黒いフルブローグ。
いわゆる「革靴」というものは色々なスタイルが存在しますが、英国靴となったらまず一番に思い浮かぶのはこのフルブローグではないでしょうか。
革靴のなかでもっとも多くのパーフォレーション(穴飾り)を持つスタイルであり、一番革靴らしいクラシカルな見た目が特徴です。
イギリスのビジネスマンは仕事用の革靴=黒、それ以外用=茶として使い分けるのが常識としてあるらしく、あのトニーブレア元首相も議会の質疑応答の際にはチャーチの黒いチェットウインドを履いていたそう。しかも18年間も同じ一足を。これぞ英国紳士そのものだなあと感じたことが強く記憶に残っています。
革靴にハマって数年のミウラも数々の名作といわれる靴達を手に入れてきましたが、なぜかこの黒いフルブローグだけには手を出すことができませんでした。
なぜか?と問われると「なんとなく…」と言ってきたのですが、よくよく考えると自分の中で黒いフルブローグという存在はもっとも敬意を表するべきスタイルの革靴として位置づけていたのかなあと思います。
ついにブラックフルブローグを探す時がやってきた!
そしてその時はついに訪れる…。
先日、母と友人Zと再訪したジャーミンストリート。
この旅が決まった時から私はずっと心に決めていたことがありました。
それは「最高のブラックフルブローグを連れて帰ること。」
これまで培った経験を元に
・自分にあった最高のフィッティング
・自分にあったシルエット
・黒いカーフのフルブローグ
これらをすべて満たす靴を探すことにしたのです。
ちなみに同行した友人Zの目的は「最高のブラックセミブローグ」を探すことでした。(笑)
J.M.Weston
まず一軒目に訪れたのはJ.M.Weston。
これだけで今後どういうルートをたどるかわかる人もいるんでしょうね。(笑)
さて、イギリスまできてフランスのシューメーカーでもあるJ.M.Weston?といったところもありますよね。
しかし、靴の製造方法の中でもっともイギリスらしいグッドイヤーウェルト方式を採用しており、さらにクラシックスタイルの完成度が非常に高いのがJ.M.Westonなんです。
Great Classic 376 (Last 11)
J.M.WestonのフルブローグはGreat Classicラインにある376と呼ばれるタイプです。
主な特徴として下記があります。
- ほんのりスクエアトゥ
- ブローグはやや丸目な印象
- 土踏まずのサポート強め
- ウィズは6種類(!)
- フランス製
- だけど廃盤
サイズとウィズが自由に選べてまさに自分になって一足が選べそうですが、そうなんです。
もう廃盤中なんですね。
画像は先日友人Zがスペシャルオーダーしたものなので、どうしてもほしい場合は定価の約1.5倍を価格でMTOする必要があります。
ちなみにラストはJ.M.Westonの隠れた名定番品300ストレートチップと同じなので履き心地が最高なのはわかっています。
しかし、今回の旅で見つけたい!という気持ちが強かったためMTOは選択肢から外すこととしました。残念!
Edward Green
次に訪れたのはエドワードグリーン。
昨年訪れたノーサンプトンではまさかのヒラリー社長と記念撮影できてしまったりと少なからず縁を感じているシューメーカーです。
Malvern (Last 82)
エドワードグリーンの靴はスタイルごとに名前が決まっており、ラストが異なっていても名前が変わらないのが特徴です。
なのでもっともトラディショナルなフルブローグスタイルであれば製品名はMalvernとなります。あとはどのラストのマルバーンを選ぶのかという形ですね。
私自身は定番の202ラストの靴を所有していますので、それを細身にした82ラストを狙っていました。
ですが在庫を確認すると82ラストのマルバーンはEウィズのみ。
致し方ないのでLast82のUK8.5Eを試着することにしました。
- 足なりのインサイドトゥ形状
- 土踏まずのサポートあり
- ブローグデザインはやや好み
- やや踵が浮く
- 見た目が長く感じる
- Last82であればウィズはMTOでのみ選択可
うーん、やはりFウィズのLast82を試してみたかった。
フィット感は良かったもののしっくりこなかったため次へ。
Foster & Son
3軒目はいま話題のフォスター&サンです。
日本人の方が親方を務めるビスポークメーカーとして有名でした。(先日退職されたそう)
バルカナイズロンドンを運営する双日の働きにより去年ノーサンプトンに新規に工場を立ち上げました。
こちらのジャーミンストリート店ではもちろん日本の各デパートでも販売が始まっています。
Last 66
フォスターサンでセミブローグを試着しました。
というのも新工場は稼働したばかりでまだフルブローグの製造がスタートしていないそう。
ですが同じラストを使った靴があったので試着させてもらいました。
- Last 66はビスポークに近い履き心地を目指して作られた木型
- 履き心地はめちゃくちゃに良く、すべての曲面を捉えられている感覚!
- 標準ウィズはあるが幅広ウィズは在庫なし
- ややロングノーズ気味
履き心地にはかなり心惹かれたのがですが、いかんせんフルブローグの展開が無いのでどうにもなりません。
オンラインショップで今後取扱予定だそうですが、フルブローグって結構ブローグデザインに微妙な好みが出てくるので現物を見たいところ。
うーん、次!
John Lobb
次にやってきたのはキングオブシューズ「John Lobb」です。
ノーサンプトンで購入した名作CITY2は今でも私のお気に入りの一足。
これぞTHE英国!といえるフルブローグが待ってる予感がします・・・(笑)
Stowey (Last 8695)
ジョンロブのフルブローグはコアコレクションのなかにあるストーウィというタイプ。
私はラスト7000のシティ2だとUK8.0EEを愛用しています。しかし在庫にあったのは8695UK8.5Eのみでした。
- Last 8695は標準的なノーズでやや広めの作り
- UK8.5Eは幅は良いが踵がやや浮き気味
- フィット感は標準的
- ブローグデザインがしっくりこない
伝統的なブローグスタイルで持ち帰れる状態でしたが、今後履き続けるのにしっくりこない点があるのはやめておいた方が良いと思いスルー。
Church’s
今回はチャーチには足を運びませんでした。
というのも理由は簡単ですでにチャーチのフルブローグを所有しているから。
MTOまでして手に入れたフルブローグの色違いを揃えるのは何か違うかなと。(笑)
Chetwynd (Last 173)
そんな訳ですでに所有していますが比較のために所感を並べておきます。
- ややロングノーズで欧米人に合わせた木型が特徴
- UK8.0G(幅広)を愛用中
- ストレスはなく、靴ヒモを締めれば適度なフィット感
- ブローグデザインはかなり好み
- トニーブレア元首相も愛用!
流石にロンドンまできて所有している靴の色違いを選ぶ気持ちにはならなかったので、次へ向かいます。(笑)
Gaziano & Girling
最後に訪れたのは以前から興味があったガジアーノガーリングです。
元エドワードグリーンのビスポーク責任者と非常に著名なアウトワーカーの方が立ち上げたシューメーカーです。
歴史は浅いながらもすぐに英国靴のトップレンジに躍り出るほどの実力ですでに3大勢力として認識している方も多いのでは?
直営店はロンドンにしかないため色々と試せる貴重な機会です。
だがしかし。すでに靴探しに数時間を費やしており疲労困憊な状態でありまして…。
G&Gの新作クラシックライン
G&Gで気になっていたのは2019年に発表された新作ラインとなるクラシックシリーズです。
その特徴は・・・
- モダン過ぎると評価されがちなG&Gがついにクラシックシェイプに着手
- ウィズはEX(EとFの中間)
- アッパーは通常ラインと同様の品質を採用
- 展開は直営のみ
- 価格は通常ラインより20-30%ほど安価(!)
とここまで聞くとまさに私のために作られたような条件ですが、まさかのまさかで現時点でフルブローグの展開がありませんでした。(涙)
G&Gにはロスチャイルドというフルブローグのモデルがあるのですが、疲労も溜まっていましたし、やや現代的なシェイプだとわかっていたので試着もせずスルーとなりました。
せっかく直営店にいったのだから試着くらいしとけば良かったなあ。
最終的に選んだのは?
今回の道のりはこんな感じ。
ジャーミンストリートを西側から攻め上げて最後は北上!
1店舗につき30分~1時間はかかっていました。
毎回思うのですがジャーミンストリートって疲れます。(笑)
異国の地で靴のことで頭を使い続けて何店舗いくのですからそりゃ当然ですよね。
そんなわけで各店舗の結果をまとめてみます。
デザイン | フィット感 | Memo | |
J.M. Weston | ◎ | ◎ | 廃盤 |
Edward Green | 〇 | 〇 | 82F未試着 |
Foster&Son | ? | ◎ | デザイン不明 |
John Lobb | 〇 | 〇 | EE未試着 |
Church’s | ◎ | 〇 | 同型所有 |
Gaziano&Girling | – | – | フルブロ無 |
こうして並べて見るとJ.M.Westonが抜群に良いのですが、なにせモノがないのはどうしようも・・・。
次点ではフォスターでしょうか。
ブローグのデザインが好みだったら急にトップに踊り出てきそう!
気になる結果は・・・。
次回公開です。(笑)
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