私とフォスターアンドサンとの出会い、そして購入まで。廃業や閉店の噂についても。 | ミウラな日々

私とフォスターアンドサンとの出会い、そして購入まで。廃業や閉店の噂についても。

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はじめての出会いから約5年。

このブログ記事では、あの伝説的なビスポークメーカー、「Foster & San(フォスターアンドサン)」の革靴を、ようやっと手に入れることができたエピソードをご紹介します。

Foster & Son(フォスターアンドサン)とは?

Foster & Son(フォスターアンドサン)とは、1840年に創業したビスポークシューズを中心としていたシューメーカーです。

紳士靴の聖地、ロンドンはジャーミンストリートにお店を構える老舗中の老舗と言っても過言ではありません。

靴好き界の大ベテラン、山下大輔さんはフォスターアンドサンのラストマスターとなるテリー・ムーア氏についてこう紹介されています。(こちらについては後ほど詳しくご紹介)

ロンドンのビスポーク・シュー・メイカーで、その英国のクラシックを最もよく知っているのは、やはりテリー・ムーアさんではないか?と僕は思ったのである。

2004年で70歳になるという。キャリアが違う。何しろ職人歴は半世紀以上。僕の思う“英国のクラシック”の時代から活躍されていた、数少ない職人さんだ。

ロンドンの注文靴店 フォスター&サン注文報告

日本人初のビスポークメーカー工場長 松田 笑子さん

フォスターアンドサンは日本とも馴染みが深いシューメーカーでもあります。

天才と呼ばれるテリー・ムーア氏が率いた後、長い間彼に師事してきた松田笑子さん*という方が日本人で初めてイギリスのビスポークメーカーで工場長となられました。

男性中心と言わざるを得ない紳士靴業界の中で、1830年から続くシューメーカーの工場長に上り詰めるには並大抵の努力ではないことが伺えますよね。

その実力と名声は、英国の歴史あるV&A博物館(ヴィクトリア&アルバートミュージアム)の動画に採用されるほどです。

*2020年より独立され、「emiko matsuda」を立ち上げられています。

双日GMCによる新工場RTW製品の展開開始

https://lastmagazine.jp/?p=4630

2019年には衝撃的なニュースが流れました。

フォスターアンドサンが新工場を建設し、これまでOEM生産していたRTW製品を自社製に切り替える。さらにはあの双日がフォスターアンドサンの新工場に出資し、そしてアジア全域で独占販売するというものです。

さらにどうやら新工場には英国3大トップシューメーカー*から引き抜いた最高の腕前を持つ工員が集まっているらしく、靴好きの中では非常に大きな話題を呼んだ出来事でした。

*私の中ではJohn Lobb(ジョンロブ)、Edward Green(エドワードグリーン)、Gaziano Girling(ガジアーノガーリング)を指します。

私とフォスターアンドサンとの出会い

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私とフォスターの出会いについても少し。

今でこそブログやSNSなどの多種多様なツールを使い、まだ見ぬ世界を冒険することができますが、

私が革靴にハマり始めたころはあまりそういった発信をされる方も少なく、いわゆる高級靴読本などで情報収集をしていました。

そんなある日、私はたまたま見かけたウェブサイトに心と睡眠時間を奪われました

山下大輔氏のウェブサイトと著書『ヨーロッパ靴服風来行』

http://dyshoes.fc2web.com/travellondon.htm

役者であり、靴好きでもある山下大輔さんが当時としては珍しいビスポークシューズの詳細なレビューを掲載されているホームページがあったんですね。

このホームページ内には「靴を巡る大冒険」というコンテンツがあり、スマホもない当時(2004年!)、数少ない情報を手に、単身ヨーロッパに乗り込み、2か月間で8か国16都市を周りながらスーツと革靴をビスポークをしまくるというかなりワイルドなドキュメンタリーコンテンツが楽しめます。
(完全版はkindleでヨーロッパ靴服風来行として発売されています。)

そこの流れで紹介されていた記念すべき一足目こそが、まさしくフォスターアンドサンだったのです。

ロンドンの注文靴店 フォスター&サン注文報告

当時の氏の興奮を余すことなく記されたその注文記は、本当に自分がその場でいるような感覚を覚えるほどで、本当に楽しく読ませていただきましたし、「いつかは自分もロンドンでビスポーク。」なーんて勝手に思っていたりもしていました。笑

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初めての訪英とフォスター&サン

2015年に初めてロンドンに訪れました。

そのときはチャーチに首ったけで(ジャーミンストリートでMTOして帰るほど!)

フォスターアンドサンは、目の前を通りがかったのものの、「ビスポーク」という敷居の高さから、「これが山下さんがビスポークシューズを作ったところかぁ、すごいなぁ。」

と、中に入ることもなく、素通りしたのでした。

ミウラ
ミウラ

ちょっと初心者には敷居が高かったですね笑

靴好きの友人と2回目の訪英

妊娠中の妻を日本に置き、友人Zと男旅を楽しんだ2018年。(コメントは不要です笑)

2人とも靴好きではありましたが、ビスポークまでは考えてませんでしたから昨年同様にスルー笑

後日知ったのですが、クロケット&ジョーンズ製などのOEM製品は販売されていたようです。

三度目の正直で自社工場製とご対面。

2019年、三回目の訪英。

妻と娘を日本に置いて、母の長年の希望だったヨーロッパ旅行をアレンジ。なぜか友人Zも一緒でした。笑

もちろん、靴好き2人が揃えばジャーミンストリートに行かないことはありません。

さらには以前から噂を聞いていたフォスター&サンが新工場製の既成品をローンチしたばかり!

満を持してその扉を開いたのでした。

 

Andy Murphy氏との出会い

イエローとグリーンに飾られた店内で待っていたのはフォスター&サンの名物店員アンディ・マーフィー氏でした。

この方、界隈では超有名らしく、ジョン・フルスティック氏と共にエドワードグリーンのジャーミンストリート店をオープンさせた後、ジョージクレバリーで13年間働き、そして新しい挑戦をするためにフォスターアンドサンに移籍されたんだとか。

 

当時、最高の黒ローファーも探していたミウラ。

幸運なことにそんなレジェンドにフィッティングをしてもらえたのでした。

 

こちらはフィッティングの途中、参考に履かせていただけたビスポーク品の返品分。

私の足にかなり近い方のビスポークシューズだったようで、足を入れた瞬間に靴内全ての空気が抜ける音がし、履いた後はまるで自分専用のビルケンシュトックのような足裏の感触に大変驚きました。

その様子を見て、すぐさまビスポークシューズの営業が始まったのは流石の一言でしたね。笑

ミウラ
ミウラ

いつかビスポークするときはフォスターで!と強く思いました。

 

The Brannock Device UK measurement

ウィスキーなどをいただきながら(!)色々な話をし、気づけば閉店時間。

私はUK8.0EとUK8.5Eで悩んでいたのですが、アンディ氏いわく、「君はUK8.5Eだね!」と大鼓判を押してもらい、気持ちはほぼ決まりました。

ですが、これまで即決であまり良い結果になったことがないこともあり、日を改めて再度最終確認してから買おうと考え、アンディ氏と翌日の再訪を約束し、この日はお店を後に。

 

逃してしまったFoster&Son自社工場製の革靴。

憧れの銀のティーポットを手に入れた話。【英国ホテルの銀食器】
ロンドンで紅茶の美味しさを知ってからというもの、ずっと捜し求めていたのがティーポットです。 これまではカップにティーバッグをダイレクトに使い直接紅茶をいれていたのですが、あの素晴らしいアフタヌーンティーを経験してからというもの、素敵なティー...

翌日は旅の最終日。

なんと、旅の記念にとどうしてもほしくなった銀のティーポットを探していたら、

再訪する時間がなくなってしまったのでした。(アンディさんにも後日謝罪しました。)

ミウラ
ミウラ

靴とティーポットを天秤にかけたところ、革靴はたくさん所有していたこともあって、一つも持っていないティーポットを優先しました…。

日本国内でもFoster&Son新工場の既成靴が販売開始。

さて、そんな悲しい結末を迎えた私とフォスター&サンの既成靴ラインでしたが、

帰国後少し経つと国内での販売網が少しずつ拡大していきました。

ちなみに国内での取り扱い店舗は下記です。

バルカナイズロンドンで再フィッティング

バルカナイズロンドン フォスター&サン

そんな中、友人の結婚式で東京に訪れたのですが、ちょうどバルカナイズロンドンでも展開がスタートしたタイミングで聞くと在庫も潤沢にある様子。

さっそく青山に足を運びフィッティングし、場合によってはお持ち帰りすることを画策しました。

しかし、ここでまたもUK8.0EとUK8.5Eで悩み始め、結局買わずにお店を後にしたのでした。

ミウラ
ミウラ

なぜかUK8.5Eがゆるく感じたんですよね。

フォスターアンドサンの閉店?在庫品一斉処分セール。

facebook(Foster&Son)

2020年の秋ごろ、世の中は新型コロナで自粛モードが続いておりました。(今もですが)

初の自社工場による新しい既成品ラインを立ち上げたばかりのフォスターも大打撃を受けたのでしょう。

セール時期でないにもかかわらず、旧工場(クロケットジョーンズや、アルフレッドサージェント、チーニー製)のディスコンセールが突如開始されたのです。

閉店撤退セールのごとく、400~500ポンドの靴やレザーグッズが最終的に80%オフとなってしまう狂気の投げ売りがスタートし、あっという間に売れていきました。

さらにはお店の命ともいえるビスポークサンプルまでが放出される始末…。

 

 

ですが、一部の靴好きはこう考えていたはずです。

「これってもう少し待ってれば、新工場ラインのもセールかかるのでは?」と。

 

 

その後、双日がフォスターから撤退したらしいという噂が広がった後、

ついにそのときはやってきました。

 

Foster & Son Sale

https://foster.co.uk/

Foster&Son 新工場製の40%セール!!

 

気がつけば、右手の人差し指からクリック音が数回聞こえたのでした。

 

ついに手元にきた新工場製のフォスター&サンの革靴。

そんな訳で、足かけ5年、ついに…ついに

革靴初心者のときに夢中になったあの物語の!

そして、ロンドンで取り逃した思い出の靴が我が下に!

 

ということで、この靴についてはまた次回ご紹介したいと思います。

フォスターアンドサンは閉店?廃業?

ちなみにフォスターアンドサンは、現時点では廃業した訳ではないようです。

現地のスタッフ曰く、

ジャーミンストリートのWS Foster & Son Ltd が、ノーサンプトンのFoster & Son Northampton Ltd,を工場込みで買収済みとのことでした。

とはいえ、現時点では再生産の予定はないそうなので、やはり今ある在庫品で一旦終了で間違いはなさそうです。

もっとも工場自体はありますから、コロナが落ち着けば、また新しい動きがあるのかもしれません。

ミウラ
ミウラ

フォスターファンは楽しみに待ってても良いかもしれませんね!

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