エドワードグリーン LAST202と606を比較する【木型の違いを検証】

英国本格靴を代表するシューメーカーの1つでもあるEDWARD GREEN。既成靴としての品質の高さはもちろん、1つのデザインに対し数々の完成度の高い名ラストを使ったバリエーションを展開しているのも大きな特徴です。

例えばこの画像にある2足を見てみると両方ともDOVER(ドーバー)と呼ばれるスキンステッチを使ったU-TIPデザインなのですが、よくよく見ると左の靴はトゥの形が丸く、右の靴は角ばっています。これがラストの違いとなります。

ラストの違いを見る

ラスト202(ラウンドトゥ)

エドワードグリーンの中核をなす名作中の名作ラストが202です。古き良きイギリスらしいノーズ短めのラウンドトゥ、土踏まずは強めに上げてあり、踵は小さめなんだけれどもボールジョイント部は広くとったこの木型は万人の足に合うと評判です。

また、同社のラストはこの202を元にして作られており、まさにEDWARD GREENの基本となる木型です。

ラスト606(スクエアトゥ)

そしてこちらのラスト606は202とは全く違ったトゥの表情が特徴的な木型です。一般的にはラスト202のつま先をスクエア型に仕上げたものとして知られています。とくにこの606ラストで作られたドーバーは名作との呼び声も高く、まさに一番現代的なドーバーと言っても過言ではないでしょう。理屈抜きにカッコ良く、そしてどことなくエロい。

202と606ラストを比較してみる

せっかく202ラストと606ラストの同サイズがあるので比較してみることにしました。一般的には202ラストのつま先の形を変えたのが606ラストと呼ばれていますが、果たして本当なのでしょうか。

つま先と全体

まずは革靴のメインともなるつま先や前方のシェイプを見ていきます。

つま先ですが、見た目通りに606はスクエアトゥ、202は緩やかなラウンドトゥとなっています。靴の中の確認すると明らかに606が長い印象です。これはおそらく202のラウンドトゥに角を付け足したデザインだからでしょう。

じっくり見比べるとなぜか少し違和感も感じます。よくよく見るとボールジョイント部の幅は202のほうが明らかに広いようです。

ボールジョイント部は202の方が広い

疑問を感じたらすぐに検証に取り掛かりたくなります。(笑)

さっそくボールジョイントをメジャーで測ってみると…

  • ラスト202 約17.4cm
  • ラスト606 約17.0cm

となりました。やはり多少ですが202の方が大きい?しかし、考慮するべき点もあって202は履きこなれたユタカーフだということ。ユタカーフは柔らかく伸びやすいアッパー素材。そして606は購入直後のボックスカーフなので固めのアッパー素材。そもそもの木型の大きさの差なのか、アッパーの伸びによるものかはしっかりと判定することはできませんが、それなりにしっかり計測したので元々の大きさの違いによる可能性も否定できません。

ソール形状

ソール形状はレザーソールとダイナイトソールの比較のためちょっと見づらいですがややダイナイトソールを使用した202の方が大きめです。606のつま先側がしっかりとスクエア型なのも注目ポイント。

アーチの高さ

アーチの高さ、いわゆる土踏まず部分を比較してみます。こちらの画像ではハッキリとはわかりづらいのですが606の方がえぐれが大きいように見えます。個体差の可能性もあるレベルではありますが。

ヒールカップ

最後はヒールカップです。ボールジョイント部が広いのが特徴でもあるラスト202は反対にヒールカップは小さめに出来ていると評判です。606と比べて見ると若干ですが606の方がこぶりに見えます。しかしやはりハンドメイドなので誤差の範囲か…?うーむ、難しい。


英エドワードグリーンに直接聞いてみた

こういった場合は製造しているところに直接聞くのが一番です。さっそく問い合わせてみました。※めちゃくちゃ意訳してるので参考程度で。

ミウラ:こんにちは、202と606のドーバーを持っているんだけどどうも202のほうが大きく感じる。これらは同じサイズなのになぜだろう?

英EG:お問い合わせありがとう。202は当社で最もコンフォータブルな木型です。幅の広い人と甲の高い人にオススメなラスト。606は標準的なフィッティングの木型でアーチをしっかりと支える設計、そしてつま先が絶妙なスクエアトゥのラストです。なので202は606より大きいというよりも広めの木型になります。

ミウラ:ええー!そうなんですか!ちなみにユタカーフだと伸びやすいですか?

英EG:ユタカーフは柔らかいので伸びやすいです。もしあなたが靴が大きいと感じ始めたらインソールを入れると良いですよ!

とびっくりこんな結果でした。

数々の靴雑誌でも606は202のつま先を四角くモディファイしたものと記述がありますし、以前イセメンで伺った時も「実は606ラストは202ラストで製造されているそうです」と聞いたこともあったため、サイズ感としては202=606と想定していたのですが、ちょっと前提を変える必要があるのかもしません。

でも正直なところパリで試し履きした606は202より気持ち広かった記憶もあります。(笑)

エドワードグリーン フランスのパリ店にてDoverを買う。
パリ旅行が決まったとき、一番最初に調べたのはもちろん本格靴がソルド対象になるのか?という点です。 JMウェストンはここ最近は一切なし、...

まとめ

ということで今回はエドワードグリーンを代表するラスト202とスクエアトゥのラスト606を比較してみました。結論はボケた感じになってしまいましたが(笑)ただひとつ言えるのは両方ともとてもカッコ良い!ということでしょうか。以前はスクエアトゥはどちらかというと嫌いなくらいだったのですが、この606ドーバーの存在を知ってからというもの180度見方が変わってしまいました。これが本格靴沼の恐ろしいところです。