本格靴を購入し、靴磨きを始め、その輝きを創る工程にハマってくると必ず一度は手にするのがサフィールノワールシリーズだと思います。
とくにクレム1925(Creme1925)という油性の靴クリームは数々の雑誌で大絶賛されるほどの素晴らしい性能が有名なアイテムです。
その浸透力、革全体がジンワリと光る光沢感、そして補色力どれを取っても一級品で私も愛用しているアイテムの1つですし、靴磨き職人の方たちの道具としても必ずと言って良いほどの使用率です。
さて、そんな素晴らしいラインナップを誇るサフィールノワールシリーズですが、実は靴磨きを始めたばかりの人にとっては非常に見極めが難しいアイテム達があります。
それが「無色クリーム」の3品です。
Saphir noirの無色クリーム達
さて、靴磨き界でも最上位ケアアイテムとなるサフィールノワールシリーズ。その無色クリームをと考えた時に出てくるのがこの3アイテムです。
左から
- サフィールノワール スペシャルナッパデリケートクリーム
- サフィールノワール レノベイタークリーム
- サフィールノワール クレム1925ニュートラル
となります。
一体どれがどれやら・・・と感じる人がほとんどだと思います。私自身もそうでした。今回はじっくりと1つずつ確認していきたいと思います。
1.サフィールノワール スペシャルナッパデリケートクリーム
まずはサフィールノワールのデリケートクリームとなる『サフィールノワール スペシャルナッパデリケートクリーム』です。品名通りに繊細なレザーを対象としたレザーケアアイテムです。山羊革やベビーカーフ、革本来の風合いを生かしたナッパレザー、ヌメ革など向けに作られています。
成分
スペシャルナッパデリケートクリームの成分と特徴は下記となります。
- ホホバオイル
- 小麦プロテイン
- ミンクオイル
- 溶剤不使用
- ろう分不使用(ワックス無し)
コロンブスのレザーコンディショニングアイテムとなるリッチモイスチャーでも使用されている”ホホバオイル”、そして”小麦プロテイン“という植物性の成分に加え、動物のミンクから取れるミンクオイルがたっぷり含まれていることから、皮革にリッチな成分補給が出来るという代物です。さらには溶剤が含まれていないためデリケートな皮革が使用されたアッパーの風合いを保つことができるそうです。
一方でワックス分、いわゆるロウも含まれていないため、ツヤという面では期待することができません。
手触り、香り
ココアを思わせる非常に甘い匂い、そしてみずみずしいながらもやや弾力性を帯びた薄いクリーム色のクリームです。3つの中で一番水っぽいテクスチャーなのも見逃せません。
2.サフィールノワール レノベイタークリーム
次は他のブランドにはないアイテムとなるレノベイタークリームです。
レノベイタークリームはサフィールがカーフやボックスカーフなどの皮革を使ったレザーアイテム全般をターゲットとしたレザーコンディショナー&クリーナーです。通常の靴クリームと同様に栄養と柔軟性を革に与えるだけではなく保護膜によるナチュラルな光沢を期待することができます。
成分
サフィールノワール レノベイタークリームの成分は下記。
- 蜜蝋(ビーズワックス)
- ミンクオイル
- ラノリン(動物性ワックス)
シューケアグッズ界ではもっともポピュラーなツヤ出し素材となるビーズワックスに加えて、柔軟性と栄養補給の面でミンクオイルとラノリンが主成分となっています。サフィールではケア不足なレザーやレザーソープの使用後などに使うことも勧めており、まさにボックスカーフなどの上質なレザー専用のメンテナンスクリームと言っても過言ではありません。私自身も雨の日の後などのここぞという時にはこのレノベイタークリームにお世話になっています。
手触り、香り
手触りは濃い乳液といったところ。さらにトロみが付いているイメージでしょうか。香りはなかなか特徴的な方向なので好き嫌いは分かれると思います。(笑)
3.サフィールノワール クレム1925 ニュートラル(無色)
最後に取り上げるのが靴クリーム界の最上級アイテム”Creme1925″です。Avel社が1925年にパリ万博で金賞を取ったレシピを基に改良に改良を加えて今に至っているそうです。
成分
Saphir noir Creme1925の成分は下記となります。
- シアバター
- カルナバワックス
- 6種類ものナチュラルワックス
- テレピンオイル
まず注目したいのは女性のスキンケア素材としてもお馴染みのシアバターが贅沢に使用されていること。このおかげで圧倒的な浸透性と保湿性を誇っておりさらにはシミになりにくいという嬉しい特徴付き。また、一般的な靴クリームは乳化性なのですがこのクレム1925は油性。これまで油性のシューケアグッズと言えば缶ワックスのみだったのですが、なんとこちらはシューケア界では珍しい油性のクリームなんです。だから靴もとても光りやすいということなんですね。
手触り、香り
手に取った感触はかなり軽い触り心地です。デリケートクリームよりも軽さを感じると思います。少し指ですりつぶすとあっという間に溶けてしまうのも驚きの点です。ちなみにクレム1925は革靴に簡単に栄養を与えてツヤを出せるシューケアアイテムですが、この無色になると汚れ落としの効果も付いてくるのが嬉しいところです。自然なエイジングを目指す方には一石二鳥なアイテムですね。
3つの無色クリームを比較する。
私がシューケアのときに使用しているキップのダークブラウンマットで3つの無色クリームを比較してみたいと思います。以前無色のコバインキをこぼしたのもこのマットです(泣)
クリームを塗りこむ
上から
- クレム1925
- レノベイタークリーム
- スペシャルナッパデリケートクリーム
となります。
クレム1925はすぐに浸透し、ろう分がレザー面に残った状態となりました。ほかの2つは塗った跡が残ったままです。
ブラッシング後
クリームを塗った後、5分待ってから馬毛ブラシでブラッシングしてみました。
結果は…、かなりわかりずらいですが、どれも同じような仕上がりですが、レノベイタークリームとナッパデリケートクリームは油分が浸透した箇所の色が濃くなっています。一方でクレム1925の跡は若干濃さが薄めです。
ポリッシング後
最後は柔らかい布でポリッシングしてみます。
ブラッシング時とは決定的に異なる結果となりました。こちらの画像では全て消えてしまって少々わかりずらいのですが・・・。
クレム1925を塗った箇所だけはかなり強いツヤ感が出てきました。
光りの反射によってはかなりギラリと目立ちます。ここだけ見るとちょっとコーティングしているかのよう。ほかの2つは同じ程度の穏やかな光沢感に留まっています。
無色クリームを比較した結果
今回比較した各項目をまとめてみました。
項目 | クレム1925 | レノベイター | スペシャルナッパ |
種類 | 油性 | 乳化性 | 乳化性 |
香り | 控えめ | 強め | 甘め |
浸透性 | 普通 | 強め | 強め |
ツヤ | 強め | 控えめ | 控えめ |
伸び | 良い | 普通 | 普通 |
特徴的な原料 | シアバター | ミンクオイル | ホホバオイル |
用途 | 革靴 | 一般的な革製品 | 繊細な革製品 |
容量 | 75ml | 75ml | 75ml |
価格 | \2,000(税抜) | \2,200(税抜) | \2,200(税抜) |
サフィールノワールの無色クリーム比較結果のまとめ
ということで今回はシューケアグッズ最高峰となるサフィールノワールの無色クリーム3つを比較してみました。
結果をまとめるとクレム1925は革靴用、レノベイタークリームはカーフやボックスカーフなどの一般的な上質なレザーアイテム全般、スペシャルナッパはシープスキンやアニリンカーフなどの薄めだったり繊細な仕上げのレザーアイテム全般がターゲットになっているようですね。
他の使い方としてはクレム1925であれば汚れ落とし機能は有名ですし、レノベイタークリームは油分が多く保護膜を作る効果もあるので私はオイルドレザーにも使用しています。
そしてスペシャルナッパデリケートクリームならサフィールからもクレム1925との併用も推奨されていたりと、自分なりの使い方でも楽しめるのがレザーケアあるいはシューケアの面白いところだなあと改めて感じた1日でした。(笑)
無色クリームを使いこなしてこそ、一人前のシューケアマニア!?
クレム1925(CREME 1925)
レノベイタークリーム(RENOVATEUR)
- ミンクオイルが入ったレザー製品全般に使えるコンディショナー
- ケア不足のレザーにピッタリ
- ビーズワックスによるツヤ出し効果もアリ
スペシャルナッパデリケートクリーム(NAPPA)
- ホホバオイルが配合された繊細なレザー向けクリーム
- 有機溶剤不使用のため皮革に優しい!
- ツヤはしっとり控えめ、ライニングレザーにもオススメです。
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