雪の降る北海道では冬に備えて雪用のハーフラバーを貼るのが男女ともに常識となっています。
主に男性会社員なら革靴に、女性ならブーツやブーティに。(あの小さなヒールの接地面にも貼っちゃいます)
一般的には生ゴムを使ったものが多いのですが、最近のハーフラバーは最新テクノロジーを使ったものも選ぶことができます。
今回は先日購入したガジアーノガーリング(Gaziano Girling)のシボ革を最強の冬靴に改造するため、つい最近北海道に上陸したリファーレの札幌店に相談してみました。
リファーレ札幌(Rifare SAPPORO)
2019年に札幌駅にオープンした靴修理の名店「Rifare(リファーレ)」の札幌店。
東京や大阪などの年中革靴が活躍するようなエリアで毎日のように靴修理を手掛けられており、その実力の高さは折り紙付き。
高級紳士靴が集まる有楽町の阪急メンズ館や、西武デパートでインストアのシューリペア工房も運営されています。
さらには北海道で取扱がなかったEdward GreenやFoster&Sonなどの高級革靴も同時に取り扱うということから、私もオープンを楽しみに待っていました。
ビブラム ラプターソール?
さっそく冬用の靴底加工について相談するといくつかのハーフラバーをご提案いただきました。
何種類か見たことがあるタイプもありましたが、ミウラが最終的に選んだのはビブラム社のラプターソール。(正式名称はVibram 2341 Raptor Half Rubber Soles.)
最大4.5mもの厚さになるスパイク付きのラバーソールは特殊なコンパウンドが配合されており、氷と雪上で最高のグリップを発揮するように設計されているそうです。
あのビブラム社が雪を掴むよう設計されたゴツゴツしたソールパターン。シボ革との相性もピッタリそうです。
ダブルソール+ハーフラバーで一工夫
今回、雪用ハーフラバーを貼ってもらうのにあたって、気がかりだったのがソールがトリプルソールになってしまうこと。
一般的なドレスシューズはシングルソールのため、これにハーフラバーを貼り付けると接地面がダブルソールと同じ状態になります。
選ぶハーフラバーの厚みにも因るのですが、これが結構歩行感に影響するんですよね。
そして取り付け予定のガジアーノガーリングはダブルソール。しかも貼るのは厚みのある冬用ハーフラバーですから履き心地としてはかなりしっかりとしたトリプルソールと同様と考えるべきでしょう。
あまりに固すぎる歩行感は好みじゃない私としては「これはまずいなぁ・・・」と、ずっと頭を悩ませていました。
レッドウィング式で厚みを抑制
そんなとき思い立ったのが先日我がシュークロークに仲間入りしたレッドウィングのベックマンフラットボックス。
アメリカ産のワークブーツに多い仕様なのですが、ベックマンでは通常より厚めのシングルレザーソールをやや深めに削りこんでハーフラバーを埋め込んでいます。
トリプルソールの履き心地を避けるにはこれしかないか!?
そんなこと思いながら、さっそくこの仕様について相談したところ…
ガジアーノガーリング(Gaziano Girling)の場合は、ダブルソールをチェーンステッチで出し縫いしていることが多く、ここを切ってしまうとソールが剥がれてしまうことがあります。
なのでステッチが切れないギリギリのところまで一枚目のソールを削り込んだ上でラプターソールを接着してみますね。
とすぐにマニアックな知識ともに最適であろうソリューションをご提案いただきました。
(「この人すごい!」と思ったのは言うまでもありません。実際に何度もG&Gを修理した経験が無いと出てこない台詞ですから。)
また、ヒールについては
このまま貼ると多少踵側が高くなる形になりますが、お好みはありますか?
とまさに次にお願いしようと思っていたことを聞いていただけました。
ハーフラバーを貼ることにどうこうはないのですが、ハーフラバーやヒールを交換したことにより、靴の接地バランスが崩れることは避けたかったんです。
「踵の高さ」と「つま先の高さ」のバランスが変わるとラスト設計者の思惑から外れることになりますからね。履き心地は大切にしたい派です。笑
※後ほどわかったのですが、このとき対応いただいていたのはリファーレ代表取締役の松添さんでした。そりゃお詳しい訳です…。
ビフォーアフター
そんなやりとりの後、約2週間後に引き取ってきました。(出来上がりはもう少し早かったはず)
さて、ビブラム2341ラプターソールを付けたガジアーノガーリングは一体全体どんな仕上がりになっているのか?!
・・・
…めっちゃカッコいいじゃない。(笑)
独り言は置いておいて、改めてみるとひとつ気が付く点が。
一般的にはダブルソールとなるとやや薄めのシングルソール2枚を使うことが多いのですが、ガジアーノガーリング(Gaziano Girling)の場合は、通常のシングルレザーソールをそのまま2枚使っている気がしますね。そう思ってしまうくらい分厚いソールなんです。
ビブラム2341ラプターソールの接着面を接写してみました。
イメージ通りシボ&シボスタイルです。笑
流石にレッドウィングほどではありませんが、攻めれる限りソールを削って接着いただいてるのがよくわかります。そのまま貼りつけてたらソールがとんでもない厚さに仕上がるところでした。(笑)
懸念点だった接地面のバランスについても変わらない状態に仕上がっており、まさにさすがRifareさん!といったところ。大満足の仕上がりです!
ビブラム ラプターソールは雪道で効果抜群なのか?
さっそくビブラム2341ラプターソールの実地試験(!?)を開始します。
雪道を歩くために開発された素材とソールパターンの実力はいかに?
コロニル1909ワックススプレーを忘れずに。
雪道で使い続けるには防水スプレーをするのはとても大事なことです。
ちなみに1909プロテクトスプレーとの違いはツヤ感の有無となります。
Vibram 2341 Raptor Sole実地試験スタート!
左足は大定番のダイナイトソール、右足はビブラム2341ラプターソールです。
はたから見るとかなりおかしい足元ですが、気にせず歩き出してみます。
雪道、凍った路面、雪が解けて水に濡れた店内…(これは流石に別日の感想です笑)
結果は?
ビブラム2341ラプターソール…かなり良いです!
まず、ダイナイトソールだとちょっと気を付けて歩いていても滑ってしまう雪上ではまず滑ることはありませんでした。
流石にツルツルの凍った路面は慎重に歩かざる得ませんでしたが、それでも以前よりはだいぶ楽。
コンビニなどで水に濡れてしまった床面でも滑ることはありませんでした。ソールパターン的に水はけが良いからでしょうね。
そして何より良かったのはその歩き心地、クレープソールまでとは言わないまでも革靴のラバーソールでここまで柔らかい歩き心地はなかなかありません。
(といってももちろんスニーカーほどではありません)
そんな訳で結果をまとめたのが以下の表です。
ダイナイトソール | ビブラム2341ラプターソール | |
雪での滑りにくさ | △ | ◎ |
氷での滑りにくさ | × | 〇 |
店内での滑りにくさ | × | ◎ |
柔らかさ | 〇 | ◎ |
重さ | 〇 | 〇 |
最後に
途中からリファーレ札幌店というより、Vibram 2341ラプターソールの記事になってしまいました(笑)それも靴ブログっぽくて良いかなと思っています。
いずれにせよ同店は代表の方はもちろん、スタッフの方もかなり靴に詳しく、安心して相談できるとお店だと思いました。
また、販売している革靴のラインナップからして男性客が多いのかと思っていたのですが、女性客がひっきりなしにきていたのには驚きました。やはりブーツやヒールでの需要が多いのでしょう、それにステライーストにあるのが効いているのかもしれませんね。
北海道にお住まいの方は、新しい冬用ハーフラバーを検討する際はぜひリファーレ札幌店で相談されてみてはいかがでしょうか。
リファーレ(Rifare) 札幌店
- 〒060-0005
- 北海道札幌市中央区北5条西2丁目
札幌ステラプレイス イースト2F - 011-209-5197
- 9:00~21:00
- https://www.instagram.com/rifare_sapporo/
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