先日のチャーチのシャノン狂騒曲から数日後、いよいよ履き下ろし……いわゆる皺入れの日がやってきました!
実は以前からポリッシュドバインダーカーフやガラスレザーの履き皺に関しては思うところがあり、とある仮定をずーっと頭の中に思い浮かべていました。
今回のシワ入れにより、ようやくその答えがわかる日という訳なんです。
ポリッシュドバインダーカーフ、ガラスレザーのミミズ腫れ皺問題
チャーチのポリッシュドバインダーカーフといえば、最高級のカーフを使ったガラスレザーとして有名です。
樹脂でコーティングされたそのアッパーレザーは雨や雪の浸水を阻む、まさに日本のビジネスマンにぴったりな皮革素材のひとつ。
一方でこのポリッシュドバインダーカーフ素材は上記画像のような「ミミズ腫れのような履き皺」が少し目立つ一面もあります。
数年前、この履き皺について英Church’sに問い合わせしてみたことがあります。
返ってきた答えは「その皺はあなたにとって問題に見えるのですか?(困惑ニュアンス)」といったものでした。
まぁ、革靴の履き皺を気にするのは日本人くらいらしいので当たり前か…と当時は思っていました。
しかし、様々なシューケア商品を試したり、皮革ハンドブックを購入して勉強してみたりと、自分なりに皮革について詳しくなっていくにつれ「やっぱりあの皺って発生条件あるよな?」と思うようになった次第なんです。
仮説1:製造時の品質のバラつき説
インスタグラムなどで左右で履き皺の種類が違う革靴をたまに見かけます。
これを見て思ったのが製造時の品質にバラつきがあるのではないか?という説です。
しかし、そうなるとチャーチ社が製造時に品質がばらつく、いわば低品質なアッパーレザーを使用しているということになります。
天下のPRADAグループでそれがあり得る可能性はどうでしょうか。
個人的には少し考えにくいかなと思いました。
仮説2:皮革の乾燥説
2つ目の仮説は、ありがちな皮革の乾燥説です。
こちらも可能性としてはゼロではありません。
しかし、インスタグラムなどを見てみるとどうでしょう。
靴好きの方がしっかりとプレメンテナンスを行っていても、ミミズ腫れのような履き皺が入っているケースをいくつか見かけました。
反対に私の妻も何足かチャーチを持っていますが、ろくにケアしないで履き下ろしたのを含めても、ミミズ晴れのような履き皺が入った個体はありません。
よって、こちらの説も否定せざるを得ません。
仮説3:皮革の温度が低く固さが残っている説
この3つ目が私がずーっと考えていた説です。
私のように僻地に住んでいる革靴ラバーは、輸入だったり通販だったりで革靴を購入することが多いです。
それらの革靴は宅急便のトラックでかなり低い温度で輸送されてきます。
待ちに待った革靴が届いたときの我々の行動はただひとつ。
すぐにプレメンテナンスを行い、我慢できずに足入れをしてしまいます。笑
……そう、革靴にまだ冷たさと”固さ”が残ったままで。
実録!ミミズ腫れのような履き皺が入らないプレメンテ
ということで、冒頭の画像に戻ります。
用意するのは新品のポリッシュドバインダーカーフ、もしくはガラスレザーの革靴。
鉛筆などの少ししなりが出る棒。
そしてm.mowbrayのプレステージ クリームエッセンシャルです。
よくあるレザーローションタイプの商品の中で、用途にガラスレザーと唯一記載があるものだったためチョイス。
ガラスレザーに使える靴クリームとしては、同社のコードバンクリームリノベイターという商品があります。
ですが今回は、伸びと水分量を重視してプレステージ クリームエッセンシャルを選択しました。
1.室温程度にしてから靴クリームなどを塗り込む
まずはガラスレザーの革靴を室温程度にします。
そしてM.MOWBRAY PRESTEGIO CREAM ESSENTIALを塗りたくります。
徐々にアッパーレザーにクリームエッセンシャルが浸透し、しっとりしてきます。
2.靴の中にもクリームなどを塗り込む
忘れてはならないのが革靴の内側です。
こちらにもクリームエッセンシャルを塗り込みます。
お手持ちのレザーシューズの内側を見るとわかると思いますが、ラインングレザーの固さやしなやかさは明らかにアッパー側の履き皺に影響を及ぼしていますので。
べとつきなどが気になる方はデリケートクリームがオススメです。
ちなみに私は雨の日ケアにも使える上に、サラサラ感が気に入っているリッチデリケートクリームを愛用しています。
3.ゆっくり強く丁寧に揉みほぐす。
もっとも大事なのがこの工程です。
革靴のバンプ部分、いわゆる履き皺が出る部分を中心に揉みほぐします。
ポリッシュドバインダーカーフはとても固いため、最初は躊躇すると思います。
「変な押し皺が入ってしまうのではないか?」
しかし、安心してください。
しっかりと常温~人肌程度に温まっている+皮革表面がシットリしていることを確認すれば
丁寧にゆっくりと始めれば、あっという間にコツをつかんで揉みほぐすことができます。
(2足で試し済みです。)
4.ポリッシュドバインダーカーフが超柔らかくなる!
ということで、こちらが結果です。
妻に人差し指で押してもらいました。
グニャリ。
どうでしょう、スエードを思わせるこの圧倒的な柔らかさ!
一方で新品のChurch’s Shannonはよくも悪くも堅牢性がヒシヒシと伝わる”固い”感じです。
この状態ならば、もはやミミズ腫れのようなシワは入ることはないと考えていた訳です。
ポリッシュドバインダーカーフの皺入れの儀。ミミズ腫れのようなシワは防げたのか?
ついにこの瞬間がやってきました。
ポリッシュドバインダーカーフのシワ入れの儀。
ガラスレザーに浸透する製品を使い、揉みほぐしたポリッシュドバインダーカーフ。
すでにスエードのようなトロトロの状態です。
履き皺がいつも入る場所(バンプ部分)にえんぴつを当てて軽くカカトを上げます。
このチャーチのシャノンはプレーントゥということもあり、いつもより少し緊張します。
えんぴつなどを使って履き皺を入れます。果たして…?
革靴に皺入れをする際は、このように内側のサイドもしっかりとガイドしましょう。
バンプの直線的な線と内側の折れ目が左右一致すれば、それなりに揃うことが多いですよ。
……グニャリ。
写真の通りですが、大勝利ですね。笑
ミミズ腫れのようなシワは一切入りませんでした!
大きな履き皺に親指の甲のラインが出てくるタイプの履き皺となりました!
ミミズ腫れのようなシワが入ったポリッシュドバインダーカーフ
ガラスレザーもといポリッシュドバインダーカーフの揉みほぐしをせずにすぐ履き下ろしたチャーチのストラットン。
こちらはミミズ腫れのようなシワがクッキリと入っていますね。
ミミズ腫れのようなシワを防いだポリッシュドバインダーカーフ
- ガラスレザー用のレザーケア用品をたっぷりと使い、
- 常温~人肌の温度にあたためて
- 力いっぱい丁寧に揉み解して
シワ入れを行ったポリッシュドバインダーカーフのシャノンです。
左右両足とも、柔らかな大きな履き皺が入りました。
私の足の屈曲に合わせた履き皺が入ったので大満足!
ちなみにクリームエッセンシャルの塗り跡は、柔らかい布などでバフィングするとあっという間に綺麗になります。
仮説は正しかった!
バフィングしクリームエッセンシャルを取り除いた直後のアッパー状況です。
通常のカーフに入る履き皺に近いシワが刻まれているのがわかります。
シューツリ―に入れるだけでほとんど消えてしまったのも嬉しい誤算でした。
ポリッシュドバインダーカーフの皺入れ まとめ
ということで本ブログ記事では、チャーチのポリッシュドバインダーカーフのシャノンに、ミミズ腫れのようなシワが入らない皺入れの儀を行ってみました。
皺の好みはさておき、このテクニックを使えば履き下ろし時からとっても足当たりも柔らかくなります。
履き皺の”ランダムさ”に悩んでいた方、そしてポリッシュドバインダーカーフやガラスレザー特有の”固さ”が気になっていた方も是非試してみてはいかがでしょうか。
- ガラスレザー用のレザーケア用品をたっぷりと使う。
- 常温~人肌の温度にあたためる。
- 力いっぱい丁寧に揉み解してから履き下ろす。
(私は2足で再現できてますが、実施する際は自己責任でお願いします!)
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