革靴マニアはある一定期間が経つと急激に購入頻度が低下します。
なぜなら足は2本しかないのに靴が増え続けるから。
当然一般人の靴棚は無限ではないため、どこかのタイミングで物理的な限界がくるわけです。
一方で革靴はあくまでモノ・消耗品でもあります。つまり、入れ替えのサイクルがある。
……お気づきの方も多いでしょうが、そんなわけで久しぶりに革靴を買いました。
最近のEDWARD GREENについて
ジョンロブ、ガジアーノガーリングと並ぶ英国イギリスの3大シューメーカー、もしくは英国革靴御三家のひとつとなるエドワードグリーン。
可能な限り最良の品質の靴をつくるとか、ジョンフルスティックが……的な話は置いといて、最近の印象はとにかく国内販売価格が高くなったなあというところ。
革靴の相場はハマった時期の年代により大きく変わりますが、私の場合は国内定価で10万円前半、でも個人輸入やノーザンプトンなどの現地購入で10万円以下を狙う。そんな感覚でした。
(昔と比べてずいぶんとノーザンプトン訪問記ブログが増えた)
しかし、今やハンドステッチが有名なアイコニックシューズ「DOVER」は27万円。もっとも基本的なスタイルとなるストレートチップ「Chelsea」は22万円と、円安と現地価格高騰による影響でもはや普通の靴好きは手が出せない価格帯にいってしまったなあというのが正直な印象。
加えて名古屋の質店KOMEHYOではなぜか廃盤品やアクセサリーなどが、割と衝撃的な価格で定期的に入荷してたりするカオスっぷり。我が国が貧乏になったのか、はたまた会社員の給与が低いのかよくわかりませんが、とにもかくにも高級紳士靴から超高級紳士靴に行ってしまったなあと思うのが最近のエドワードグリーンへの感想です。
値段は上がったけど靴好きに愛されるべき良質な靴であることには変わらない
めちゃくちゃ値上がり過ぎた感が高まりまくっているエドワードグリーンですが、やっぱり良い靴を作っています。
何よりブランド力が強すぎないところがとても良い。
ジョンロブやチャーチはもはやハイブランド大好き層に認知されてしまって、ちょっとメジャー感が強い。だけどもエドワードグリーンは靴好きというじゃないとまず買わない、有名過ぎない。おそらくはパラブーツやトリッカーズのほうが知名度がある、靴好きとしてそこがいいんですよね。
エドワードグリーンのチャッカブーツ バンバリーについて
そんなシューメーカーのチャッカブーツ「バンバリー」を先日入手しました。
- シューメーカー:エドワードグリーン
- スタイル:チャッカブーツ
- アッパーレザー:ミンクスエード(ブラウン)
- アウトソール:R1ソール
- ラスト(木型):202
英国革靴御三家EDWARD GREEN社製
先ほどエドワードグリーンをGoogleで検索したらサジェストに御三家というワードが出てきました
いつの間にか二大巨頭から御三家となってしまって、なんだかポ〇モンみたいな感じな様子ですが、このソックシートのロゴはやっぱり大好物。これデザインした人本当にグッジョブ。
あとエドワードグリーンの革靴ってとにかく分厚いんですよね。例えばこの履き口にしてもクロケットジョーンズとは明らかに厚みが違うんです。たぶん何か挟んでたりあるいは革そのものが厚いのかもしれませんが、間違いなく耐久性は期待できる長く履ける革靴ってことです。
3つ穴のチャッカブーツスタイル
もともとチャッカブーツは2つ穴のアンクルブーツのことを指していました。
3つ穴のアンクルブーツはジョージブーツと呼ぶそうです。ただ、厳密には穴の違いだけではなく、ジョージブーツはあえていうならばハイアンクルブーツみたいな感じでもう少し高さのあるタイプなんだとか。
じゃあこのチャッカブーツはどっちなんだ?
そんなことを一瞬気にしてみたのですが、参考として英国のウィリアム王子の足元を見てみるとチャッカブーツ丈の3つ穴スエードブーツを履いています。
つまり王室公認のスタイルということで、極東の一般人が頭を悩ます必要はなかったようです。
(チャッカブーツの靴紐は収納するのが王室スタイルのようです)
リッチなディープブラウンカラーのミンクスエード(MINK.S)
最近の日本のセレクトショップの別注スエードはブラックとなぜか相場が決まっているのですが、やはりこういったベーシックなアイテムは使いやすい落ち着いたブラウンがグッときます。
実はこのミンクスエードカラーは、606ラストを使ったドーバーを持っており、いわゆるアッパーだぶりしちゃってるのですが、思ったよりロットによる色味の差がある感じでした。
エドワードグリーン自社オリジナルソールのR1ソール
このバンバリーに使用されているアウトソールは、エドワードグリーンが独自に開発したR1と呼ばれるタイプ。
エドワードグリーンオリジナルソールは現在全3種類があります。
- R1ソール:シングルラバーソール(ただし厚みは1.5程度)
- R2ソール:ダブルラバーソール
- R3ソール:ハーフダブルラバーソール(接地面だけダブルの厚み)
気になる素材の雰囲気ですが、割とダイナイトソールあたりのものと似ているかなあという印象。固すぎず、かといって柔らかすぎず。
パターンはかなり薄目でドレッシーな印象を崩していないのが嬉しいポイントです。半カラス仕上げのようなデザインに、エドワードグリーンのロゴが入っているのが個人的にはかなり高評価。耐久性についてはこれからですね。
親指長めの超内振り木型の202
使われている木型はエドワードグリーンの基本的な木型となる202です。
ボールジョイントが広く、土踏まずは狭め、カカトは英国靴にしては小さ目、そして何より親指側が一番長い内振りの木型となっています。掲載している画像ではまったく伝わらないと思いますが、上から見たシルエットは二等辺三角形と思ってもらえれば。笑
親指が一番長いエジプト型の足指の人にとっては最高の木型の一つです。
ブートブラック スエードリッチモイスチャーでプレケア
さて、履き下ろす前にプレメンテナンスをやってしまいたいと思います。
今回使用するのは日本製のシューケアグッズ、ブートブラックのスエードリッチモイスチャーです。
元々エドワードグリーンのシューケアグッズは英国で製造していたのですが、コロンブス社の営業努力?などにより数年前に公式シューケアグッズの全商品がブートブラックのOEM製品となりました。
エドワードグリーンが有名になる一つのポイントだったあの美しいダークオークカラーの靴クリームやワックスがブートブラックの専用品として販売されています。
そうなると当然このスエード靴に対しても、ブートブラックのスエードケア商品、とくにこのスエードリッチモイスチャーはほぼ完璧なオフィシャル品と判断しても良いということになりましょう!
ブートブラックのスエードリッチモイスチャーはガスを使用しないポンプ式スプレータイプなので、屋内でも使用できます。
ただ1点注意しなければならないのがキャップがあるものの、目詰まりしやすい構造のため、実際に使う前には何度か空撃ちして目詰まりを取ってあげる必要があるという点。新品のスエードブーツにシミなんてつけたくないですからね苦笑
スエードリッチモイスチャーを全体がしっとりと湿るくらい振りかけ、少し時間が経ったら馬毛ブラシで毛並みを整えてあげます。
しかし、本当に新品のスエードは美しい。どう頑張って手入れしても新品時の毛並みはキープできませんから、この手触り、見た目の美しさは今だけのもの。存分に楽しみたいと思います。
何はともあれこれで油分不足が解消され、しなやかな履き心地になりました。
202と606の木型を比較する
エドワードグリーンの606木型は「202とほぼ同じのスクエア型」というのが通説です。
しかし実際のところ、一部では「202よりちょっとだけ大き目」なんていう表現もあります。以前比較した記事があるのですが、そのときのことは一切忘れて改めて並べてみました。
結論としては202より606のほうが気持ち大きいかなあ。というところ。つま先が角ばったことから角度的な問題でトゥボックスがより広くなっていること。そしてそもそも全長も数ミリ606のほうがないが気がします。とはいうもののこれら2つの木型の差は、極限までタイトフィットしている人だと差がわかるでしょうが、大抵の人には誤差レベルですね。
まとめ:なぜこのバンバリーにたどり着いたのか。
私のマイルールとして、同じ要素を含む靴は買わないというものがありました。
具体的には同じメーカーの同じアッパーレザーや同じサイズと同じ木型。とくに木型については初期にチャーチの173ラストにほれ込みすぎて同じ木型で揃えた結果、履き味に飽きてしまうという個人的な残念時間があり、絶対にかぶらないように心がけていました。
しかし、今回チョイスしたのは持っている木型、そして持っているアッパーレザーという結果がわかりきっている鉄板の組み合わせです。これはもう冒険したくない(サイズで失敗したら面倒くさい)という気持ちの表れだなあと40代を目前に自分の考えの変わり方に実感する、そんな秋の夜でした。
とりあえず、リッチスエードモイスチャーは、手軽にスエードの状態を大きく改善してくれるナイスなアイテムなのでめちゃくちゃおすすめです。
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