ずーっと気になっていた一足をついに手に入れることができました。
シューメーカーは見ての通りのCrockett&Jones。
クロケットジョーンズといえば2つのラインがあることで有名です。
1つはメインコレクションと呼ばれる通常ライン。
そしてもう1つはハンドグレードコレクションと呼ばれる高級ラインです。
ミウラはハンドグレードラインという点では、スエードチャッカブーツ「チルターン」を所有しており、冬の日、雨の日、旅行などなどに連れて行くほど活躍してくれています。
クロケット&ジョーンズのチャッカブーツ チルターン(CHILTERN Snuff Suede)
そんななか、今回手に入れたのは上級ラインとなるハンドグレードコレクションのものです。
実は以前からこのハンドグレードコレクションには目を付けていました。
あの伝説的なオールデンブログを運営されている「Alden Style」さんの記事で知ったのがファーストコンタクト。
”新入社員が履いても唯一許される本格靴ブランド!”というのがパワーフレーズ過ぎてとても強く記憶に残りました。(笑)
Alden Style:
そしてセカンドコンタクトは靴磨き教室で出会ったHさんのオードリー。
画面越しだけ知っていた名靴を直に、そしてHさんが磨きこまれたことによって生まれた鈍い光沢を放つアッパーに息を飲みました。
磨き続けることでこんなにもアッパーの奥から鈍い光を放つ靴になるのか!と。
ブリフトアッシュ The Loungeの靴磨き教室(カーフ編)
さあ、いよいよ対面です。
憧れのハンドグレードコレクション!
Crockett&Jones Belgrave3
シューメーカー | Crockett&Jones(クロケット&ジョーンズ) |
靴の名前 | Belgrave3(ベルグレイブ3) |
スタイル | パンチドキャップトゥ |
ラスト | Last 367 |
アッパー | ブラックアニリンカーフ |
ソール | オークバークソール(カラス仕上げ) |
サイズ | UK8.0 |
ウィズ | E(標準) |
ということでこちら今回新たに我がシューラックに仲間入りしたクロケットジョーンズのベルグレイブ3です。
クォーターブローグスタイル
どんなシーンでも使いやすい黒靴のクォーターブローグ。別名プレーンキャップトゥスタイルやパンチドキャップトウスタイルとも呼ばれます。
もっともフォーマルといわれるストレートチップの横一文字にパーフォレーションを施したスタイルでフォーマルにほんのり遊び心を含めたまさに万能選手といえます。
仕様を見ていくとアッパーは非常に繊細かつ高品質な原皮のみで製造できるアニリンカーフだったり、ラストはなんと英国シューメーカーが日本市場のために開発した特別ラストだったりと靴好きの購買意欲をガンガンくすぐる内容になっています。
日本専用のLast367
クロケットジョーンズでもっとも有名な靴といえばハンドグレードコレクションのストレートチップスタイル「オードリー」でしょう。
パリのビスポーク工房で開発されたソフトスクエアトゥのラスト337はその完成度と履き心地からクロケットジョーンズの評判を確固たるものにしました。
BELGRAVE3に採用されているラスト367はそのラスト337を日本市場向けに改良したものです。
なぜか。
実は日本人は一般的な特徴として欧米人よりカカト周りが小さめです。これはまったく変なことでもなく、身体の平均的な特徴は人種ごとで異なるため当然の話です。
しかし、そうなると靴のフィット感という点では日本市場にピタリと合いません。さらにいうならば外国人よりも品質や細かい点にうるさい日本人市場を考えると、ラストがビスポーク生まれとはいえ決して満点の履き心地ではない訳です。
そこでクロケットジョーンズはラスト363を靴の後方に採用しました。ラスト363は同社の保有するラストのなかでも土踏まずを絞り気味にしカカト周りも小さく設計されているラストです。
その結果生まれたラスト367はビスポーク生まれの木型を日本人向けに修正した木型に仕上がったのでした。
透き通った表情のアニリンカーフ
ハンドグレードコレクションを語る上で決して外せないのがアニリンカーフについてでしょう。
便利なシューケア用品として有名なアニリンカーフクリームなどがありますが、実際にアニリンカーフを使用していることを明言している革靴は多くありません。そんな貴重な皮革素材を使った靴を確実に体験できるのがハンドグレードコレクションの良いところではないでしょうか。
オークバークソール
クロケットジョーンズのハンドグレードコレクションはアッパー以外にもレザーソールにも大変高品質な素材を採用しています。
それがドイツのレンデンバッハ製オークバークソールです。シューリペアショップのオールソールメニューで一番高いソールを探してみてください、ほとんどがこのレンデンバッハのオークバークソールのはず。
その特性は削れづらく滑りづらいそう。実際に歩くのが楽しみですね(^^♪
ジェントルメンコーナー
本国イギリスの紳士達にも愛されるには理由があります。
画像左のヒールに注目してください。角がカットされているのがわかると思います。
これはジェントルメンコーナーといって、足を組んだりする際にヒールの角でスラックスを傷つけないようにする意匠なんです。もちろんスタンダードグレードコレクションには採用されていません。
ちょっと珍しいフルソック
Crockett&Jonesのハンドグレードコレクションの最後の特徴はフルソックです。
大抵の革靴は所謂半敷きと呼ばれるタイプで踵から土踏まず部分までしかソックシートが敷かれていません。
ですが、クロケットジョーンズのハンドグレードコレクションでは画像の通り、つま先までしっかりとアッパーと同じアニリンカーフが敷かれています。だからとっても履き心地が滑らかで心地よい!
ベルグレイブ3のサイズ感について
さて、やっぱり気になるのはサイズ感でしょうか。
私の足のサイズは実寸で26.5cm。UK換算では8.25です。
普段ロングノーズの靴であればUK8.0、ショートノーズであればUK8.5を選ぶことが多いです。ちなみにこのベルグレイブ3ではUK8.0を選択しました。
Church’s Consulと比較
まずは英国ストレートチップの大定番。チャーチのコンサルと比較です。
サイズはUK8.0G(幅広)で使用されているラストは173。ほとんど人に無難に合うことでも有名が木型の一つです。
そんなコンサルに比べて、ベルグレイブ(Belgrave)は下記の特徴があります。
- 全長がやや長い
- ボールジョイントは同じくらいの広さ
- カカト周りは小さめ
Edward Green Berkeleyと比較
次は英国2大シューメーカーのひとつ、エドワードグリーンです。
並べているのは同じくプレーンキャップトゥスタイルのバークレー。こちらも名作ですね。
サイズはUK8.0で使用されているラストは202のEウィズです。202ラストはクラシカルかつ万人に合う木型と言われてますが、やはりロングノーズのベルグレイブと比べると明らかに全長が短いですね。
202バークレーと比較した場合は下記の特徴があります。
- 全長が長い(1cmほど)
- ボールジョイント部はややカカト側
- カカト付近の大きさは同じ
John Lobb City2と比較
最後に比較するのは最高峰のストレートチップのひとつとも言われるジョンロブのシティ2です。
革靴の王様ジョンロブが英国金融街シティで働く銀行員達をイメージして名付けられたこのストレートチップはどんなフォーマルなシーンにも履いていける頼もしい一足です。
そんなCITY2のUKサイズは8.0、ラストはJohn lobbの主力7000ラストでEEです。
ベルグレイブ3をCITY2と比較すると下記の特徴があります。
- 全長はほとんど同じ
- ボールジョイントまわりはジョンロブの方がやや大きめ
- カカトもジョンロブのほうが大きめ
ラスト367の土踏まずの絞り具合
さて、せっかくなのでソール側からもいくつか比較してみたいと思います。
左からチャーチ(Last173)、エドワードグリーン(Last202)、ベルグレイブ3(Last367)です。
チャーチはほとんどアーチサポート(土踏まずの突き上げ)がないのでこんなもんでしょうが、注目すべきはEGとの差です。
エドワードグリーンのラスト202といえば土踏まずの強烈なサポートが有名ですが、なんとクロケットジョーンズのラスト367の土踏まずはさらに細いんです!これには本当に驚きました。
気になるラスト367の履き心地
さて、そんなクロケットジョーンズのラスト367の履き心地ですが…
もう最高です。(笑)
甲周りは適度な圧迫感ですし、土踏まずと踵周りはまさに適度なフィット感。
ややロングノーズなので指先が靴の先端にあたることはありませんし、なによりフルソックの足触りもとっても良い!
本格靴はできれば短時間の慣らし履きを数回してからデビューさせるのがセオリーですが、あまりの履き心地の良さに思った以上に歩いてしまいました。(娘の散歩がてらのつもりが…)
クロケットジョーンズ ベルグレイブ3のまとめ
ということで今回はCrockett&Jonesのハンドグレードコレクション、ベルグレイブ3とラスト367のご紹介でした。英国の老舗がわざわざ日本市場向けに作った本格靴。やはりその実力はすごかった!
ちなみにこのラスト367を使ったストレートチップ、オードリー3というのも発売されているのでストレートチップの履き心地にこだわる方はそちらを検討するのもいいかもしれませんね。
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