革靴を3日間かけてプレメンテしてみた【SNSで話題の履き下ろし手順】

靴磨きという「革靴が好きでさらにその革靴を磨くの好き」というニッチなジャンルでは、このキーワードに対して探求心に溢れた方々が沢山います。

私のようにブログでちょっと紹介してみたり、磨く技術を極めて職業にしてみたり、はたまたSNS上やリアルでコミュニティが形成されたりと様々な楽しみ方があり、ふと気が付けばひと昔前に描いていた夢の中に生きているのだなあと感じたりすることも多々あります。インターネットがなければ出会うことがなかった人、技術、たくさんありますよね。

さて、今回は世界最大のSNSとなるfacebookで紹介されていたとあるプレメンテのメソッドを試してみたいと思います。なんと三日間にも渡るプレメンテのメソッドでfacebookにある「靴磨き倶楽部」というグループの中で紹介されていたものとなります。

このメソッドに倣うことで数年履いているのにもかかわらず新品と間違ってしまうほどの重厚感のある仕上がり(発案者の方の表現を借りると『油脂を残した重厚感と透明感を併せ持った硬質な艶』)、そして氏の革靴さらには革自体への造詣の深さにより一時期このメソッドの大旋風が巻き起こっていました。(承認制グループなので画像を掲載することができません。気になる方はグループ加入後、ぜひ画像を探してみてください。すごいですよ!)

私も「乗るしかない!このビッグウェーブに!」と思ったは良いものの、履き下ろすタイミングの革靴がなかったためずっとお預け状態。そんな中、ついにこの三日間に渡るプレメンテメソッドを試す機会がやってきたという訳です。

 


3日間のプレメンテ

新品の革靴に油脂分を定着させることがメインテーマとなっているこのプレメンテ。何と3日間もかけて行います。

今回はついに手に入れてしまったダークオークカラーが美しいEdward GreenのBerkeleyを使って試していきます。長い時間をかけるには申し分ない相手です。正直なところ、手を付ける前からどんな仕上がりになってしまうのか楽しみでなりません!(笑)

 

プレメンテ1日目

サフィールノワール クレム1925 無色でロウ分を溶かし取る

まず使用するのはサフィールノワールのクレム1925の無色(ニュートラル)です。

無色ということでどんな色にも使用できる最高級油性靴クリームかつ、革に優しいクリーナーとしての効果もあります。

 

Crem1925ニュートラル(無色)を柔らかい布に取ります。クリーナーとしての使い方は以前別記事にて紹介していますので気になる方はご覧ください。

クレム1925のニュートラルの使い方(サフィールノワール)
サフィールノワール クレム1925と言えば靴磨き業界では非常に評価の高いクリームとして有名ですが、一方でカラーレス(無色)の使い方がよくわからない!という話をよく聞きます。 なぜならサフィールノワールは同じような無色のカラーレスクリー...

 

新品の靴に塗っていきます。塗るという表現になってしまうものの、正確にはこの工程では新品の靴に施されたろう分(ワックス)を溶かし取ることが目的となります。

 

新品の革靴をクレム1925で一撫でするとこんなにクリームが取れてしまいます。

染色を落とすのが目的ではないので力を入れてゴシゴシする必要はありません。あくまでクリームでロウ分(ワックス)を溶かしてぬぐい取るイメージですね。

ちなみにこのテクニックはつま先の鏡面仕上げを落とすときにも使えますよ!

 

片足が終わった状態がこちらです。

私はつま先、ヴァンプ部分、左右のつま先側面、ボディ左右の6か所とエリア分けしてやってみました。

全体を水拭きする

次にぬるま湯を固く絞った柔らかい布で靴全体を水ぶきします。革靴に水なんて大丈夫!?と思う方もいるかもしれませんが、外国の革靴を購入した際のガイドブックにまずはDump Clothで拭いてねという記述が良く出てくるほどシューケアの中ではポピュラーなものです。

(ちなみに私は最初から30cm四方にカットされているネル生地を愛用しています。)

 

最初はおっかなびっくりになるとは思いますがぬるま湯を固く絞ったネル生地で新品の革靴を拭いていきましょう。この目的は主に先ほどのクレム1925のロウ分(ワックス)を取り除くことです。

整理すると「革靴表面に付いて入るワックス分をクレム1925で溶かして取り除く」

そして「残ったクレム1925を水拭きで取り除く。」こんな感じでしょうか。

 

その結果がこちらです。新品の状態では大抵ワックスでポリッシュがされているつま先ですらカーフの肌理が見えるほどの状態になりました。これは幸先が良さそうです!

 

タピール レーダーオイルで補油

最後はタピールのレーダーオイルで補油を行います。

これは店頭にある革靴は製造から時間が経つことにより少なからず水分と油分が無くなっていき、いわゆる革が乾燥した状態となっていることから(買ったばかりの革靴って乾いた太鼓のような質感のものがありますよね、あれです。)まずは油分を注入するステップになります。

 

タピールのレーダーオイルは瓶に油が入っているだけなので使い方にコツがあります。

そのまま布にかけるとドバドバ出てしまいますので、柔らかい布を瓶口に当てて上に一回振りましょう。そうするとシューケアに必要な分量だけ布に移すことができます。

 

油分そのものを塗りこむことになるため、時間をかけずに一気に全体に塗り広げましょう。革の状態によってはシミになってしまうこともあるかもしれませんしね。(とくに明るい革)

 

私は片足につき2回タピールレーダーオイルを使ってみました。ボディ左右で1回ずつですね。

そしてここまできたら一旦休憩です。翌日まで待ちましょう。タピールレーダーオイルで補油した油分を軽く揮発させて、靴の中で落ち着かせるのが目的となります。

 


プレメンテ2日目

さてプレメンテも中盤戦です。

1日目では靴についていたロウ分(ワックス)を落とし、そして補油を行いました。

まずは乾拭き

まずは柔らかい布で乾拭きを行います。表面に残り過ぎた成分が均一に均されます。

 

サフィールノワール スペシャルナッパデリケートクリーム

2日目のメインアイテムはこちら。サフィールノワールのスペシャルナッパデリケートクリームです。

基本的にはデリケートクリームなら何でも良いそうですが、やはり最初はオリジナルと同じレシピで挑戦したかったのでこちらをチョイスしてみました。

 

デリケートクリームを靴全体に塗りこんでいきます。目的は補水です。

私はいつもヴァンプ部分とヴァンプ横部分に多めに塗っています、やはり皺が入るところは出来る限り柔軟性を持たせたいので。

 

忘れてはいけないのがライニング部分。とくに甲と履きシワが入るであろうヴァンプ部分には重点的に塗りこんでおきます。これでだいぶ足当たりが軽くなりそうです。

 

プレメンテ2日目はこれで終了。また一日置いて水分を軽く蒸発させます。

サフィールノワールのスペシャルナッパデリケートクリームだと一般的なデリケートクリームの成分(水とわずかなロウ分など)に加えてホホバオイルに小麦プロテイン、ミンクオイルが含まれているのでよりリッチな保革が期待できそうです。

 


プレメンテ3日目

いよいよ三日間に渡るプレメンテも最終日です!

2日目はデリケートクリームを使って補水を行いましたね。

色合いが似ている好きな靴クリーム

3日目は通常のシューケアと変わりませんのでお好きな靴クリームを手に取ってください。

目的は多少は抜けてしまった色の補色と靴全体のツヤ出しとなります。

 

私はダークオークに一番近い色味だったクレム1925のブラウンを選んでみました。基本的クレム1925に任せておけば失敗することはありませんしね。

そういえば最近、エドワードグリーン公式のクリームでダークオークカラーがあるそうです。シューケアモンスターとしては手に入れてみたいところ。

 

そんな訳で靴クリームを靴全体に薄ーく塗りこんでいきます。全体的に軽いマットな仕上がりになったら少し時間を置きます。

 

ブラッシング

10分ほど時間を置き、靴クリームがアッパーに浸透したタイミングでブラッシングを行っていきます。

 

乾拭きも忘れずに。

そして乾拭きでフィニッシュ!これでアッパー面は終了です。

 


忘れてはいけないソールオイル

レザーソールの革靴を買った方はもうひと手間行きましょう!レザーソールへの補油です。レザーソールを柔らかくし、摩耗に強くなるほか、多少ですが早めに靴の返りがつきます。

ちなみに製品はレザーソール用でしたら何でも良いと思います。(現時点で各レザーソールケアアイテムにそこまで性能に差があるようには感じていません。)

 

レザーソールのオイルを塗り込みます。ここで注意点なのですが、レザーソールアイテムはかなりシミになりやすいです。

といってもどうせ地面を歩いてすぐに削れてしまうから目に入るところではありませんが、一応の注意点です。ちなみに私のこの写真で塗ったところすべてがシミになりました(笑)

革底全体に塗り広げたら乾拭きしましょう。ちょっとだけ色が剥げてきますが、まあレザーソールなんでご愛敬といったところですね。

 

両足とも乾拭きが終わったらそのままレザーソール内部も乾燥させましょう。ソール面が床につかないようにするのがポイントです。

ちなみに今回使用しているM.モゥブレイのソールモイスチャライザーが気になった方は小さいブラシが付いてくるこちらのセットがオススメです。

3日間に渡るプレメンテの効果

さて、こちらが72時間に渡ってプレケアを行ってきた新品の革靴です。プレケアを行う前は触ると若干の乾燥を感じる状態でしたが・・・果たして。

 

「あ、しっとりしてて弾力がある。

これが一番最初の感想です。とにかく革の状態が明らかに良くなったことにビックリしました。私は靴を履き下ろす前にコロニルのシュプリームデラックスをヴァンプ部分に塗りこみまくって一時的に柔らかくしてから履き下ろしているのですが、そのとき感じる柔らかさとはまた違った感触です。

なんというかしっかりと靴に油分と水分が定着しているというか…革にとって時間を置く工程は思った以上に大切なのかもしれませんね。(とはいうものの、履き下ろすのが我慢できないときはシュプリームクリームを使い続けると思います笑)

ちなみにこの後半年間に渡り同手法を続けることによって多少の雨でもびくともしない『油脂を残した重厚感と透明感を併せ持った硬質な艶』を新品の革靴が持つようになるそうです。半年後が楽しみで楽しみでなりません。

 

3日間プレケアのまとめ

三日間プレメンテのまとめ

さて今回試したプレメンテですが、非常に苦労しました。なぜならfacebookグループの機能では過去ログを探すのがとっても大変なんです。私自身いざやってみよう!となったときにどれが正しい手順かわかりずらくてしょうがありませんでした。

ということで私の備忘録として調べた手順をまとめてみました。facebookで調べるのが難しいと感じた方はぜひ参考にしてみてくださいね。

 

3日間プレメンテ

  • ホコリ取りブラッシング
  • サフィールノワール クレム1925(無色)でロウ分を落とす。
  • 水拭きしてクレム1925のロウ分を落とす。
  • タピール レーダーオイルで補油。
  • 1日置く
  • 柔らかい布で乾拭きする。
  • デリケートクリームで補水。
  • 1日置く
  • 柔らかい布で乾拭きする。
  • 好きな靴クリームを塗り込む。
  • 30分待つ。
  • ブラッシングする。
  • 乾拭きする。

週1メンテ

  • ブラシで靴のホコリを取り除く。
  • 好きな靴クリームを塗りこむ。
  • 30分待つ。
  • ブラシでクリームを均一に伸ばしながら余計なクリームを取り除く。
  • 乾拭きする。

月1メンテ

  • ブラシで靴のホコリを取り除く。
  • デリケートクリームで補水&古い靴クリームを軽く落とす。
  • 10分待つ。
  • ブラシでクリームを均一に伸ばしながら余計なクリームを取り除く。
  • 好きな靴クリームを塗りこむ。
  • 30分待つ。
  • ブラッシングする。
  • 乾拭きする。

半年メンテ

  • ブラシで靴のホコリを取り除く。
  • サフィールノワール クレム1925(無色)でロウ分を落とす。
  • 時間をおかずにクリーナーでさらにロウ分を落とす。
  • 乾拭きする。
  • デリケートクリームを塗りこむ。
  • 10分待つ。
  • ブラシでクリームを均一に伸ばしながら余計なクリームを取り除く。
  • 乾拭きする。
  • 好きな靴クリームを塗りこむ。
  • 30分待つ。
  • ブラシでクリームを均一に伸ばしながら余計なクリームを取り除く。
  • 乾拭きする。
  • これ以降は月1メンテのみでシューケア。

 

シューケアについて改めて思うこと

しかし、シューケアというのは本当に奥が深い。星の数ほどのシューケアグッズがあって、使い方も仕上がりも千差万別。人の数だけ手順も重視するポイントも異なってて、さらには国ごとに傾向も違ってたりして。そしてもっとも素晴らしいと感じるのは「シューケアの正解は1つではない」こと。

本当に良い趣味に出会ったなあ…。と山のようなシューケアグッズの前でつぶやいてしまったとある日の夜でした。

ちなみにfacebookグループの靴磨き倶楽部ですが、心の底から靴磨き好きな方達が毎日のように自慢のシューケアをシェアし合っていてとっても刺激になる素晴らしいコミュニティです。革靴と靴磨きが大好きなら是非参加されてみてはいかが?

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