エドワードグリーンのラスト202と32を比較してみた【ドーバーラストの細さと違い】

EDWARD GREENと言えば様々な名作靴がありますが、やはり外せないのは職人によるスキンステッチがたまらないキングオブU-TIPの本格靴『ドーバー(DOVER)』ではないでしょうか。

敢えて革の表面まで針を通さないことで生まれる独特の縫い目はまさに伝統工芸。写真で見ても素晴らしい意匠であることは間違いありませんが、実物を見ると本当にその繊細な技術に舌を巻くばかりです。

そんなドーバー(DOVER)ですが、いくつかの種類があります。アッパー素材に使用される皮革素材の違いはもちろんですが、エドワードグリーンではほとんどのシューズに異なる木型(ラスト)を適用できるため、そのパターンはまさに無限大といったところ。

ちなみに木型とは、靴を作る際に使用する靴の形をしたもので元々は木材で作られていたため木型と呼ばれています。(現在では樹脂製のもの増えているようです)この木型に革を合わせて釣りこんでいくことで、革が靴の形に整形されていきます。なので靴の形の大部分は木型によって形作られることとなり、木型と足の相性が履き心地に大きく影響を与える一因となるわけですね。

ということで今回は2つの木型で作られたドーバーを比較していきたいと思います。

一体どんな差があるのか?結果が楽しみです。

Last202

木型の概要

まずはエドワードグリーンを代表する木型となるラスト202です。1940年に作られた初代202ラストをより万人の足に合うように調整したのが現行の202となります。エドワードグリーンで製造されるあらゆる木型の原型ともなっており、靴好きならば一度は足を入れてみたい木型の1つです。

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ラスト202の特徴

つま先が丸くなっているラウンドトゥ。広めのボールジョイント(小指の付け根と親指の付け根を結んだライン)でつま先までの角度を親指側は抑えつつ小指側は強めに角度を取っており、いわゆるインサイドストレート&アウトサイドカーブの特徴的な木型です。この広さ故にフィッティングが敢えてややルーズ気味とすることで万人向けの履き心地を実現しているんですね。

横から見た図です。ダイナイトソールを採用しているためかややソールがごつめの仕上がりです。エドワードグリーン全体に言えることですが履き口が基本的に低めで日本人のくるぶし位置にもピッタリ合っているのが嬉しいポイントです。

Last32

木型の概要

さてこちらはラスト32。別名ドーバーラストと呼ばれており、その名の通りドーバーのために作られたラストと言われています。

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ラスト32の特徴

ラスト202と同様にラウンドトゥですが、明らかにボールジョイント部の張り出しが控えめになっていることがわかります。細身ながらも履き心地も追及しているまさにエドワードグリーンらしい木型の一つです。

横から見た画はこちら。レザーソールを採用しておりダイナイトソールを採用したバージョンよりも上品な印象がありますね。

ソール前方を確認するとドーバーの有名な意匠となるスペードソールが採用されていることが確認できます。スペードソールとはレザーソールの前面のみを底革を2枚使用して厚みを持たせたもので、カントリーの流れを汲む意匠ということもあり歩きやすくなったり耐久性が増すというメリットがあるそうです。


エドワードグリーンのラスト202と32を比較する

ここまでご紹介したラスト202とラスト32の特徴を踏まえ、この2つのラストを比較してきたいと思います。コンフォータブルな202と細身エレガントな32、果たしてどこまで違いがあるのでしょうか?

つま先

まずはつま先部分。左のlast202に比べて右のlast32は若干だけノーズが短くなっています。その反面ボールジョイント部(甲側)はやや高めになっていることが確認できます。

ラスト32のボールジョイント部は約17.5cm

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ラスト202のボールジョイント部は約17.0cm

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シェイプ

上から比較してみると木型の違いがかなりわかりやすく見えてきます。まず明らかに差があるのが横幅。現代人は幅が細い方が多いそうですから、そんな方には細身にシェイプされたラスト32がピッタリなのは言うまでもありません。反対に幅が広い方ならラスト32は選択肢としては相当難しいと思います。サイズを上げるか、ウィズを上げるか。しかしラスト32は甲も高めなのでウィズを上げるとおそらく甲の高さも上がってしまい、なかなかフィットさせるのは難しいかもしれませんね。

ヒールカップ

エドワードグリーン全体の評価として『カカトを掴まれるような』という表現があります。これは通常の革靴に比べて小ぶりに作られているヒールカップにより、英国靴でありがちなカカトだけが緩いという状態になりづらいという視点によるものだと思います。やはり人種による骨格の違いはあるもので、大抵の英国靴のヒールカップは日本人にとってはやや大きめなことがほとんどです。

ヒールの高さ

ヒールの高さにも違いがありました。しかしこれはラストの違いからというよりもソールの違いが大きいように感じます。ダイナイトソールを使ったモデルは往々にしてソールが大き目に仕上げられがちですしね。

全長

全体感としてはラスト32のナロウなシルエットが目立ちます。全長を比べると若干ながらラスト202の方が長めです。かなり若干なのでもしかしたら製造の中での誤差範囲レベルかもしれません。羽根の位置や履き口の大きさには差がありません。

まとめ

ということで今回はエドワードグリーンを代表する2大ラストを比較してみました。靴業界では当たり前に言われている『ラストが違えばサイズが違う。』その理由を改めて実感できたかなと思います。

ちなみにミウラの足入れ感はこちら。

202 UK8.5E 32 UK8.5E
カカトのフィット感 普通 やや強め
土踏まずの突き上げ感 普通 強め
小指の当たり方 普通 かなり強め
長さ ほどよい ほどよい
まとめ まさにコンフォータブル タイト過ぎて無理…

おそらくですが、私がラスト32をどうしても履きたい!となった場合はUK9.0EかUK8.5Fを履いてみてどうか?といったところだと思います。足が細い人が羨ましい…。(笑)

この記事がラスト32と202で迷っている方の役に少しでも立てば幸いです。