今は手に入らない伝説の逸品。というのはどの業界にもあるものです。
もちろん革靴業界も例外ではなく、様々な理由で手に入らない一足があります。
シューメーカーが廃業、ラスト(靴を作る際の木型)が終売、デザインの流行り廃り…。
一方で歴史と人気があるシューメーカーであれば、長く使える伝統的なデザインがほとんどですし、木型も取ってあることが多いので8〜9割のデザインは終売とは無縁で安心です。
しかし、そういったシューメーカーでも伝説の逸品というのはやはりあります。
珍しい素材、例えばレアカラーのコードバンで作られた一足。
あるいはスポット展開されたコラボ商品。
今は製造できない製法などが使われた革靴……などなど。
ということで今回は、知る人ぞ知るレアな一足、ブルックスブラザーズ×オールデンのアンラインドコードバンローファーをご紹介したいと思います。
ブルックスブラザーズとは?
ブルックスブラザーズはファッションに興味のない方にも人気の高いアメリカンアパレルブランドです。
いわゆる「カッコいいアメリカンおじさん」に向けた大人なスタイルが特徴で、アイコニックな商品としてはブレザーや、アメリカ製のボタンダウンシャツなどがあります。
私自身も「メードインアメリカのキャンディーストライプボタンダウンシャツ」や「大定番アイテムの紺ブレ」を愛用しており、ブルックスの羊ロゴを街中で見かけると「オッ、洒落てるなぁ!」なんて心の中でつぶやいてしまう存在です。
オールデンとは?
オールデンは世界中で愛されるアメリカの革靴メーカーです。
ニューバランスなどのプレミアムモデルで使われるホーウィン社の皮革を使った革靴を作っています。
とくに有名なのが「革の宝石」とも呼ばれるオイルドコードバンを使った革靴で、一般的な牛革とは全く異なるツヤ感を楽しめます。
また靴を作る際の木型は非常に多くの種類があり、フォルムはもちろんのこと、どんな人でも「コンフォータブルな履き心地」を探せるのも世界中で愛される理由でしょう。
オールデンの有名モデル
990 革の宝石コードバンを大きく使った贅沢なプレーントゥ。
ほとんどの人にコンフォータブルな履き心地を提供するバリーラストを使用。
フォルムやカラーの使いやすさ、エイジングなどなど含めて初めての一足にオススメ。
(私は失敗しましたが!)
54321 アルゴンキン V-TIP
オールデンが有名になった第三の理由、それが疲れない木型「モディファイドラスト」を使ったモデルです。この54321V-TIPはそのなかでも大変人気のあるモデルで私も所有していました。
カッコ良かったな~!笑
タッセルローファー
あのタッセル付きのローファーは、なんとこのオールデンが作ったと言われています。
元祖感や実物の素晴らしい佇まいに惹かれて購入する人も少なくないようですね!
ブルックスブラザーズ別注アンラインドコードバンローファーはなぜ超レアなのか
これまでブルックスブラザーズのコードバン革靴といえばALDEN製!
というのが靴好きには半ば常識でした。
とくにアンラインドコードバンローファーはその筆頭にあるフラッグシップモデルといって良いほど。
しかし、これから紹介する3つの理由により、今では超レアモデルと化してしまったのです。
- ブルックスブラザーズのOEM先が変わったこと
- アンラインドコードバンはより希少な分厚いコードバンでしか作れないこと
- アンラインドコードバンへのハンドソーンは現在中止されていること
1.すでにOEM先が切り替え済みの廃盤商品であること
こちらがイタリア産のブルックスブラザーズコードバンローファー。
どうやらイタリアの木型職人をわざわざ日本に呼び、日本人向けラストまで作成したんだとか(!)
ですが、アンラインドのコードバンローファーが復活したのは喜ばしいことのはずにも関わらず、ネット上で確認できる限り、それほど興奮を持って受け入れられていません。
もちろんイタリア製のコードバンシューズも品質的には優れており、むしろ丁寧さという意味では格段に上がったはずですが、やはりあのオールデンの独特な雰囲気。それにアメリカ企業同士のコラボというところに価値があったのでしょう。
未だにフリマアプリなどで多く取引されており、デッドストックに至ってはレアカラー弱くらいの相場で取引されています。
2.高品質な分厚いコードバンのみで製造可能
ブルックスブラザーズ×オールデンの革靴はいくつものバリエーションがあります。
プレーントゥスタイルから、外鳩目のブローグシューズ、タッセルローファーなどなど…。
そのなかでももっともマニア垂涎なのがアンラインドコードバンローファーです。
アンラインドのコードバンシューズはコードバンのなかでも厚さが必要とされるため、極めて貴重なんです。
3.アンラインドコードバンへのハンドソーンは現在製造中止
オールデンはアンラインドコードバンでハンドソーンローファーを今後製造しないと言われています。(複数のショップから同様の証言を聞いています)
おそらくは前述した良質な分厚いコードバンが手に入りづらなくなっている点。(良質な皮革という意味ではカーフも段々とクオリティに優れる原皮が少なくなってきているとか。)
そして、読んで字の如く、手仕事となるハンドソーン(手縫い)をできる工員が非常に限られているからだと思われます。
アンラインドの良いところ
アンラインドの革靴やローファーは数が少ないため、「一体なにが良いの?」と思われる方も多いかと思います。
靴の返りの良さ
まず挙げられるのが靴の返りの良さです。
一般的な革靴はどのパーツでも最低で2枚のしっかりしたレザーが使われています。
薄いものはそれ単体ではペラペラですが、重ねることによって想像以上の耐久性が生まれます。
もちろん耐久性はそのまま曲がりにくさにも繋がりますから、ライニングがない一枚革で作られているアンラインドの革靴はとっても曲がりやすい=返りがいいんですね。
革の靴下感
アンラインドのローファーが特に感じれるのですが、履き心地がまさに「革の靴下」というのは、もっとも特徴的かつ魅力的なポイントでしょう!
本格靴なのに、こんな柔らかい足当たりの靴は早々ありません。
ボールジョイント付近も明らかに柔らかい!
革靴を履くと小指の付け根が痛くなるから苦手…と言う人にもアンラインドはオススメです。
前述のとおり、ほとんどのパーツが一枚革でつくられていますから、小指の付け根部分への負荷も非常にライト。新たな選択肢に十分なり得ます。
業界人も大好きなモデル
オールデン×ブルックスブラザーズのアンラインドローファーは、あのアナトミカの寺本欣児さんが「アナトミカ以外のモデルではもっともリスペクトしている」とコメントするほど、業界人にも認められている存在というのも所有欲を満たしてくれます。
※詳しくは下記書籍で!
ちょっと待って!サイズ選びはやや進捗に!
ブルックスブラザーズのアンラインドローファーは一点注意するポイントがあります。
どうやら一般的なvan lastよりも気持ち小さめのようなのです。
これは靴ブログを運営されているもでぃふぁいど!さんでも同様のようで、おそらくは仕様なのかな?と思います。
https://modified.jp/the-alden-that-be-worn-after-100-days-day47
どのくらい小さいのか?と言われると具体的には新品時で下記のイメージ。
- 0.25ほど小さめ。
- 9.0Dなら8.75D
- 9.5Dなら9.25D
ただ他の所有者の方に聞くと結構沈みと馴染みがあるようなので、履いていく内に本来の大きさに落ち着く可能性もありますね。
ですが、正直言ってライニングなしのコードバン素材の革靴をピタピタサイズで履き続けるのはちょっと怖いところですよね笑
オールデン×ブルックスブラザーズ アンラインドコードバンLHSのまとめ
ということで今回は今や幻となりつつあるオールデン×ブルックスブラザーズのアンラインドコードバンローファーをご紹介しました。
以前から狙っているけどサイズ感がわからなくて困っていた人や、アンラインドのコードバンに何となく怖さを感じていた人などの手助け(足助け?)になれば嬉しいところ。
ぜひローファーマニア、あるいはオールデンマニアの方はこの幻の一足を探してみてはいかがでしょうか?!
- 革の靴下感を味わえるアンラインドコードバンの履き心地
- サイズ感はやや小さめ
- ロマン溢れる幻のアメリカブランドコラボ
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