フランスを代表するシューメーカー、J.M.Weston(ジェイエムウェストン)
1891年から続く古い歴史を持つ同社は、Great Clasicというラインにて多数のアイコニックモデルを保有していることでも有名です。
180ローファー、641ゴルフ、705チェルシーブーツ、300ストレートチップ、677ハントダービー。
そして・・・598ハーフハント(別名ロジェ、フランスではdemi-chasse)
本記事ではJ.M.Weston 598のサイズ感、そしてスペシャルオーダーで失敗した話をご紹介したいと思います。
598 Demi-chasseとの出会い
数年前からJ.M.Westonに首ったけとなっていた私ですが、実のところ598には一切興味がありませんでした。
もちろん毎日チェックしているほぼ足元専用SNS「Instagram」で598オーナーが愛用している足元を見て食指が動かなかった訳ではなかったことは確かです。
ですがU-TIPシューズという意味では、U字部分にスキンステッチと呼ばれる非常に難しい技術が使われた英国エドワードグリーンの名作「DOVER(ドーバー)」を所有していますし、ジェイエムウエストンのコレクションという意味でも、大定番の180ローファー、最強カジュアルシューズ641ゴルフの2足のU-TIPがありましたから、「いまさら普通のU-TIPは必要ないな~」という気持ちでした。
しかし、落合信勝氏の「男の服装術 カジュアル編」を読了してから情勢がやや変わります。
著者は「茶系のスエード靴」をカジュアルの定番として紹介していました。
英国大好きオジサンとしてブリティッシュスタイルをそのまま考えるのあればフルブローグを選択したいところですが、すでにフルブローグは十分所有していましたし、
プレーントゥにおいてもチャッカブーツがあるのでやや被ってしまいます。ローファーは春夏っぽくなってしまいますし、セミブローグはなんとなく気分じゃない(こういった感覚は大切にしています)
そうなると残る選択肢と出てきたのがU-TIPでした。しかし、U-TIPについても「いつかは606のドーバーをスエードで。」と思っていたのですが、
すでに202のドーバーを所有していましたし、まったく持っていないスタイルとなる598のU-TIPはありかもしれない。と考え始めたのでした。
598を調査&試着する
そう考えるとすぐに動きたいのが行動派のミウラ。
ネットで検索するとダークブラウンのスエード598があるみたい。
できればもう少し明るい色のスエードバージョンがほしいところです。
- そんな訳でいま現在店頭でどんなラインナップが売っているのか。
- サイズ感はどうなのか。
知りたくて知りたくてたまらなくなってきたところで運よく友人の結婚式の予定があったのでした。
ジェイエムウエストン青山店でハーフハント598を試着する
東京にきたら毎回青山骨董品通りに足を運んでいる気がします。
骨董品通りのなかでもひときわディスプレイが目立つジェイエムウェストン青山店。
サイズ7.5E
まず一足目で試着させてもらったのはウエストンサイズで7.5E。
7/Eは足全体にタイトにフィット。
いわゆるこれぞウエストンフィッティング(きつめを履いて馴染ませる)という感じ。
一方で紐靴なのに7.5Dのローファーよりつま先が狭く、捨て寸も親指しかない。
これはむくんだらアウトな雰囲気がぷんぷんします。
サイズ8.0D
次に試したのが8.0D。
シュポッと音がして、心地よい履き心地。
羽根の開き的にも履き心地としてもなかなか良い。
ただ事前に把握していた「598ハーフハントはつま先のシェイプが特殊なので合わない人がいる」という点からもつま先に違和感を気持ち感じました。指先のスペースが足りないような気がします。
念のため、次に8.0Eを履いてみたいところでしたが在庫がありませんでした。
Instagramでも相談してみました
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結果としてはゴルフと同サイズかウィズ下げハーフサイズアップがセオリーっぽい。
Eウィズの598はかなりボッテリ感が強いそう。
ここでの判断は8.0Eか8.5D。さて。
598のラインナップ
ちなみに当時の598のラインナップは4種でした。
- ブラックボックスカーフ レザーソール/ラバーソール
- ブラウンボックスカーフ レザーソール
- 赤みがあるブラウンボックスカーフ/ラバーソール
そうなんです・・・ダークブラウンスエードは廃盤になっていたのでした。(ここで諦めれば)
今はさらにバリエーションが豊富になっており、ダークブラウンやブラックスエードもあるそうで。
スエードな598をスペシャルオーダー
そんな年末。
とあることでシャンゼリゼ通り店とやり取りしていると年末でMTOは一気に値上げしちゃうから注文は早めにね!という情報が入りました。
普通の人ならここで「そうなんだ~」で終わるところですが、「マジか、ならば今こそが注文するタイミングじゃない!」になってしまうのが靴沼にハマッた者の末路・・・。
気が付くとブラウンのスエードでスペシャルオーダーをしていたのでした。
サイズは相談した結果、もし合わない場合でも現地で調整できるということで8.0Eを選択。
(ちなみに598のスペシャルオーダーは○○○ユーロがこの時期以降1200ユーロになりました)
フランスで受け取って調整
スペシャルオーダーから数ヶ月後、ついにシャンゼリゼ通りで受け取る日がやってきました。
意気揚々とシャンゼリゼ店に入店し、トーストスエードの598を受け取り、さっそく試着することに。
ちなみにこのブログによく登場する友人Zも722ジョドファーブーツのMTOを受け取りました。(なんて靴バカタッグなのでしょうか)
その様子は下記記事にて。
サイズ8.0E
・・・甲が緩い。(おっと)
店内を軽く歩いてみますが、やはり甲が緩い。
つま先やボールジョイント部分はちょうど良さそう。ですが甲が緩い。笑
ですが、大丈夫。シャンゼリゼ通り店は工房を併設しているのでその場で修正修理ができるのです。
資材は主に3つ。薄めの全敷きレザーインソール、コルク付きの全敷きレザーインソール、コルク付きのハーフレザーインソールです。
色々と試した結果、コルク付きの全敷きレザーインソールを取り付けることに。
足を再度入れてみると、うんうん、なかなか良い塩梅じゃありませんか。
羽根は1cmほど開き、足全体もフィットしているように感じます。その場でサイズ調整ができるなんて、さすがJ.M.WESTON!
サイズ8.0Eを全敷レザーインソール(コルク付き)で調整した結果
帰国後、ブートブラックのスエードスプレーでプレメンテを終え、さっそく路上デビューしました。
ようやく待ちに待ったハーフハント598との新しい1歩を踏み出します。
・・・なんかちょっと履き心地が悪い。
中敷き全体がコルクで盛られた結果、もともとのラストが想定しているフィッティングに比べ、明らかに浅いであろう履き心地になってしまいました。
もともと全中敷きで調整するフィッティングが好みでなかったこともあり、手に入れるまでめちゃくちゃ苦労したのに全然愛せないマイMTO…
やっぱり手放しちゃった
フランスはリモージュで製造され、その後二度の調整を経たスエード598。
その結果、「甲周りはややリラックス、縦が詰まり気味、ヒールカップは浅すぎ」というなんともどうしようもない状態になってしまい、
状態が良いうちに・・・ということで手放してしまいました。(大失敗)
598のサイズ感まとめ
ということで紆余曲折の後、結果的に私のもとを離れてしまった598ですが、私なりに感じたサイズ感をまとめました。
ぜひ598をご検討の方の参考にしていただけたらと思います。
ミウラの足の特徴と各サイズのフィット感
まずは私の足の情報から。
実寸26.75cm、親指が一番長いエジプト型、かなりの幅広足です。
サイズとウィズ | サイズ感 |
7.5E | 羽根は1cmほどだが全体的にタイトフィット、捨て寸ほぼ無し |
8.0D | 羽根は1cmほど開く、つま先がやや詰まる |
8.0E | 甲の設定が高く、羽根が閉じる、つま先がやや詰まる |
8.5D | おそらくジャストサイズ |
J.M.Weston 598に使用されているラスト21の特徴
続いて、598ハーフハントに使われるラスト21の特徴は下記。
- 甲が高い
- ノーズは短めでつま先が狭い
- 踵はカジュアルにやや浅め
見た目のフォルムとはかなり違った履き心地に驚かれる方も多いかなと思います。
インスタでも「ジャストと思うサイズからウィズ下げハーフ上げがオススメ」といわれるのも納得ですね。(ウィズを落として甲周りを狭くし、ハーフあげることで指先周りの快適さを確保できる)
598ハーフハントのサイズの選び方(予想)
598ハーフハント(ロジェ)のサイズについては下記を指標にすると良さそうです。
- 641ゴルフのハーフサイズアップ、ウィズダウン
- 300,310,376の同サイズ、ウィズダウン
※ローファーは紐がないので参考にならないと思います。
そんな訳で今回はJ.M. Westonのなかでもサイズ選びがとくに難しいといわれる598ハーフハント(demi-chasse)のサイズ感と私が失敗した話をご紹介しました。
この記事をご覧になった方が少しでもジャストサイズにめぐり合えるよう、勝手ながら願っています。(泣)
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