第二部:鈴木理也×佐藤我久トークショー
サドルアップブランドとブーツクリームの紹介の後は鈴木理也×佐藤我久トークショー…と思いきや、ほぼ鈴木さんトークショーで、最初から最後までマニアックな話をたんまりと聞くことができました。
流石に全部となると量が膨大なので、いくつか抜粋してご紹介します。
- 北海道とカビ
- 奈良のコトカ(KOTOKA)
- オルシャンクス(Ol’shanks)
- レッドウイング フラットボックス9060開発秘話
- ポイントシックス(ウールソックス)
- レッドウイング特有の白いソールについて
- 「ASHIDO HOKKAIDO」オリジナルブーツカスタム発表
北海道とカビ
道民はピンとこない「革靴・ブーツのカビ問題」
東京や名古屋で修理に持ち込まれるブーツの中は、ほとんどカビていることが多いんだとか。
これは気候の他にミンクオイルなどのオイル塗り過ぎも原因のひとつですが、元々は米レッドウイング本社の地理的要因も大きな要因となっているそう。
アメリカ本社があるミネソタ州の気候は乾燥気味の気候帯→だからミンクオイルなどで補油が必要。
日本のマーケットのメインは東京や関西などの湿度が高めな気候帯→補油はそこまで必要ではない。(不要ではない)
一方で北海道は割と乾燥している(とくに冬)なので、ASHIDOに持ち込まれるブーツで中がカビているものはほぼないそうです。
ちなみにモールドクリーナーについては本ブログでも公開予定です。(夏の雨は流石に)
奈良のコトカ
奈良の7社の革靴メーカーによる新しい革靴ブランド「KOTOKA」
実は日本有数の革靴産業がある奈良、しかし奈良県民ですら知らないほど知名度が低い。
この「奈良の靴を今治タオルのようなブランドにしたい」という想いでレッドウイングジャパンを引退後ずっと携わっているそうです。
特徴は「日本的な感覚でつくった靴」ということで、素材を生かす、簡素なものに美が見つかる、エイジングして楽しめる、西洋の陶器は同じ形な一方で日本古来の茶器のようにひとつひとつ仕上がりが違う、そんな靴づくりなんだとか。
気になった方はぜひ下記URLにアクセスしてみてくださいね!
オルシャンクス(Ol’shanks)
オルシャンクス(Ol’shanks)、ブーツ好き、靴好きであれば最近耳にした方、目にした方も多いのではないでしょうか。
元レッドウイングジャパンの鈴木氏が立ち上げた完全受注製のブーツブランドです。
メインとなるエンジニアブーツはレッドウィングの1950年代の古いエンジニアブーツから着想を得たもので、ブーツマニアからすれば垂涎の的といっても過言ではない一足です。
こだわりつくしたこのブーツは、世界中のブーツマニアから人気を博し、今では受注後1年~1年半の待ち時間なんだとか。
オルシャンクス(Ol’shanks)のInstagramはこちら!
レッドウイング フラットボックス9060開発秘話
私も愛用しているレッドウィング9060フラットボックスの開発秘話も大変聞き応えがありました。
開発スタートは2012年。
足が細い人はブーツのサイズ選びが難しい。なぜなら甲がフィットしづらいのでサイズを落とすと次はつま先が当たってしまい、履き心地が悪くなるという課題を認識されていたそう。
しかし、先芯を抜くと「つま先が当たりづらくなり大変に履き心地が良くなった」、そして「見た目も大人っぽくカッコよく仕上がった」んだとか。
私もそうですが、先芯を抜くことは足幅が細い人だけではなく、足幅が広い人にも履き心地が良いこともわかり、ぜひともやりたいと考えたものの、当時は社内の反応があまり良くなく、まさかの一旦お蔵入りしたそう。
いつかは…と思っていた2017年、その年のとある目玉商品が生産不可となってしまい、代わりにねじ込んで(笑)満を持して、ようやく販売!
その後はキーアニに紹介されたり、そもそもの履き心地やカッコ良さから人気に火がつき、今では全国完売の超人気アイテムに。(聞いた噂によると次のロットが生産開始されているそうですよ)
ちなみに米国本社はフラットボックスという名づけを大変に嫌がったそうです。
なぜなら……、次回の鈴木さんのイベントに足を運んで聞いてみてください。笑
ポイントシックス(ウールソックス)
以前からウールソックスの素晴らしさを周りに説いてきたという鈴木氏。
「ウールソックスはブーツを履くのがより楽しくなる」
私も完全に同意です。笑
天然羊毛による吸湿性、撥水性はとにかく肌触りの快適に保ちます。
肌着やソックスに使われるウールはチクチクしないように加工されているのはすでに当たり前。
足全体をレザーで包むブーツはそれこそライニングレザーを擦って仕上げることで吸湿性を高めたりしていますが、ウールソックスと合わせることでより快適に履けるようになります。
しかも綿と違い、弾力性もありますから、足当たりも軽減されて言うことなしですからね。
登山家もウールソックスを一週間ほど履くそうですが、全然臭くならないというエピソードも(!)
ウール、マジでいいです。(いつの間にか自分の話に…)
レッドウイング特有の白いソールについて
最後は個人的なTHEレッドウィングのあの白いソール「トラクション・トレッドソール」の歴史や特徴について。
元々は足音がしづらいハンティングブーツ用としてつくられたのですが、カカトがないデザインということで階段や脚立に引っかからず、さらに足裏の感覚がわかりやすいということでワーカー層の工事現場で大変に支持され、これをきっかけに世界中で愛される大人気アイテムのひとつになったそうです。
レッドウィングの白いソールは滑る人と滑らない人の2種類にきっぱりと分かれるそうですが、これは環境や履き方、ロットなど様々な要因が組み合わさって変わるためと考えられており、昔から続くレッドウィングあるあるなんだとか。
影響されやすい自分は、フラットボックスの次にアイリッシュセッターがほしくなっちゃいましたね。笑
鈴木理也さん監修「ASHIDO HOKKAIDO」オリジナルブーツカスタム
最後にご紹介するのは、鈴木理也さん監修「ASHIDO HOKKAIDO」オリジナルブーツカスタムです。
冬道を中心にどんなときでも使えるカスタムということでポイントは3点。
- ビブラムラプターソール
- 高さと歩き心地を出すためのスポンジミッドソール
- 踵の平面化
常に平面で着地できるよう、カカトをフラットに加工。
雪に埋もれず、また低温でも硬化しづらいスポンジ素材をミッドソールに。
地面との接地面にはスタッドレスタイヤのように柔らかく、360度に効くビョウがついたビブラムラプターソールを。
道民の自分でもなるほどな、と思うブーツカスタムでしたね。
とくにビブラムラプターソールは私もすでに愛用しており、そのオールシーズン性は身をもって知っています。
お話を伺っているとブーツ業界はカスタムする楽しみが根強くあるみたいで、その片鱗に触れれた気がしました。(と言いながら、自分もそこそこカスタムしてたかも……などと)
柔らかい履き心地が好きな人にはたまらないソールです。
まとめ
ということで本記事ではASHIDO HOKKAIDOで開催された「サドルアップブーツクリーム先行販売会+鈴木理也×佐藤我久トークショー」の様子をご紹介しました。
久しぶりの靴関係のイベントでしたが、会場の熱量も高く、本当にマニアックで楽しい2時間を過ごせました。
関係各社の皆さま、本当に素敵なイベントをありがとうございました!
左から…
しっかりとブーツクリーム+αも購入。使ってみるのが楽しみです。
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