EDWARD GREENの606と言えばもっとも現代的なスクエアトゥの木型の1つです。
最もコンフォータブルとも言われる名作ラスト202のつま先を四角くモディファイしたと呼ばれるこの木型はスクエアトゥ好きの最終解の1つではないでしょうか。
そんな606のサイズ感をご紹介したいと思います。
エドワードグリーンのラスト展開
ここでまずエドワードグリーンの展開する代表的なラストを振り返ってみます。過去からのものを含めると非常に膨大なのですが、現在のエドワードグリーンを代表するのがこれら4つではないでしょうか。(888ではなく915のほうが良いかもしれませんが)
ラスト202
エドワードグリーンのすべての木型の元になっている木型。ボールジョイント部は広めだが土踏まずとヒールカップが小さめに仕上げられており、非常に心地よい履き味がポイント。ショートノーズ気味という特徴があります。万人に合うように作られたと言われるこの202ラストはエドワードグリーンが保有するラストすべての元となっているそうです。
ラスト606
今回サイズ感を見ていくのがこのラスト606を使ったドーバーです。
ラスト202のつま先を四角くモディファイしたラストと呼ばれています。一説にはコンフォートな202よりスタンダードなフィッティングという説も。さらには202よりハイアーチ向けと説明があるところもあります。一体どんな履き心地なのかは後半にて。
ラスト888
いまやあのジョンロブとも並ぶ超高級英国靴メーカー『ガジアーノガーリング』のガジアーノ氏がエドワードグリーンのビスポーク部門にいたときに開発した木型だそう。
現在のG&Gがつくる靴のように細身かつスクエアトゥなシルエットが特徴的です。ビスポークに興味があるけど、ちょっとそこまでは・・・という人にはいいかもしれませんね。いずれにせよ幅広足の私にはあまり縁がなさそうです。(泣)
ラスト82
ショートノーズを中心としたエドワードグリーンが現代人に好まれるロングノーズ木型に挑戦して出来上がったのがラスト82です。久しぶりの新作ということもありかなり完成度を誇っており、今では一番人気とも言われることもあるようです。202の特徴をベースにしながらノーズを伸ばしたことで履き心地とエレガントさを両立しています。
このラスト82のFウィズもここ最近気になっています。(笑)
エドワードグリーン DOVER
さて、こちらが英国本格靴の2大巨頭となるEdward Greenのまさにアイコンシューズのドーバーです。いつかはクラウンもとい、いつかはドーバーなんて言葉も聞くくらいです。(私の周りだけかもしれませんが)そんなドーバーの特徴をいくつか紹介していきたいと思います。
U-TIPを形作るライトアングルモカ
U-TIP部分を構成するモカ部分はスキンステッチのひとつでもあるライトアングルステッチを採用しており職人が手縫いで創った絶妙な隆起感の美しさが靴好きの心をくすぐります。
シャドウステッチ
そのライトアングルモカ縫いをつま先で結合しているのがこのシャドウステッチです。革の裏側から糸を入れて表面に出さないように縫い付けることで表面にステッチがないにも拘わらず二つの革が繋がっているように見えるという高等技術の1つです。
スクエアに模られた新しいロゴ
ヒール部分に描かれたロゴは個人的にうれしい最新のロゴです。エドワードグリーンに限らずシューメーカーは時代によってロゴが変化するため、ロゴを見ればある程度の生産年代までわかるほどです。人によっては革質が良いと言われた旧ロゴのモデルが好みの人もいるようです。とはいうものの、私自身はこの正方形にレイアウトされたロゴが一番好みに合っているので大満足です。
耐久性に優れたオークバークのレザーソール
EDWARD GREENのレザーソールは英ベイカー社のオークバークソールです。リペアショップでオールソール時に使われるドイツのレンデンバッハ社と同じくオークバークで時間をかけて鞣して密度の高い繊維が特徴です。
スペードソール
エドワードグリーンのDOVERと言えば忘れてはいけないのがこの通称スペードソールでしょう。私はドーバーを知るまでこんなソールの仕様があることを知りませんでした。地面との接地面はダブルソール、そして土踏まずあたりからはシングルソールというカントリーシューズの流れを汲むディテールだそうです。
ヒールカップ
EDWARD GREENはしばしばカカトの食いつきが良いと呼ばれますが、その理由がこちらの立体的なヒールカップであることは疑いの余地がありません。一般的なヨーロッパのシューメーカーに比べてカカトが小さめな設計なのもひとつの理由なのかもしれませんね。
上質なブラックカーフ
一説によると南ドイツ産の上質なカーフが採用されているようです。一目見てわかる。とまで表現できるほど数を見ていないのですが、一つ言えるのは長い間足元を支えてくれそうな革だなあと思わされてしまうほどの革だということ。厚みと適度な固さがありながらしなやか。いくつかのブラックカーフを見てきましたがここまでのものは初めてです。
606ラストならではのスクエアトゥ
忘れてはいけないのが606ならではの四角いトゥシルエットです。よくよく考えてみるとセミスクエアトゥの靴は所有していましたが、ここまでしっかりしたスクエアトゥのものは初めてです。これがどんな足元を演出してくれるのか楽しみです。
各部分の寸法を測る
それでは実際に靴の各部分の寸法を測っていきます。つま先以外は同じと呼ばれるラスト202との比較も気になるところです。
アウトソール
アウトソールの最大幅は約11cm
アウトソールの全長は約31cm
靴本体
ボールジョイント部は約16.8cm
同じサイトとなるUK8.5の202Eドーバーに比べて若干小さめです。これが手作業による誤差なのか、木型の違いなのか…。
第一関節部は約13.7cm
ヒールカップの高さは約5.7cm
202との比較結果
全体的にはほぼ一緒の寸法でしたが、アウトソールおよび靴本体のボールジョイント部が202の方が気持ち大きめの結果となりました。うーん、やはり噂は本当なのか?
エドワードグリーン ドーバー Last606 8.5Eのまとめ
足の実寸が26.5cmで幅広足の私にはEDWARD GREENの8.5E(ラスト606)はややタイトフィッティング。親指等の長さ不足は感じず全体的に程よいタイト感ですが、小指側のボールジョイント部の位置は若干合っていない印象です。
ヒールカップはタイト気味ジャスト、土踏まずも同じくといった感じでかなり心地良いので全長的には無理のないサイズだと思います。土踏まずの突き上げに関しては同サイズの202を所有していますが、素材が柔らかいユタカーフなのではっきりとは比較できません。が、確かにやや高めな気もします。
捨て寸はやや長めの2cm程度、スクエアトゥのせいか見た目的にはやや大き目の靴を履いているように見えます。
- ビジネスソックスでジャストフィット
- 普通の靴下だとタイトフィット
- 厚手の靴下だとややタイトフィット
参考情報(普段のサイジング)
- チャーチ173ラスト 80G
- チャーチ103ラスト 85F
- ジョンロブ7000ラスト 80EE
- パラブーツ 85
- ALDEN モディファイドラスト
- エドワードグリーン202ラスト 8.5E(同サイズ
総評
スクエアトゥを代表するといっても過言ではないラスト606を採用したドーバー。この靴が持つ理屈抜きのカッコ良さはスクエアトゥを敬遠してた人すらもスクエア好きにしてしまう強力な魅力に溢れています。
内羽根の606が一足欲しいような…そんな邪な気持ちなミウラでした。
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