前回、ALDENのシガーコードバン製タンカーブーツを手に入れたにもかかわらず、まさかの展開で手放してしまったミウラ。
その日からというもの、脳裏にガッツリと焼き付いたシガーなブーツが頭から一切離れません。
オールデンスタイルさん風に言えば後悔の化け物です。
(今でも同じ判断はしたと思いますが・・・)
そんな訳で約10日ほど化け物のごとく睡眠時間を削って探しまくっていたところ、とんでもない奇跡に巡り合うことができました。
オールデンを手に入れたら現れる深緑のシューボックス。
その左下に記載されるのは北米別注品を示すDの文字。
蓋を開けると見慣れたクリーム色のシューバッグ。
その奥には何やら見慣れないカード(?)が。
オールデンマニアならこの右のカードで北米のどのショップの別注なのかわかるそうな。笑
黒…?
いや、これは…
ALDEN D7825(AC-3) Cigar Shell Cordovan Jumper Boots
ということで今回我がシューラックの仲間入りしたのは、
オールデンのシガーシェルコードバンを使ったジャンパーブーツ。
あのオールデンオブカーメル(Alden of Carmel)の別注スペシャルモデルとなるD7825(AC-3)です。
D7825(AC-3)の基本情報
メーカー | Alden(オールデン) |
ショップ | Alden of Carmel(オールデンオブカーメル) |
型番 | D7825(AC-3) |
スタイル | Punched Cap toe Boots(パンチドキャップトゥブーツ) |
製法 | Goodyear Welt(グッドイヤーウェルト方式) |
アッパー | Cigar Shell Cordovan(シガーシェルコードバン) |
ラスト | Barrie Last(バリーラスト) |
ウェルトタイプ | 360 Reverse Welt(360°リバースウェルト) |
ウェルトカラー | Antique Edge(アンティークエッジ) |
ソール | Double Leather Sole(ダブルレザーソール) |
オールデンオブカーメル(Alden of Carmel)とは
まず、そもそもオールデンオブカーメルをご存知ない方もいると思うのでご紹介。
Alden of Carmelとは知る人ぞ知るカリフォルニアにある老舗のオールデンショップです。
その歴史は1994年にとあるホテルの一角からスタートしました。
店主アダム・ノット氏の素晴らしいカスタマーサービスに加え、世界で初めてオールデンの別注品(メイクアッププログラム)の取り扱うお店として徐々に知られる存在に。
そのメイクアッププログラムを推し進める過程でコマンドソールやプラザラストの普及にも大きく影響したそうです。
今ではなんと別注品だけのオールデンショップとなっており、そのすべての品番にはAOC-XXという別品番が設けられています。
とくに有名なのは初期の別品番(Alden Fan)の第一号となるAF1でしょう。
AF1はウィスキーコードバンとマホガニーコードバン(今は廃盤)を使ったサドルシューズです。
ウィスキー&マホガニーコードバンの透明感溢れる質感とオールデンならではの無骨さを120%生かしきったその作品は今では伝説的な存在となっています。
Punched Cap toe Boots(パンチドキャップトゥブーツ)
そんなマニアックなオールデンショップ「Alden of Carmel」によって作られたのが多種多様なシューズとブーツを展開するオールデンの中でもなかなかユニークなブーツスタイルとなるAC-3です。
パンチドキャップトゥ、別名ジャンパーブーツとも呼ばれるこのスタイルは、つま先のキャップ部分にブローギングが施されており、短靴ではいわゆるクォーターブローグなんて呼ばれるちょっとエレガンスを感じるブーツとなっています。
また、こういったトールタイプのブーツには珍しくスピードフックが搭載されていないのも大きな特徴の一つです。
Cigar Shell Cordovan(シガーシェルコードバン)
さて、そんなジャンパーブーツを構成するのが、いわゆるレアカラーコードバンと呼ばれるシガーシェルコードバン(Cigar Shell Cordovan)です。
全世界でもっとも高品質なシェルコードバンを製造するといわれるホーウィン(Horween)社の中でも、一割以下となるレアカラー用原皮で製造された超高品質コードバン。
レアカラーコードバンとしては明茶色のウィスキーカラーがもっとも有名ですが、マニアの中ではオールデン専用カラーとなる赤茶色のラベロや、このシガーも大変な人気があります。
うっすらとオリーブを感じる美しきダークブラウンカラー。
それがシガーシェルコードバンなんです。
Barrie Last(バリーラスト)
オールデンの靴を買うときにアッパーの次に気になるのがこのラスト(木型)でしょう。
今回入手したD7825(AC3)はもっとも多くの靴に採用されているBarrie Last(バリーラスト)
ALDENの中でも大きめのラストとなるバリーラストは、ボリュームあるセミロングノーズのややゆったりしたフォルムが特徴です。
オールデンを代表するプレーントゥモデル990や、ロングウィングモデル975にも使われており、まさにアメリカンドレスラストといっても良いでしょう。
Reverse Welt(360°リバースウェルト)
10年履けるといわれるグッドーイヤーウェルト製法の靴には、その名の通りアッパーとソールを繋ぐウェルトと呼ばれるパーツが使われています。
もっとも一般的なタイプはフラットウェルトと呼ばれる平たいものですが、このAC3に採用されているのはリバースウェルトと呼ばれるタイプ。それも靴全周をグルリと巻いたスタイルに仕上がっています。
このリバースウェルトは、厚めのフラットウェルトに切り込みを入れてL字型に成形していることから、すこしゴツいイメージが加わるとともにアッパーとソールの間への浸水を防ぐことができる極めて実用的な意匠です。
革靴に詳しい人がちょっと近づいてみると「これはパラブーツでよく使われるノルウェージャンじゃないのかな?」と思う方もいると思います。
なんとこのウェルト上部のステッチは飾り縫いなのでアッパーとは繋がっていません。(!)
Antique Edge(アンティークエッジ)
革靴のウェルトとソール側面をエッジと呼びますが、オールデンでは4種類のエッジカラーが用意されています。
- ブラックエッジ
- ダークマホガニーエッジ
- アンティークエッジ
- ナチュラルエッジ
ブラックエッジはその名の通り、よくある黒染めタイプ。
ダークマホガニーは積み上げパーツをダークブラウンで染めたもの。
そしてナチュラルはその名の通り染め無し。
そしてD7825(AC3)ではアンティークエッジと呼ばれる積み上げパーツごとに若干色味を変えたユニークな仕上げになっています。
このアンティークエッジはオールデンの定番のひとつ「カラー8(バーガンディ)」とも相性が良いことからファンも多いようですね。
Double Sole(ダブルソール)
そしてこれらを支えるのが強靭なダブルソールです。
一般的にはシングルソールが多い本格靴業界ですが、THEアメリカンシューズのオールデンはレザーソールを二枚貼り付けたこのダブルソールが大定番。
ちなみに画像下のシングルレザーソールは私が愛用するアナトミカのALDEN5610です。
しかし、このままだと雪国ではやや使いづらいのでちょっとしたことを検討中です。
バリーラストのサイズ感
シガージャンパーブーツD7825(AC3)は前述の通り、バリーラストが使われています。
以前所有していたシガーLWBの短靴タイプでも9Dがちょうど良かったBarrie Lastですが、ブーツにおいても同じサイズでジャストサイズでした。
ブーツなら大きめOK!というところもあると思いますが、9Eではやや大きく感じるところもあったので結果的に最高のサイズにめぐり合えたと言えます。(ニッコリ)
モディファイドラストと比較
先ほどもご紹介した5610(モディファイドラストUS8.5E)と並べたのがこちら。
ソール側から見るとヒールの大きさでわかりづらいのですが、上からみるとアッパー部分の大きさはほぼ同じで、履き心地も土踏まず以外はかなり似ています。
ぜひサイズ選びのご参考に!(バリーラスト9.0Dとモディファイドラスト8.5E)
AC-3を手に入れた経緯
さて、そろそろこんな超絶レアモデルを手に入れた経緯に触れていきたいと思います。
冒頭ご紹介したとおり、一度は理想のブーツを手にしたにも関わらず、不幸にも手放す他なかったシガーシェルコードバンのブーツ。
私はどうしても欲しくなってしまい、世界中のお店やコレクターなどに当たりまくって撃沈し続けていました。
レアカラーのシガーコードバン+ブーツタイプ(生産数が少ない)+リバースウェルト(冬も履きたいので)+バリーラスト+サイズは9D・・・そして新品未使用。
こんな条件で探していたのですが、ご想像の通りそりゃあもう全くダメダメのダメ。
10日程度の睡眠不足じゃ一切歯が立ちません。
スーパーアシストがあった!
そんな姿を見かねて(?)超絶アシストしてくれたのが日本を代表するALDENブロガーのひとり、「前略物欲が止まりません。」のShogoさんでした。
マイサイズの未使用レアカラーを入手するだけでも血反吐を吐くほどの労力がかかる(思い当たるところがとてもありますねぇ泣)にも関わらず、
「普段より交流がある長年のブロガー仲間」+「たまたま奇跡的に条件に合う話があった」
ということでなんと今回、特別にアシストしてくれたんです。
※お話を伺ったところ、レアカラーのオールデンはコネがあるからすぐに探せるような代物ではないそうで、本当にただただ幸運だっただけのようです。
あ~、ブログやってて良かった。(何)
Shogoさん本当に有難うございます!
Youtube版「前略、物欲が止まりません。」
ということで最後になりますが、そんなShogoさんのYoutubeチャンネルを紹介させてください。
Youtube版「前略、物欲が止まりません。」 では、ALDENを中心とした初心者向けの解説からレアカラーの紹介、そして実際にされている靴磨きの解説など、オールデン好きにはもちろん、革靴好きにも役立つ動画をたっぷりと配信されています。
中にはご自身が個人輸入で出くわした生々しいトラブルのお話や、コードバンへのシワ入れ実演動画などの貴重な動画もアップされており、本当に見所満載!
オールデン好き、さらにはコードバン好きの方もぜひ一度アクセスしてみてくださいね。
これからも初心者向けからマニア向けまで幅広い情報をガンガン更新予定だそうですよ!
※次回はプレメンテナンスと履き下ろしの様子をご紹介したいと思います。
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