先日、ついに手に入れたスエードチャッカブーツ。
悩みに悩んで私が選んだのは高品質な靴作りで有名な英国靴の超老舗Crockett&Jones(クロケットジョーンズ)のChiltern(チルターン)です。
クロケットジョーンズの社長も言っていました。「長持ちさせるメンテナンスに相応しい正統靴かどうか、それが大切だ。」
長持ちさせるに相応しい正統靴に早速履き下ろし前のプレメンテを行うことにしました。
プレメンテ(Pre-Maintenance)とは?
品質の良い革靴は10年近く持つと呼ばれています。
これは単純な耐久性だけではなく、道具としての手入れ(シューケア)を前提とした耐久性を指しています。
シューケアをしない革靴はいくら高品質で高級な革靴だとしても持って1-2年が良いとこです。(1足を毎日使用していた前提として)
靴を綺麗に保ち、乾燥によって失われた油分や水分を補給し続けることで高品質な靴は持ち主の足に長い期間馴染んで足元を支え続けてくれるのです。
そして、ここで1つ気が付くべきことがあります。
革靴は製造されてからオーナーの手に渡るまでシューケアされているのか?
という点です。
製造された直後ならまだしも、長い間倉庫に保管されていた革靴はとても良いコンディションにあるのか?その可能性は低いと言わざるを得ません。
乾燥しきって限りなく固くなってしまった靴にそのまま足を入れてしまうとアッパーはどうなるのか?残念ながら割れたような皺が入ってしまうこともあります。
これを防ぎ、出来る限り長い間靴と共に過ごせるようにするのがプレメンテと呼ばれるシューケアの目的となります。
サフィールノワール スエードスプレー
ということで今回はクロケットジョーンズのスエードブーツにプレメンテを行います。
用意したのはフランスが誇る世界最高品質のシューケアブランド”サフィールノワールのスエードスプレー”です。
黒いメタリックな缶にゴールドの文字がとってもオシャレなサフィールノワールのスエードスプレー。今回はプレメンテメインということ補色は考えずニュートラルカラーを選択しました。
サフィール製品は使用方法が必ずイラストで記載されているため、誰でも正確に使用できるのが嬉しいところです。
サフィールノワール スエードスプレーの使用手順
- 靴をブラッシングします。
- スエードスプレーを振ります。
- 靴から25センチ離してスプレーします。靴の内部にかからないように布などを詰めます。
- 10分待って乾かします。乾ききっていない場合はさらに待ちます。
- もう一度靴をブラッシングして終了です。
キャップ部分にはスエード/ヌバック用、補色、栄養、防水と記載されています。
サフィールノワールのスエードスプレーはアーモンドオイルをメインに配合したスエード専用の栄養スプレーです。
ちなみにここで謳われる防水効果は油分による防水効果となり、フッ素やシリコンは配合されていないので注意が必要です。
※あくまで補色、栄養がメインで防水は小雨程度までしか想定されていないようです。
サフィールノワールの防水スプレー
じゃあ雨や雪が降ったら駄目じゃないか!と思いますが、そういったときのためにサフィールノワールからはフッ素ベースの防水スプレーが発売されています。
こちらはスエード/ヌバック専用ではなくあらゆる素材に使用できるのが特徴です。
パッケージはサフィールノワールシリーズらしい上品な仕上がりです。
玄関先やシューズラックに置いても雰囲気を決して崩しません。
1.ブラッシングします。
スエード素材をお手入れするときの最重要ポイントがブラッシングです。
カーフ素材の場合はクリームを入れれば大抵の擦れ傷などは消えてなくなりますが、スエードの場合はそうはいきません。ブラッシングをとにかく重要です。
例えばこの擦り傷はスエードスプレーだけでは決して消えません。
しかし、このようにブラッシングを行うと・・・。
この通り、綺麗に消えます。
スエードブーツにスエードスプレーをする前には靴全体にブラッシングを行い、擦りなどで寝てしまった毛を綺麗に整えてやる必要があります。この事前にブラッシングを行うことでスプレーがキレイにムラなく浸透してくれます。
ちなみに私はサフィールノワールのブリストルハンドルブラシを愛用しています!
2.スエードスプレーをかけます。
作業は外で。
スエードシューズのブラッシングが終わったら早速スエードスプレーをかけていきます。
スエードスプレーは濡れている状態では全く効果を発揮しないため、必ず晴れの日か曇りの日に作業を行います。
※スプレーは吸い込むと有害なので作業はできれば外で、難しいようであれば換気の良いところで行いましょう!
スプレー時の注意点
スプレーする際は思ったよりもう一声距離を離しましょう。
風を気にして近づけてしまいがちです。
また、この写真は撮影のために1点集中でスプレーしていますが、実際には全体に満遍なくかかるようにスプレーします。
スプレー直後のスエードブーツ
右側(左足)がスエードスプレーを行った直後のスエードチャッカブーツ(クロケットジョーンズ チルターン)です。
ちょっと1点集中でかかり過ぎてしまいました。(涙)
左側(右足)はなかなか上手くいきました。満遍なくスエードスプレーをかけることができました。
3.乾かします。
乾燥時間は約10分
スエードスプレーをかけ終わったら、風通しの良い場所で乾かします。
乾いた直後のスエードブーツ
乾くとこの画像のように1段トーンが上がるのですぐにわかると思います。スナッフスエードらしい明るい茶色に戻りました。
気になる防水性能
さて、前段でサフィールノワールのスエードスプレーの防水性能は小雨程度までと紹介しましたが実際にはどの程度の防水性能なのか実験してみます。
ティースプーン1杯分の水を上からかけてきます。
お!水を結構弾いていますね。
次に靴を振って靴に乗った水滴を落とします。
少しだけ水滴が残ってしまいました。
流石にシリコンやフッ素が含まれていないと全ての水を弾くのは難しいですね。
サフィールノワールのスエードスプレーはあくまで栄養補給をメインとしたスエードスプレーであって防水スプレーではないことがわかると思います。
4.防水スプレーをかけます。
しかし私自身はこのスエードチャッカブーツ(Crockett&Jones Chiltern)をただの秋の装いのために購入した訳ではありません。雨雪用のブーツとして活躍してもらう必要があるのです。
ということで防水スプレー界最強と名高いコロニルのカーボンプロで防水効果を付与します。
カーボンプロとは
コロニルが2016年に新発売した防水スプレー。
これまでのシリコンタイプ、フッ素タイプとは異なりカーボン繊維のような被膜を対象物に構成することでゴアテックスのような防水性と通気性を両立させたスーパー防水スプレーです。
驚くべきはその効果だけではなく持続性。通常のフッ素タイプが2-3日であるのに対しカーボンプロは3-4週間の持続性があるそうです。
カーボンプロをスプレーする。
カーボンプロの注意点はスエードスプレーと同様です。
濡れた状態では効果を発揮する被膜を構成できないため、晴れた日か曇りの日に外で作業を行います。スプレーを吸うと有害なのも変わりありません。
カーボンプロの防水性
気になるカーボンプロの防水性はどうなのか?
水滴がアッパーに留まらないので全然撮影できません。
辛うじて撮れたのがこの1枚です。(笑)
5.再ブラッシングで仕上げます。
さて、しっかりとスエードスプレーで栄養補給、そして防水スプレーを行ったら最後はブラッシングを行ってフィニッシュとなります。
スエードの毛の流れについて
スプレー直後はこのように毛並みがわさわさっとなっています。
スプレーの成分によりダマが出来ているためです。
全体的にブラッシングを行うことで毛並みを整えます。
このブラッシングによりスエードシューズが綺麗に仕上がりますよ。
起毛皮革の正目と逆目
起毛素材にブラッシングを行っていると毛並みのトーンが少し気になることがあります。
これは毛が立っているか寝ているかという違いになります。違いは下記をご覧ください。
こちらは逆目、毛並みを起こしている状態です。
明るめの毛並みが特徴です。
ホコリなどを取るのが目的のブラッシングの場合はまずは逆目にして毛を立たせながらブラッシングを行ってホコリを掻き出します。
こちらが正目、毛並みを寝かせている状態です。
暗めの毛並みが特徴です。
個人的には最終的にこちらに仕上げるのが好みです。
6.プレメンテ前後
プレメンテ前(Before)
毛並みがバラバラかつ少し色合いもくすんで見えますね。
プレメンテ後(After)
毛並みが整いましたし、無色スプレーをかけただけですが見た目にもしっとり感が増し、色味も良い意味で深くなりました。
もちろん履いた感じもしっとりと肌に吸い付く感覚が強まり、早く出かけたくてしょうがないといったところです。(笑)
まとめ
ということで今回はCrockett&JonesのChilternのスエードチャッカ―ブーツにプレメンテを施しました。
スエードシューズとしてはイギリスはロンドンで購入したKetsbyに続き2足目となりますが、前回とは異なり今後のケアがもろに出てくるプレーントゥタイプなのでこれまで以上にスエード素材の勉強をしながら長く付き合っていきたいと思います!
サフィールノワールのスエードスプレー
- フランス生まれの世界最高品質のスエードケア専用スプレー
- アーモンドオイル入りだがフッ素は入っていない
- スエードケアに特化しているためその効果は折り紙付き
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