッシーさの違いは明らかです。
全体的なバランスを考えるとハリファクスがダブルウェルトだったならば、少々カジュアル過ぎたかもしれませんね。
このあたりのバランス感はさすがエドワードグリーンと言わざる得ませんね。
DoverとHalifaxで履き心地に違いはあるのか
パッと見はほぼ同じですが細部に違いがあるのがわかりましたが、結局のところ履き心地に違いがあるのかどうか?という点が気になるところだと思います。
結論は「ドーバーとハリファクスの履き心地はちょっと違う」となります。
大きなポイントはアイレットの位置によるものです。ハリファクスは足首側の高い位置にアイレットが設定されていることから以下の2点に差が出ます。
- 靴紐を締めた際の履き口の大きさ
- 靴紐による甲部分の調整可否
以上のことから甲が高めと認識している人はドーバーと同じサイズのハリファクスを手に入れるのはちょっと待ったほうが良いかもしれません。
また、ドーバーをタイトフィットで履いている人も要注意です。アンクルブーツはその形状からタイトフィットで購入すると足首周りが固定され過ぎて逆に歩きづらくなってしまうパターンがあります。(足首にテーピングを巻くようなものですから)
とはいうもののハリファクスはドーバーが好き過ぎてブーツタイプもほしい人には本当にオススメしたいアンクルブーツです。私にとってもお気に入りブーツのひとつです♪
機会があればぜひぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか!
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