あの日、私は焦っていました。
もうすぐ産まれる我が娘。
せっかくだから何か記念になるものを作りたい。
やっぱり靴でしょう。何年かしてからあの時は靴にハマっていたなあと思い出にもなりそうです。
はて、そうなるとどんな種類の靴にしようか・・・。
そうだ、不足していたブーツを作ろう!
いまの手持ちはチェルシーブーツ(黒ポリッシュドバインダー)、フルブローグのチェルシーブーツ(ダークブラウンスエード)、チャッカブーツ(スナフスエード)の3足。
色はバーガンディかライトブラウンがいいかなあ?
でも待てよ、ライトブラウンは北の大地の冬にはちと難しいか。
うーむ・・・、あ!
そういえばJMウェストンならハントダービーでも使われているロシアンカーフがあるじゃあないか!
よし、ロシアンカーフのブラウンでブーツを作ろう!
と、こんな勢いと流れで始まったのがミウラ初のJMウェストンスペシャルオーダーでした。
J.M.ウェストンのスペシャルオーダーとは
https://www.jmweston.com/jp/commandes-speciales
スペシャルオーダーとはJ.M. Westonが提供するMTOサービスのことです。
一般的なMTO(Made to Order)とは異なり、専用のシューズボックス、専用シューツリーが付いてくるのが特徴です。使われる革も製造時ではレーザーで切り出される一般的なレディメイド品と異なり、革の最良の部分を手作業で切り出されるのも嬉しいポイントの一つです。
アップチャージは定価の約40%程度とやや高めですが、その価値分はあるのではないでしょうか。(ちなみに国内だと定価の1.5掛けだそうです)
https://www.facebook.com/jmwestonofficiel/
ちなみに毎週金曜日には公式facebookページでリモージュ工場から選ばれたナイスなスペシャルオーダー品が1足ずつ紹介されています。例えばこの641ゴルフ、2種類のアッパー素材にステッチはホワイトを採用。さらに羽根部分にロゴを型押しで入れていたりと自由度も高いのがわかります。
どのブーツにするのか?
ジョッパーブーツ(ジョドファー)
https://www.jmweston.com/jp/bottine-a-bride-cuir-veau-box-marron-bergeronnette
ロシアンカーフのブーツを作ろうと心に決めた時、すぐに思い浮かんだのがこの写真でした。
JMウェストンのカタログのとある1ページ。Bernard Fouquet氏がグレーのトップスにチノパン、そしてこのジョドファーを合わせているのを見て「随分とかっこいいスタイルの爺さんとブーツだなあ」と強く感じた印象が長い間ミウラの頭の片隅に残っていました。
チェルシーブーツ(サイドゴアブーツ)
https://www.jmweston.com/jp/bottine-cambre-705-cuir-veau-box-marron-bergeronnette
一方で最後まで悩んだのがこちらの705チェルシーブーツ。ミウラが大好きな履きやすさという機能性を持ちながらただひたすらにエレガンスな雰囲気を漂わせるウェストンの名作のひとつです。
ただすでにサイドゴアは2足持っている。そうなるとこちらを選ぶには至りませんでした。
サイズの選び方
通常であれば店頭で試着をし、店員さんと相談しながら決めるのが本筋です。しかし、ミウラは北の大地に住んでおり気軽に足を運ぶことは難しい状況。
なのでこれまでの経験とネット上の情報、そして他の人のフィット感で推測することにしました。言っている意味が分からないと思いますがそういうことです。
ジャストサイズを推測するまで
722ジョッパーブーツは一度だけ履いたことがあります。パリの店舗で8Eを試着しようとしたのですが足が入らず正確なジャストサイズはわかりませんでした。
手元にあるサイズ感は641ゴルフが7.5E、180ローファーが7.5D、そして試着だけしたサイドゴアは8Eということです。
ウェブ上の情報
ウェブ上でとにかく語られるのは722ジョドファーの作りの小ささについてでした。特徴的なものを集めたのが下記です。
- 705チェルシーブーツよりハーフサイズ上げた方が良い。
- ウィズはDでもBやC程度で、ボールジョイント部の広がりがほぼない。
- ノーズはかなり短め。
- 甲の立ち上がりがかなり前方にある。
- ローファーからはハーフじゃなくワンサイズ上げるべき。
などなどかなりフィッティングが難しそうな雰囲気。本当に試着しないでいいのか。
出品情報から寸法を整理
そんな訳でオークションやショップサイトの出品情報に記載されている寸法からジャストサイズを推測してみることにしました。
流石に全サイズの寸法はわかりませんでしたが、推測を立てれるほどにはデータが集まりました。おそらくジャストサイズは8.5E。その寸法は全長29.4cm、最大幅10.6cm。
J.M. Weston公式サイトでチェック
また、J.M.Westonのフランスサイトでは足のサイズを入力するとオススメサイズを提案してくれる機能があります。縦270mm、横110cmでの提案サイズがこちら。
- 180(ラスト41):7.0E ※7.5Dを愛用中
- 641(ラスト31):7.5E ※7.5Eを愛用中
- 705(ラスト39):8.0E
- 722(ラスト44):8.0E
- 589(ラスト21):8.0E
- 300(ラスト11):8.0F
すでに180と641のマイサイズに差異が出ていますが、以前7Eのローファーを問題無く愛用していたことから考えると722は8Eか?しかし、先ほど集めたウェブ上の情報を見る限り705よりかなり小さいらしいため、実際には8.5Dか8.5Eな気もします。
インスタユーザーのサイズも調査
さらに裏付けを進めるためにインスタ上のサイズを公表している人をリサーチしまくりました。わかったのは705と同じサイズかハーフアップ。ウィズは上げる人が多いこと。やはり705より小さめの作りなのは間違いなさそうです。
結論
https://www.jmweston.com/jp/bottine-a-bride-cuir-veau-box-marron-bergeronnette
そんな訳で705サイドゴアブーツが8Eでジャストフィットだったミウラ。様々な情報を総合するにジョドファーは8.5Eがジャストサイズだろうと確信を得るに至りました。
なんて色々書いてますが、一度も履いたことがない靴をオーダーするなんて正気の沙汰ではありません。しかし当時はなぜだかイケると思っていました。(笑)
スペシャルオーダーを注文する
0.JMウェストンジャパンに電話
ということで相談も兼ねてJMウェストンに電話でオーダーすることにしました。
しかし仕様を伝えると…「ルシアンカーフの廃盤が決まっており、オーダーをお受けできるかはフランスからの連絡次第となります。」とのこと。
まあ、そりゃそうだよなあと思い一旦諦めることに・・・。
1.しょうがないのでパリにメール
諦めて10分後、ならばフランスに直接オーダーかければいいじゃない!と閃いたミウラ。さっそくメールで問い合わせることにしました。私は努力次第でなんとかなる事柄であきらめる選択肢を取ることはあまりありません。とりあえずトライ!
いくつかメールをやり取りすると302のロシアンカーフタンブラウンはオーダー可能なことが判明しました。それじゃあゆっくりサイズを試着してから…と思ったのですが、「いまご提案している価格は今週中までとなります。」といきなりぶっこんできました。おいおい、どうしてそんなに急かすんだJMWESTON!(笑)
後からわかったのですが、ちょうどフランス本国の値上げタイミングにぶつかってしまったようでなかなかの好タイミングで連絡をしていたようでした。
2.仕様を決める
ウェストンのスペシャルオーダーを進めるにあたり、一番大切かつおもしろいのが靴の仕様を決める工程でしょう。
本来であれば店頭に足を運び、革を選び、ソールを選び、上記画像の塗り絵のようなペーパーに書き込んでいったりするようですが、メールオーダーの私はもちろん経験できず・・・。
自作しました。せっかくなので完成まではちょっとぼかし気味にしたいと思います。といっても見る人がみればモデルと大体の仕様はわかってしまうと思いますが。(笑)
3.支払いをする
仕様を確認したらクレジットカードで支払いを行います。フランスで普及しているApayerというサービスを利用します。詳しくは下記記事にて。
4.しばし待つ。(リモージュで製造中)
http://www.journaldunet.com/economie/reportage/jm-weston/15.shtml
ここからはただひたすらに待ち続けるだけとなります。通常は16週間前後で製造されますが、私の場合は8月のバケーションをまたいだため、約5か月ほどかかりました。
5.完成品の確認メールがくる
完成すると最終チェックも含めて出来上がった靴の画像が送られてきます。仕様に関するところがわかるように撮影してくれていてさすがJMWESTONといったところ。
内容に間違いがないことを確認し、発送を依頼します。DHL追跡コードを送ってもらうことを忘れずに!(なぜだかわかりませんが言わないと教えてくれません)
ついに到着
ついにこの日がやってきました!初のスペシャルオーダー!実物はどんなのか楽しみです!
すっかり娘の誕生記念ということを忘れていましたが、これは誕生記念ブーツです。
スペシャルオーダー専用のネイビーボックス。
通常記載されている靴の型番、仕様、サイズの他に注文者の名前と注文店が記載されています。私のはシャンゼリゼ店(Champ Elysees)のもの。
一般的なシューズボックスとは異なり、スペシャルオーダーのシューズボックスは横開きなんです。
もちろんシューズバッグも特製のネイビー仕様。いやはや高級感がたまりませんねえ。
チラリ。
続きは次回。
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