残暑の残る北の大地。
2022年10月1日、ついにそのときは訪れました。
道産子シューシャイナー達の祭典…。
靴磨き選手権大会 in HOKKAIDO 決勝戦!!
今回は、北海道では初めての開催となる靴磨きバトルイベントを、靴好き仲間の友人Zと観戦した様子をレポートしていきたいと思います!
(オールデンにガジアーノガーリングでドレスコードはバッチリな我々)
靴磨き選手権大会 in HOKKAIDOとは
靴磨き選手権大会 in HOKKAIDOは、大丸札幌店で行われた催事、靴磨きフェス2022のなかのイベントのひとつとなります。
2022/9/28~10/4まで行われるこのイベント期間中は、靴磨き選手権以外にも下記が開催されていました。
- 飯野さんによるシューズカウンセリングサービス
- Brift H SAPPORO 林田さんによる靴磨き
- シューケアマスター渡辺さんによる靴のお手入れ相談会
- 安達紙器シューケアボックス パターンオーダー
- 鍛金(たんきん)靴べらパターンオーダー
- オーダーシューレース
- 永田良介商店 世界に一足だけのスリッパ展
仕掛け人はBrift H SAPPORO
こういったイベントはやはりデパートでの単独開催は難しいもの。
靴磨き界からはBrift H SAPPORO林田さんが全面協力しており、審査員長としても参加されていました。
歴史があり、さらに今でも活躍されている組織が加わるとイベントに深みが出ていいですよね!
予選大会は大盛況!
本決勝大会の予選は、9月3日にBrift H SAPPOROで開催され、札幌のみならず北海道中のシューシャインラバーが参戦したんだとか!
予選大会では1足を10分で磨くというルール。
残念ながら決勝進出とはなりませんでしたが、女性のシューシャイナーも予選参加されていたようで、これからの靴磨き界のますますの盛り上がりが期待できますね!
今回のファイナリスト3名はこの予選会を勝ち上がった方たちとなります。
決勝大会のルール
大丸札幌店で開催された靴磨き選手権大会 in HOKKAIDO 決勝戦のルール。
- 2足を20分で磨き上げる
- 磨く靴は色のみ事前発表
- シューケア用品はM.モゥブレィとイングリッシュギルドシリーズのみ
靴は三陽山長 友二郎
審査対象となる靴は、日本を代表するシューメーカーのひとつでもある三陽山長 友二郎。
飯野さんによると現代の日本人に合わせて作られた木型を使っており、甲が薄めでカカトが小さめなのが特徴なんだとか。
大丸札幌店でも人気があるメーカーでトップセールの一つだそうです。
これらは大会当日に大丸札幌店に届いたばかりで乳化性靴クリームが塗ってあるだけ。
展示物のようなポリッシュは施されておらず、クリームやワックスがしみ込みやすい状態だったそうです。
使用可能なシューケア用品はM.モゥブレィとイングリッシュギルド
本大会ではシューケア用品メーカーとしては、アールアンドディー社が協力。
使用可能なシューケア用品はM.モゥブレィとイングリッシュギルドの一部でした。
事前にラインナップは告知されており、ファイナリストが必要な分を手にとって使用するスタイルです。
ちなみに布とブラシは各ファイナリストが持ち込んだ私物を使用します。
司会はあの飯野さん!
そして、司会はあの「紳士服を嗜む」の著者でもある飯野高広さん。
服の本かと思って読み始めるといきなり骨格などの話が始まるスペシャルにマニアックな一冊で、私も友人Zも大ファンなんです。
あぁ・・・生飯野さんや・・・!!
決勝戦レポート
緊張の20分間がいよいよスタートします。
まずは皆さん、靴に馬毛ブラシをかけてホコリを軽く落とし・・・とやっていたんですが新品なので儀式程度でしたね。笑
その後、ワックスなどの缶を開け、アッパーに塗り込んでいきます。
ファイナリストの磨き方
予選一位の藤田さん。
選んだシューケアアイテムはM.モゥブレィ ハイシャインプライマー黒とM.モゥブレィロイヤル グラサージュワックス黒の2つ。
「なぜ予選一位かわからないんですよ」という控えめなコメントが印象的でしたが、動きを見るとなるほど終始落ち着いた様子でペースを乱さず磨いており、安定した仕上がりが武器のように思いました。
途中のインタビューでは新品の革靴ならではの「ワックスが染み込む」現象に苦戦されている様子でした。(確かに磨き込んだ革靴では起きにくい現象です)
ちなみに予選は見ていないので完全に観客目線のコメントが続きます。笑
予選二位の大野さん。
選んだシューケアアイテムはM.モゥブレィ ハイシャインプライマー黒とM.モゥブレィロイヤル グラサージュワックス黒の2つ。
藤田さんとまったく一緒。両アイテムとも私は試したことがありませんが、ファイナリスト2人ともこの2つしか選ばないというところはかなり気になりました。
この日のために相当な練習をされてきた様子。
他の2人よりも時間をかけ、靴全体にワックスを塗り込んでいるようでした。
予選三位の増澤さん。
選んだシューケアアイテムはM.モゥブレィ ハイシャインプライマー黒とM.モゥブレィロイヤル グラサージュワックス黒に加え、M.モゥブレィ ハイシャインワックス黒です。
私の見間違いでなかればプライマーとハイシャインワックスを混合して、下地をつくっているようでした。
前のお二人とは、唯一異なる手法を挑んでられたのですが、やはり第一回ということもあり、なぜそれをやったか?というインタビューがなかったのが個人的には残念なところ。(聞きたかった!)
白熱する決勝戦。
観客の人々も固唾を飲んで見守ります。
パンパン!という音が会場に鳴り響きます。
ハンドラップの水を染み込ませたネル生地の水分を調整する音です。
ワックスを載せたアッパーは、水分が多すぎても少なすぎても上手く光りません。
このあたりの水加減の調整はまさに靴磨きを真摯にやったことがある人ほど、その難しさが理解できるところですね。
残り5分も過ぎ、いよいよ靴磨き選手権in HOKKAIDO決勝戦も佳境に。
ファイナリストが磨いた靴達が一気に輝き始めます。
果たして、栄光の第一回王者は誰の手に・・・!?
結果発表
結果発表。
そういえばご紹介していませんでしたが、審査員は3名。
- Brift H SAPPORO林田さん
- アールアンドディーの四垂さん
- 大丸札幌店側の元々の仕掛け人バイヤー前田さん
持ち点は各自20点で、「ツヤの強さ」と「ツヤのバランス」が評価基準となっていました。
※ツヤのバランスは左右差や、ツヤの繋がりなどとのこと。
プロのシューシャイナー、シューケア用品の専門家、ドレスシューズの元バイヤーとジャッジのジャンルもしっかりとバランスが整えられています。
そして・・・!!!
優勝したのは・・・!!
予選二位の大野さんでした。
おめでとうございます!!
後日、飯野さんのインスタライブを拝見したところ、唯一開始直後に靴全体へポリッシュを塗り込んでいたそうです。これにより、仕上げ工程が省かれた靴に対し、「クリームやポリッシュがしみ込みすぎる」という現象を防ぐ効果があったんだとか(!)
過去には元祖靴磨き世界チャンピオンBrift H長谷川さんや、林田さんも使用しているテクニックだそうで、まさに研究の成果か出た結果なんですね~。
増澤さん藤田さんは残念でしたが、予選を勝ち上がるだけでもすごいことですし、何より人前で技や技術を披露するというのは本当に難しいものですから、ファイナリスト3名には本当に尊敬しかありません。
ファイナリストが磨いた靴たち。
それでは決勝戦で磨かれた靴達の写真を、ファイナリストが靴磨きを始めるきっかけエピソードとともにご紹介していきます。
第三位 増澤さん
まずは第三位となった増澤さん。
つま先にツヤを集中させた仕上がり。
靴磨きはボーナスはたいて購入したトリッカーズのモールトンに、友人からイタズラでシミをつけられたことから気にするようになったんだとか。
その後は、シューケアのみならず鏡面磨きなどにも手を広げ、今に至ったそうです。
第二位 藤田さん
予選一位通過の藤田さんは惜しくも準優勝。
カカトとつま先にツヤを集中させた仕上がりでした。
実は藤田さんは、私も何度か通った旧Brift H SAPPOROのHさんの靴磨き教室がきっかけなんだとか。(ある意味同郷!?)
始めはなかなく上手くできず、自分とプロの違いはなんだ?と追及し、靴磨きの腕を磨かれたそうです。
優勝!大野さん
靴磨き選手権大会 in HOKKAIDO、栄えある第一回の優勝に輝いたのは予選二位の大野さん!
カカトとつま先を中心にしながらも、前後のツヤが繋がるような仕上がり。
実は観戦後半で大野さんが優勝と気づいていました。笑
それくらい圧倒的な仕上がり。
もしかしたら20分でシューケア用品もほぼ同じという条件では、ワックスを塗り込む時間を増やすのが良いのかも・・・しれません。
靴磨きを始めたきっかけは、社会人になりスーツや革靴を使うようになり、初めて3万円を超える革靴を買ったことだったそう。
大切に履きたい・・・と思った靴に出会うことが靴磨きの一歩となるんですよね。
ひとりでとても共感していました。笑
優勝者のツヤと輝き
ということでこちらが優勝者の大野さんが磨いた三陽山長の友二郎です。
やはり注目すべきは圧倒的なカカトのツヤ感。
そしてそこからつま先に伸びるツヤの流れです。
(おそらく唯一コバも磨いてましたが、上手く映ってません)
もちろんつま先側のツヤも弱くはありません。
たった20分でよくもまあここまで仕上げることができるなあとため息が漏れる磨きでしたね。
実のところ時間さえかければ、靴磨きを齧った人であればこの仕上がりは難しいことはありません。
ただ、たったの20分で両足分をこの仕上がりにするのは訳が違います。
林田さんもコメントで言っていましたが、靴磨き屋さんかな?と思えるほどの卓越したスキルだと思います。
ハイシャインプライナーを購入
はてさて、今回の靴磨き選手権大会 in HOKKAIDO 決勝戦では気になるシューケア用品が二つありました。
- M.モゥブレィ ハイシャインプライマー
- M.モゥブレィロイヤル グラサージュワックス
この二つです。
ロイヤルグラサージュワックスはなんとなく効果が予想できるのですが、一方で想像もつかないのがハイシャインプライマーでした。
軽くググると鏡面磨きの下地剤?
Brift H SAPPORO林田さんにうかがうと要するに「マニアックな磨き用アイテム」なんだとか。笑
残念ながら(?)私も友人Zもマニアックカテゴリに入るようなので、2人してハイシャインプライマーを購入してしまいました。
そのうちレビュー記事をご紹介したいと思います。
(謎のファイナリストマストのシューケアアイテム、ハイシャインプライマー)
まとめ
ということで本記事では北海道で初めて開催された靴磨きバトル「靴磨き選手権大会 in HOKKAIDO 決勝戦 at 大丸札幌店」をご紹介しました。
ひとりの靴好きとしては非常に見ごたえのあるイベントだったなと思います。
何も知らず勝手なことを言ってしまうと、次回はよりパワーアップした内容を期待したいところ。ベスト8では茶靴、ベスト4ではシボ、決勝で黒靴とかとか…笑
やはり格闘技もそうですが、「ライブで戦う様子を見る」のは面白い!
靴磨き好きとしてはハイシャインプライマーのように「流行りの磨き」が見れるのも良いですね。
また来年もぜひ遊びにいきたいところ。
関係者のみなさま、出場者のみなさま、お疲れ様でした!
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